チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜 作:新川翔
ここに、全てのラウンズが集う。
溢れている絶望は理不尽をもって駆逐する。
ラウンズ
その圧倒的戦術眼と魔法の知識量で理不尽を圧殺する。
ラウンズ
その圧倒的センスと痛恨の奔流で理不尽を圧倒する。
ラウンズ
その圧倒的な手練手管を用いて理不尽を毒殺する。
ラウンズ
その圧倒的な攻撃力をもって理不尽を裂殺する。
ラウンズ
その圧倒的速度を以って理不尽に認識させずに討伐する。
ラウンズ
その圧倒的効率的理論をその手に理不尽を解体する。
ラウンズ
その圧倒的実力で、ただ敵を倒す。
まず飛び出したのはブエルバエルだった。
彼はすぐさま列の先頭に向かって飛び蹴りをすると、チーターたちは綿毛のように吹き飛んで行く。
彼の強みは圧倒的な『とある魔法』の運用のセンス。
これがずば抜けているからこそ、他の追随を許さないからこそ、ランクマッチの一位を勝ち取った。
魔法系スキルの名は『サイコキネシス』。
高すぎる操作難易度により使用されることはほとんどないピーキーすぎるスキル。
その効果は単純にして明解。
ほぼ不可視の空想の具現化である。
「……」
彼が無言で手を払うとチーターたちは触れることなく飛んで行く。
「……」
彼が無言で足を蹴り上げるとその直線状にいたチーターたちは宙を舞った。
『サイコキネシス』という言葉から連想される通り、この魔法はぼやけて見えるくらいの念力を自由に発生させることが出来る。射程は広く、調整できる威力の幅も広い。発動した際の効果を考えればこの上なく強力な魔法だ。
だがしかし、操作がこの上なく難しい。
まず、魔法における全てをプレイヤーが設定しなければならない。
威力、射程、発生場所、発生タイミング、これら全てを設定しなければならない。
自分の攻撃が見えないということには、メリットとデメリットでもある。
メリットは、相手は殆どその攻撃を察知できないこと。
デメリットは自分の攻撃が上手くできているのかどうかを把握できないこと。
置かれている状況を把握する際、人間はどうしても視覚に頼ってしまう。
いくら自分が放っている攻撃とはいえ、戦う際には『自分が放っている攻撃はどうなっているか』、『相手はどのように動いているのか』の二つの世界を同時に処理しなければならない。
それは脳にとって大きな負担となる。
全てを設定し全てを把握する。
戦闘中にその事象をこなせる者のみが到達する高み。
彼はそこに至っている。
「…………見え透いているぞ」
彼が手をかざすとチーターたちの全ての攻撃が停止した。
「やっぱり、化け物だな。ファースト」
その光景に様子を見ている俺は恐れおののいていた。
彼に放たれた攻撃は合計58。
それら全てをサイコキネシスで相殺しているのだ。
異次元と言っても過言ではない。
俺のよく用いている3dマップ。それを発展させてサイコキネシス用にチューニングしているのだろうか。
「ね~、アタシをミロ」
などと見惚れていると、ホリーハックに顔を掴まれて右に90°、顔を回転させて彼女の目が視界に入ってくる。
「ごめんごめん」
彼女の背後には3名のラウンズが控えて頭を突き合わせていた。
一人はロードさん。
もう一人はシルバーに赤のラインが入った鷹の兜を被った男、ラウンズ
そして最後にラウンズ
その彼らの裏でバエルさんに続いてスピードさんとシロップさんが暴れている。
「さて、どうしようか。俺は勢いで
「自業自得でしょう?でも仕方ない。私だってそうします。それはロマンだから」
右腕が黒く染まっているロードさんに対してマスターさんが同意をしている。
「まぁ、ラウンズの頭脳役が集まったということになるからいいだろう。よぅし作戦会議だ」
そしてそんな彼らをまとめ上げるアサヒさん。
「すいません。俺も一枚嚙ませてもらっていいですか?」
その輪に俺は躊躇なく首を突っ込んだ。
「リーダー由々しき事態です」
ラウンズが到来して事態は好転した。
チーターで溢れるこのダンジョンをクリアするという希望を、実感をもって感じているウェポンズ達。しかし彼らの胸にはもう一つ違う感情が芽生えている。
「その通りだ参謀!!我々は結構キャラが濃いハズなのに置いてかれている!!!」
シーロックの問いにオーバーは存在をアピールするかのように大声で応えている。そう、今彼らは置き去りにされている。そしてその状況が許せない。
「それもそうですよ!!あんな感じでラウンズが介入してきたらいくらカワイイ僕たちでもかすんじゃいます!!!」
「私は人の頭を撃ち抜ければそれでいいです!!」
一人のトリガーハッピー、リバナチュラを除いて。
「こういう時こそ参謀の出番だ。正直我々はラウンズに対しては戦力としては劣っている。つまり、アピールできない。このままウェポンズがフェードアウトしてしまうのは悔しい。悔しすぎる111だがしかし君の諸葛亮孔明と言わんばかりの頭脳で我々をプロデュースしてくれれば、ナンバーワンアイドルにさえなれるはずだ!!!」
「別に孔明、プロデューサーのイメージないですけど、いや、これは私が知らなすぎるだけか……?まぁいいでしょう。今はそんなこと考えている暇はない。ウェポンズの諸君!!!これから私の話すことを一言一句漏らさず聞いて欲しい!!」
ウェポンズ達の目に闘志が灯る。
これはプライドを守るための戦いだ。
彼らはクランの世界観を大切にしている。傍から見て茶番だとしてもそれは大事な舞台。
目立てないのは気に食わないのだ。
「私は人の頭を撃ち抜ければいいんですけど!!!!!!!!」
本当に、一人を除いて。