チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜   作:新川翔

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チートハント②

 ここでカウントダウンは終了。

 俺とチーターの勝負が始まる。

 左手に本を出して開いて相手を見据える。

 奴はチーターで理不尽を駆使して俺を倒しにくる。冷静沈着に詰めていこう。

 奴は大きく斧を振り上げて──────

 

「断層斬!!!」

 

 振り下ろした。

 大きく間合いから離れている筈なのに俺は胸元に衝撃を受けてダメージを喰らってしまう。体力は残り7割。これはうかうかと喰らってはいられない。

 

(なるほどね……)

 

 ダメージを把握した後はどの戦術が適しているのかを思考する。

 

「ははははははは!!!!だっせぇな!!!!!!!あんだけ大口叩いていたのに、もろに喰らってやんの!!!!!!!」

 

「それが、攻撃を必ず命中させるチートだな」

 

「ご明察、で、それがどうしたっていうのかなぁ?それでお前がオレを倒せる理由になるのかな?」

 

 奴はもう一度巨大な斧を振りかぶり、間合いよりもずっと外から振り下ろす。

 

「なるさ。ストレート勝ちしてやる」

 

 範囲外から脅威の斬撃が俺の右肩から腹にかけてざっくりと放たれた。

 しかし、その攻撃は俺には通じない。

 

「は…………?」

 

「分からないなら説明してあげよう。俺はお前の攻撃を相殺した」

 

 奴が困惑してくれていることを喜びながら種明かしをする。これでより意識を引き付けることで隙を作ってやる。

 

「違う!!!俺が聞きたいのはそれじゃない!!!!どうやって相殺しているのかだ!!!!!」

 

「白熱極陽 灼熱日輪」

 

 頭上に太陽のような巨大な火球を出現させた。奴と問答をしている間にリキャストタイムは終了している。

 

「クソォ!」

 

 流石に防御に厚く振ったビルドでもこれを喰らってしまえばひとたまりもない。

 

「断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!断層斬!」

 

 彼は悔し紛れにスキルを放ち続けるが、それらは全て俺には届かない。

 

「そのチート、『絶対命中』は視線の先に攻撃判定を発生させるものだ。相殺、くらいは知っているだろう?このゲームでは攻撃と攻撃がぶつかり合った時、同じ威力だと消滅する。俺はお前が飛ばしてくる攻撃判定にファイアショット3発を当てることで相殺したのさ。どうやら、お前の攻撃は胸しか狙わないみたいだからな。見すぎだぜ気持ち悪い」

 

「クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソ!!!!」

 

 返事は返ってこず、奴はクソクソ言っている。どうやら言い返すこともできないらしい。

 その状況を嬉しく思いながら、思考する時間を与えないためにこの勝負を終わらせることにした。

 

「種も明かした。手早く片付けようか。ファイアショット」

 

 指を弾くと奴を取り囲むように百発の炎の剣が出現してすぐに射出された。回避する手段を取れなかった奴はその全弾をモロに喰らって体力がゼロになり、俺は勝利した。

 

(結構、あっけなかったな。油断せずに戦おう)

 

『ラウンド2 スタート』

 

 そしてインターバルの10秒が終わるとラウンド2が始まる。これに勝てば俺はチーターを攻略したことになる。

 

「……最高の攻略法を見つけたぜ」

 

「ほう?」

 

 しかし、ことは上手く運ばないようだ。奴は何かスッキリしたような表情をしてこちらを見ている。どうやら何かしらの対抗策を編み出したらしい。

 警戒を強めながら半歩後ろに下がって様子を観察する。

 

「喰らえ!流星剣戟(ステラ・ストライク)!!!」

 

「……!?」

 

 俺の腹に攻撃の判定が現れた。

 胸ではなく、腹に。

 

(それは、剣で使うスキルだろ?)

 

 すぐに原因は分かる。奴はもう一つのチートを隠し持っていたのだ。

 

「ファイアショット・千刃鎧」

 

 ファイアショットで全身を覆う鎧を作ると共に、本を開いたまま走り出した。

 今の俺ならたとえ情報になかった一手を使われても、すぐに対抗手段を用意できる。

 

「いますぐぶっ飛ばしてやるから覚悟しろよォ!!!!!流星剣戟(ステラ・ストライク)!断層斬!流星剣戟(ステラ・ストライク)!断層斬!断層斬!」

 

 放たれるスキルの奔流に臆することなく、奴の近くへ接近していく。

 炎の鎧は壊れたそばから炎の剣を生成することで攻撃を凌いでいる。そして、いつまでも攻撃されている訳にもいかない。

 

炎槍模倣(ブレイズイマージュ)螺旋穿牙(らせんせんが)!!!!!」

 

 ヒートマグナムを槍に変えて射出した。

 奴は自身に攻撃が迫っていることに構うことなく攻撃を喰らっている。

 

(そうやって防御力でゴリ押ししようとしても無駄だ)

 

 俺は奴と格闘戦の間合いに入ると、斧を持つ腕を掴んでさらには右脇で挟んで奴の行動を封じた。

 奴のチートは攻撃をトリガーにして発動する。ならばその攻撃を封じてしまえば勝ちに大きく歩みを進められる。

 

「攻撃は腕を振らなきゃできない。違うか?『白熱極陽 灼熱日輪』」

 

 さらに天井に太陽を再び降臨させた。このまま奴を太陽で焦がして倒す算段だ。

 しかし、追いつめられた状況であってもチーターは慌てていない。余裕を伺わせる笑みを浮かべていた。

 

「お前は魔術士(ウィザード)だ!!!俺を倒せるの「炎剣模倣(ブレイズイマージュ)彗星拳戟(メテオ・ストライク)

 

 左手の本を空に頬り投げてから奴を殴りつけた。

 悪いが余裕は与えない。

 あるようなら奪ってやる。

 

「効率は悪いが、こうすればいい」

 

 俺は鎧と同じ要領で拳にファイアショット3本を纏わせて、間髪入れずに何度も何度も奴を殴った。

 しかし、俺はコストの軽い魔法で殴っているだけである。それほど体力は減らせていない。

 

「そう続く───「そろそろ頭が回せるようになっただろ!?」

 

 だから奴が慣れてきた瞬間に攻撃の手を強力なものに変えた。

 落ちてくる本をキャッチして炎の光線を繰り出す。

 

「ヒートマグナム・クインテット!!!!」

 

(今まで、チートと戦ってきて分かったことがある。それは『対応力の低さ』)

 

(奴らはチートを使うことによって勝ちをもぎ取ってきたから、それ以外の勝ち方を知らない。だから、それが破られた時の対応が何手か遅くなる。絶対的な自身が崩れるんだ。そりゃあ、隙が出る)

 

 五発の光線を浴びせた後も、ファイアショットと織り交ぜて体力を減らしていく。

 

「重奏ガントレットォ!!!!!!」

 

 奴は体力が2割になった頃、更なる対抗手段を思いついて俺に実行してきた。

 空いている手から俺の腹に向かって格闘スキルが放たれる。

 

(格闘系スキル!?)

 

 俺は本で防御できたものの、強引に距離を取らされた。

 これでは奴の攻撃を防ぐために再び接近しなければならない。

 

 

 

──────────なんてことはなく。

 

 

 

 

「上、忘れてるだろ?」

 

 既に太陽は堕ちている。

 思考する隙を与えない。

 墜落する太陽に呑まれてチーターは倒れた。

 

 

 目の前には『victory』の文字が浮かぶ。

 俺は再びチーターに勝ったのだ。

 そしてさらにランク『ヒーロー』に到達したことの通知も来た。

 

 

 

 達成感というよりは安堵だ。俺に残された時間はあと約2週間しかない。

 

 

(駆け上がるしかないな。だけど今は……)

 

 

「「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

 

 俺と葵の喜びは最高潮に至っていた。

 

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