幼馴染が描いた新規立ち絵が俺の女装姿だったんだがどうしよう 作:たまご
あれから数日が経った。
幼馴染はいつも通り登校して授業も真面目に受けて、黒板の内容をちゃんとノートに書き……。
ん、待てよ?おかしい。
何個かおかしい。まず、まずだ。今は体育、ノートで書き写す作業は無い。どちらかと言うと体を動かす方がメインだ。じゃあ、アイツは何をしているんだ?次に時折何かボソッと呟いたかと思うと凄いスピードでペンが動いてる。怖過ぎる。何してるのか気になるけど触れにくいな。
とは言え、放置しておくのもアレだし。俺とアレが幼馴染と言うのは皆に知られている、何ならここ数日、あの感じなのでアイツの友達からも何かあったのか聞かれる始末だ。適当に誤魔化してるけど、それも時間の問題だろうな。
故に関わりたく無いと入っても関わるしかない。関わらないのは不自然だし、面倒臭くなるからだ。かと言って、関わっても面倒臭い。どう転んでも俺は地獄行きだ。
ああ、マジで関わりたくない。人間関係って本当面倒臭え。
「おい」
『……』
此処三日間話しかけなかったせいか、首が心配になる速度でコチラを見たが何かに気付いた様に再びペンを動かす。
『関わりたくないんでしょ、良いよ関わらなくて』
あ、喋るんだ。
「ああ、関わらなくて良いなら関わりたくない。でも、そうはいかないんだよ」
『何で?切り捨てれば良いじゃん。高校三年間なんて人生百年時代の中のごく僅かなんだから。これからずっと知らないフリして私を無視すれば良いじゃん。私と関わりたくないんだからさ』
「うん」
『ああ、そうだ。安心してアレならちゃんと消したからさ。これからは参考する程度にとどめるし、女装もお願いしない。と言うか、もう喋らないから女装もクソも無いか。何言ってんだろうね私』
「うんうんうんそうだね」
面倒臭え。うーん、どうすっかな。取り敢えず、アレか。コイツがこうなったのは俺のせいだし。とは言え、そうなったのはコイツのせいだから俺は何も悪くないんだけど。お互い譲らないこの状況は一番面倒臭い。
「分かった、今まで通りでいこう」
『え?』
「これまで通り普通に話そう。な?」
『君はそれで良いの?私みたいな面倒で話通じない女と一緒で』
「あっ、自覚あったんだ。良かった」
いや、良くねえか。でもここから変われるチャンスはある訳だし良いのか?
『自覚はあるよ、だから聞いてんじゃん』
「ここから百年は無理だろうけど、
どうせ、社会人になれば仕事も忙しくなるしお互いの予定がバラバラで会わなくなるし連絡も取りづらくなって自然と離れていくだろう。所詮幼馴染と言ってもその程度だと思う。
そう考えて言うと、久々に憎たらしい程の笑顔を浮かべてこっちを見た。
『ありがとう。それじゃあ早速親友に頼みたい事があるんだけど良いかな?』
嫌な予感がする、滅茶苦茶嫌な予感が。
「授業が俺を待ってるから失礼するな。お前も堂々とサボるなよ」
『私は見学だから、逃がさないよ親友』
ガシッと腕を掴まれて、ブン殴りたくなる様な笑みでトントンとノートを叩いてソイツは言う。
『この立ち絵、使っても良い?あ、後今日の放課後空いてる?早速女装頼みたいんだけど。それから色々アイデアが出て来てるから予約もしたいんだ、良いよね?親友♡』
ソレは消したと言っていた前の立ち絵だった。ラフなのに描き込まれていたソレを見て俺の脳みそは理解してしまう。だから、俺は。
「成長したな」
『えへへ』
許可を取りに来た幼馴染の頭に手を当て、何回か空気を撫でて助走をつけた後思いっきり叩いた。
『痛いっ』
「許可取れば良い問題じゃねえからな。それをその痛みとともに理解してくれ。後、今日バイトだから無理」
許されたからって面の皮張りすぎだろ。どう言う神経してるんだよ、本当にやべー女だ。どうしてこうなったんだか。
『……ハッ。バイトじゃない日ならOKって事?』
近い内、どうやら俺は女装する事になりそうだ。夜逃げの準備しないと。