チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜   作:新川翔

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攻略開始

 奴の体力は残り7割。

 俺は複数の神話魔法を掻い潜ってその体力を減らさなければならない。

 勝率は一矢で針の穴を射抜かなければならないくらい低い。

 

 

 しかし、諦める理由は────

 

 

「ない!!!!取り敢えず倒す!!!」

 

 自身から見て右手に飛び出した。

 これらの神話魔法をファイアショットで相殺するのは合理的ではない。そもそも俺のMPが満タンだったとしても不可能だ。

 

 

 俺がすべきことは奴の体力を減らすことだ。

 

 

 『回避』と『発射』。脳みその回路をその二つに絞って稼働させる。

 

「私を守れ」

 

 雷の竜は迫りくる刃をその身を呈して弾いている。

 

「ほじくり返す!!!」

 

 その瞬間、雷の竜が離れた隙間を狙って炎の剣を発射する。

 しかしその攻撃も他の竜によって防がれた。

 

「まだまだ終わらないぞ!!!」

 

「ははは!!!!面白いくらいに隙晒してくれるね!!!!」

 

 二匹目の竜をずらしたことで生まれる更なる隙間。

 そこにも炎の剣を発射する。

 三匹目の竜がそれを防いだ瞬間に胸が高鳴る。

 足と頭が止まらない。

 

(良かった。本当に良かった)

 

 一匹目の竜がこちらに来ているので、進行方向とは逆方向に回避して再び奴の懐めがけて走る。

 

(PSは俺が勝っている)

 

 別に雷の竜は絶対に攻撃を防御できるわけではない。

 怯える必要はどこにもない。

 掴みと波状攻撃で勝てる。

 

 

 俺は速度を遅めることなく奴に近づいていく。

 

 

(勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ!!!!!!!!!)

 

 次に二匹目の竜を、ぎりぎりまで引き付けて左に飛び出すことで回避する。

 

(やっぱり、ド下手だなこいつ!!!!ヒーローランクのプレイヤーならい二匹で囲んで残りの一匹で仕留めるくらいの動きは見せるはずだ。奴は戦略もなくただ神話魔法をぶつけてくるだけ!この視点の低さに勝機がある)

 

 今の俺でも接近戦で圧倒できるくらいのPSだろう。

 

枯座鎚(かれくらつい)残響麒麟(ざんきょうきりん)・パレード」

 

「なぁなぁなぁ!!俺の名前パクるなよ!!!」

 

 今度は二十数匹の雷の竜が顕現した。

 なんとも荘厳な景色だが足を止めて眺める余裕はない。

 

 このまま全ての攻撃を掻い潜り奴を倒す。そのために頭を回す。

 

 ただ、それはそれとして。

 

「やってて楽しいのそれ!?!?!?」

 

 こんなことできてしまう感性は甚だ疑問だ。

 

「楽しいですよ。やってみますか?」

 

「やだね!!!」

 

 俺は覚悟と作戦を構築して真正面に飛び出した。

 あの量の神話魔法は流石に捌ききれない。さらに竜の数が次の瞬間に増える可能性もある。だから俺は速攻で倒すことに決めた。

 そして目の前には5匹の竜が襲ってきている。

 

「こいよ!」

 

 スライディングで回避。

 さらに6匹飛んでくる。

 ただしかし、所々人一人が入れる隙間があるのでそこに飛び込んで回避した。

 この間にも炎の剣を同時に着弾するよう発射して圧力を与えていく。

 

「何を────?」

 

 竜の隙間から垣間見える奴の姿にどうしても意識が割かれてしまった。

 

 炎の剣を受け入れながら大剣を振り上げている。

 

「月皇斬」

 

 その言葉によって次の瞬間に何が起こるのかを理解した。

 

「ファイアショット・剣盾」

 

 すぐに奴と俺を繋ぐ直線状に炎の刃を展開。

 奴はチートを使って間合いを無視して攻撃してくる、と頭の中で稲妻が走る。

 そして放たれる金色の斬撃たち。それは本来の間合いを大きく超越したそれらは俺を仕留めるために襲い掛かる。

 2秒で生み出した盾は破壊されていく。しかし2秒あれば安全な場所へ移動することが出来る。

 

(よし、攻略できている)

 

 そう思った瞬間だった。

 

「月皇布武」

 

 ここで月皇大剣の専用の奥義スキルが発動。部屋は大剣の魔力に浸食されて景色が更に塗り替わる。

 奥義スキルとはランクマッチにおいて特定条件下かつ一ラウンドで一度しか放てないスキルだ。そのどれも逆転を狙えるものになっている。

 地面はたちまち無機質なものから土に塗り替わり、小麦色の麦が腰の高さまで生い茂る。天は黒く染まって所々に星々は煌いて、巨大な月が奴の背後に現れた。

 

 『月光布武』の効果は特定の『スキル』を同時発動させられるもの。その組み合わせの範囲は『月皇シリーズ』という武器の専用スキルに限られる。

 

 しかし、相手はチーターだ。

 

「王道軌跡+枯座鎚(かれくらつい)残響麒麟(ざんきょうきりん)

 

 その枷くらい外してくる。

 

 対抗策を考える間もなく、攻撃が飛んでくる。

 神速の一撃により俺はダメージを受けると共に電流により動けなくなってしまった。

 

煌塵(こうじん)・パレード」

 

 さらに追撃として8本の神話魔法が飛んできた。

 当然体力はゼロになり、ラウンド1は俺の敗北となった。

 再び俺たちは元の、離れた場所に戻る。

 

(さて、負けてしまったわけだが)

 

 先ほどまでの勝負で何が悪かったのかを内省する。敵に対して言葉をかけている暇はない。

 

(戦略は間違っていない。間違っているのは戦術だ)

 

 再び10秒のカウントダウンは始まる。

 

(どう戦えばいいのか考えよう。奴は基本的になんでもありだ。予想は殆ど役に立たない)

 

 奴はスキルを組み直している俺をただ眺めている。

 

(それならそれ相応の作戦で挑むだけだ。奴のチートを全て知る、なんてことは考えるな。重要なのは圧倒(・・)だ。作戦で圧倒するのが俺の戦い方だ)

 

 

 

 

(そんなことできるだろうか?)

 

 

 

(出来るに決まってる)

 

 

 

 方針が決まると運営にチーターがいることを報告してからカウントダウンはゼロになりラウンド2が開始した。

 

 

 

 所属クラン『チートハンタ―ズ』 

 ユーザー名 サム

 

 装備・スキル構成

  ジェメトリースタッフ(杖)

    セットスキル ファイアショット→炎王炎剣 

           ヒートマグナム→ブラストマグナム

  炎の魔導書(スキル枠拡張本)

    セットスキル  煌塵

            忍法・霧煙幕

 素早さアップ×2

 魔法攻撃力アップ×2

 MPアップ×2

 

 

 

 

「攻略してやる!!!!」

 

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