チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜   作:新川翔

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ヒーローランク 突入

「それでは始めるぞ」

 

 情報共有が終わり、ヒーローランク到達のパーティーも終わった後、俺は新たな戦場に飛び込むためのミーティングを受けていた。

 場所はあの日、俺がラウンズ一位のブエル・バエルさんと話した酒場で、話し相手はロードさん。互いに机はナシに椅子に座って向き合って戦意を高めている。

 彼は俺がここに昇りつめるために戦略を組み立てるために必要な要素を教えてくれた。そこは本当に感謝している。

 

「まずは復習だ。このゲームにおいて戦い方を決める一番の要素はなんだ?」

 

「ジョブです」

 

「そうだ。ジョブは11種、剣士(セイバー)戦士(タンク)格闘家(ファイター)射手(シューター)魔術士(ウィザード)援護士(バッファー)阻害士(デバッファー)、回復士、アサシン、テイマーだ。これらの職業にはそれぞれスキル効果に補正がかかる。例えば魔術士は魔法によるダメージに補正が入る。つまり、なんだ?」

 

 急に疑問を投げかけられたが俺の中では答えは決まっているので、毅然とした態度で答える。

 

「やりたい目的に合わせてジョブを選ぶ」

 

「その通り、基本的にはそういう選び方だ。そこで俺たちがすべきなのは?」

 

「目的の分析。それに合わせた戦略、戦術の構築です」

 

「そうだ。あらゆる全ての存在には特徴がある。その特徴を殺す戦略をお前は用意できる。いいか?特徴に翻弄されるな」

 

「はい、そのための準備はしてきました」

 

「それでは行ってこい。ヒーローランクはお前にとって最高の実験場だ」

 

 俺は改めて決意を胸にメニューを開いてランクマッチに飛び込んだ。

 決意をくべられた胸中から戦意が体中に行き渡り、アドレナリンが爆発する。

 ここからが本番だ。

 

 『グランドヒーロー』への壁は厚い。

 

 チーターの使うズルはより理不尽なものになるし、プレイヤーのスキルもこれまでのランク帯とは卓越している。これまで以上に苦しい戦いになるはずだ。

 『グランドヒーロー』の条件はヒーローランクの中でも上位100位以内に入ること。

 だがそれでこそ、目標は輝いて見える。手を伸ばしたくなる。そこへ至る道筋を考えると興奮してくる。

 

『マッチングしました』

 

 すると、目の前にマッチングが完了した旨のメッセージが現れた。

 これが初めてのヒーローランクにおける戦いだ。

 『最初相手はどんな奴だろう』と胸が高鳴っている。ニヴェーチェだろうか、それとも他の誰かだろうか。誰であれ倒してやる。そんな前のめりな心持ちで次に戦うプレイヤーの名前を見た。

 

「マジかよ」

 

 その名前に俺は笑いながら驚いた。俺の最初の相手はいわば『まさかの相手』だったのだ。目の前に表示されたプレイヤー名は『スピード』。ラウンズ3位の強者である。

 そうだ。俺はラウンズをはじめとする、トッププレイヤーたちに勝たなくてはならない。その事実圧迫感としてを突きつけられた。

 

(ああ────────)

 

「楽しいなぁ」

 

 独り言を漏らしている俺達は青い空が広がる草原に移動していた。

 アバタードリフトのランクマッチではランダムにマップが選ばれる。

 今回のマップは草原マップだ。障害物もないスタンダードなマップの一つ。

 つまり、彼の得意なマップだ。

 そして目の前にはラウンズ三位(サード)のスピードさん本人がいる。

 

「久しぶりです!!」

 

 テンカウントが進んでいる中話しかけると、彼は俺を見て一瞬だけ驚いてから対戦相手が俺であることを納得し始めた。

 

「なるほどな。俺、今シーズン仕事で入れてなかったからな」

 

 彼の言葉によって俺の疑問も解消された。

 

「ああ!俺、キリュウってやつと戦ったぜ……結果、知りたいよな!」

 

 すると彼は彼のペースで興味深い話題を押し付けてきた。

 

6対4(ロクヨン)で俺の勝ち」

 

『ラウンドワン スタート』

 

 その結果に反応させる暇もなく勝負は始まった。

 

「さぁ!翻弄してやるぜ!!!!」

 

「来いよ神速!!攻略してやる!!」

 

 既に脳を総動員して作戦をピックアップしている。

 後は実行するだけだ。

 

「ファイア────」

 

 魔法を発動させようとしたその時、俺は真正面から蹴り飛ばされた。

 

(速すぎるだろ──────!!!!)

 

 魔法はイメージが重要だ。

 イメージで大きさ、強さ、数、軌道を調整できる。

 だがこの速度じゃあ、十分なイメージが出来ない。

 

(それがどうしたんだって話だが)

 

「ファイアショット 剣壁」

 

 立ち上がりながら50本の剣を不規則に周囲へ突き刺した。殴られながらイメージすればいいだけのことだ。

 しかし、障害物程度で最速は止まらない。剣壁の壁を縫うように彼は飛んでくるだろう。だからこれは彼を誘導するための物だ。

 

 

 頭の中で3Dマップを構築する。

 

 

 彼の速さを考慮した上でどのように攻めてくるのかの予測プランを立てる。

 そしてそのプランを構築している間にも彼の足が俺の頭上に迫っている。

 俺は頭上で両腕をクロスして蹴りを受け止めた。

 

「やるな!!!」

 

「もう頭ン中入ったぞ、最速!!」

 

 その一秒後にはスピードは消えていた。

 

(速すぎるだろ)

 

 すると彼は俺の背後、ステージの端から大きな声でしゃべりかけてきた。

 

「いいな。ファイアショットを使って俺の動きを誘導したんだな!!!」

 

 全身全霊の対策をこうも簡単に凌駕してくると呆れが湧いてくる。

 だが、それでいい。その呆れさえ戦略の材料だ。

 感情の因果を計算し、対策を構築すればスピードにだって勝てるはずだ。

 さて、解明できるとは言え彼の力は強大だ。

 細かい戦術で押し返しても巨大な力によってひき潰されてしまうだろう。

 

 

 だからピースが必要だ。

 

 

 

「神話魔法 起動。倒させていただきます」

 

 

 このピーズで俺は勝つ。

 

 

 所属クラン『チートハンタ―ズ』 

 ユーザー名 サム

 

 装備・スキル構成

  ファイアショット 

  炎の魔導書(スキル枠拡張本)

   セットスキル ヒートマグナム

          煌塵

       

  素早さアップ×2

  魔法攻撃力アップ×2

  MPアップ×2

 

「いいぜチャレンジャー、その意気だ」

 

所属クラン『ラウンズ』 

 サード(三位)

 ユーザー名 スピード

 

 ランクマッチシーズン5

  最終順位 

  グランドヒーロー 8位

 

 装備・スキル構成

  素早さアップ×7

  ソニックエンド

 

 

「神霊回路 篆刻(てんこく)」 

 

 詠唱を始めると、腕には黒い剣の文様が刻まれた。

 俺はこの切り札を駆使してスピードに勝利する。

 

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