チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜   作:新川翔

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ここで全員轢き潰す!

「うわあああああ!!!!!」

 

 俺は数秒後には放物線を描きながら最前線のその先、敵の集まるど真ん中に着地する。

 

「……気を取り直せ!!!」

 

 だがそれは臆する理由にならない。むしろ葵には感謝しなければならない。これはいい機会だ。俺は接近戦の苦手を克服しなければならないのだから、こうやって崖に飛び込んでいくべきなんだ。

 チーターの海に近づく度、頭の中では戦略が、胸の中では期待が高まっていく。

 

(考えろ、今必要なのは────)

 

 迫りくるチーターという波。それを打破するためには相応の突破力が必要となる。

 そのための作戦をこの間に構築しなければならない。

 

(いいこと思いついた……!)

 

 

 

 所属クラン『チートハンタ―ズ』 

  ユーザー名 サム 

 

  装備・スキル構成

   素早さアップ×2

   魔法攻撃力アップ×2

   MPアップ×3

   ジェメトリースタッフ(杖)

     セットスキル 煌塵→『余燼の皇(よじんのすめらぎ)

            ファイアショット→炎王炎剣

   アポカリプスモード

 

 これから俺は山を切り崩すような作業をしなければならないのは事実。ならばより効率的にチーターどもを崩すしかない。

 既にこのダンジョンをクリアしていた俺は報酬の力を発動する。

 

「アポカリプスモード、起動!」

 

 徐々に体力が減ることを代償に放つ魔法を強化する『アポカリプスモード』により炎の剣はより高い熱を帯びる。

 

 

 

 さぁ、まずは初撃だ。風を切りながら思考をぶん回す。

 

 

 

 一秒後にはチーターたちに激突している。彼らは反応しきれていないので攻撃がこの一秒の間に飛んでくることはない。

 だから、ありったけの一撃をかまして先手を打たなければならない。

 この接近戦では相手を圧倒することが求められる。故に先手はド派手に決めなくてはならない。

 

 

 

 まずは0.2秒で全ての炎剣たちを右手で握る杖に集めた。

 

 

 杖は炎に包まれて刺々しい朱い槍と化す。特に穂先はいくつもの剣を重ねているためいくつもの刃が並列に、穂先を円で囲むように並んでいる。

 そして選択するのは俺が知っている最も鋭く破壊力のある一撃。その模倣。

 

炎剣模倣(ブレイズ・イマージュ)螺旋穿牙(らせんせんが)

 

 砲弾が一直線にチーターの波へと激突した。

 赤い炎が四方八方に炸裂する。穂先に集まっていた朱い剣が爆発。着弾地点のチーターたちは完膚なきまでに焼却された。

 

 

 焼き切れた周囲2メートル。爆発により作り出された更地に一人立つ俺。

 

 

 そこに立った俺は胸に溜まった期待感、及びこれから奴らを蹂躙するんだという征服者の全能感をにやけながら言葉に漏らした。

 

「……覚悟しろ」

 

 まずチーターがいる周囲360°に炎剣を放つ。

 それでも奴らは倒しきれない。なんせ山のようにいるのだからその程度では消えないのだ。だがそれでいい。奴らの攻撃ルートを制限することが出来る。

 

 奴らはすぐに俺にめがけて拳を放ってくる。数は膨大だとは言え既に頭の中に入っているのだから対処は可能だ。

 

 すぐさま杖に新たな剣を補充して振り回すと、拳たちは全て叩き落されて拳の持ち主も消滅していく。

 それと同時並行でこの状況を打破する新たな策を実行する。

 目指すべき目標は第3の鍵が置かれている台座。そこに向けて巨大な炎剣をいくつか生成した。

 

「業火、放て」

 

 8本の生成が完了した瞬間に手をかざして発射。チーターたちを灰にして目標までの半ばの道が作られる。

 

 そうして出来た道に間髪入れず────

 

螺旋穿牙(らせんせんが)!!」

 

 槍の一撃を放って道を舗装した。

 

(よしこの作戦は通じるな……!)

 

 一連の行動で確証した。この行動で俺は鍵を手に入れられる。

 

(全て倒す。全て倒す。全て壊す。全て倒す!!!!!)

 

 そこからはもう止まらない。確定された勝ち筋を頭に叩き込んで自動的に前へ前へと突き進む。

 

「ははは!」

 

 チーターたちが弾ける。

 

「読めているぞ!」

 

 炎の剣が必中の攻撃達を相殺する。

 

「ドンピシャ!!!」

 

 炎の槍が道を拓く。

 

(ああ、楽しい!敵が溶けていく!)

 

 経過時間は9.2秒。

 

 

 覚醒した俺は圧倒的な戦術眼でチーターの波を制覇した。

 

 

 すぐに台座から鍵を奪うように取って天に掲げる。

 

「ぐ~だね。サム」

 

 俺に追いついてきたホリーハックがそれはもう、心の底から嬉しそうに駆け寄って来てグータッチを求めてきた。

 

「うん!よし『ぐ~』っ!」

 

 俺が彼女の拳に拳を合わせているとバエルさんが現れた。

 

「……サム、お前は恐ろしいな」

 

 その表情はまるでありえないモノを見たかのような目をしていた。

 

(ビビッてもらわなくてもいいんだけどな……)

 

「どこがでしょうか?」

 

 少し傷ついた俺はちょっとだけ不満を顔に出しながら語り掛ける。

 

「成長スピードのことだ。どうしてこの短時間の間にラウンズと並べるほどの実力にまで昇りつめている?」

 

「皆さんのおかげです」

 

「謙遜は……」

 

「皆さんの力を吸収できるからです。俺は機会に恵まれている。強みやきっかけさえあれば俺はいくらでも成長できる」

 

 バエルさんの言葉を遮ってしまったがハイなっていたからか言葉を吐き続けるのをやめられなかった俺は、自分がここまで強くなれた理由を語り続けてしまった。

 

「そうか、それは今後とも要注意だな。お前は」

 

 彼は何故かサングラスをかけてから俺たちの前、全ての鍵を嵌める第3層に繋がる巨大な扉を撫でるように触れた。

 

「それでは次へ行くぞ」

 

「了解です」

 

 彼の言葉に応えてすぐに三つある鍵穴に全ての鍵を嵌める。

 全ての鍵を開ける時には俺たちの背後に全てのラウンズ、ウェポンズのメンバーが揃っていた。

 

 

 開かれた扉の先は真っ暗。

 

 

 これはただの仕様だと判断した俺は臆することなくその暗闇に飛び込んでいく。

 残りは第3層。本来ならばこのステージで発生するボスラッシュを制することが出来れば、このユグドラシルというダンジョンはクリアとなる。さらにキリュウさんが先行している筈だ。彼とも合流して攻略を確実なものにしておきたい。

 

 

 暗闇の中、ロードが終わると目の前には巨大なホールが広がった。

 

 

「間に合ったか。サム、ホリーハック」

 

 繰り広げられているのは激戦。その中心に立つのは黒衣の二刀流の剣士だった。

 

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