チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜   作:新川翔

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熾烈すぎる戦い①

 サムとウェポンズ、そしてラウンズが第2層を攻略しているその時、第3層ではより一層熾烈な戦いが繰り広げられていた。

 

 ダンジョン『ユグドラシル』の最後のステージ、第3層。本来ならば2回のボス戦を制覇することでクリアできるその層は、チーターたちの占領によりクリア条件さえ変化していた。

 

 侵入者を待ち構えるのは三つの壁。これを制覇しなければ彼らはこのダンジョンをクリアできない。

 その全ての壁は凡百のプレイヤーでは幾千と挑んでも万に一つも破れないほどに、過剰で頑丈なものとなった。

 

 何故そうなったのか。

 それはとある二人の第2層での活躍が暴力的過ぎたから。本来、ステージ2はAIではなく生のプレイヤーによる物量攻めを行う予定だった。

 だがしかし、覚醒した天才たちにより蹂躙されてしまい士気が壊滅。再起不可能の状態に陥ってしまった。

 

 故にチーターたちを支援していたセカンドマキは最終手段に出る。彼、もしくは彼女が知る最強のチーターたちに最強のチートを用意して第三層最初の壁として配置した。暴力的な強さを持つ二人を討伐するために。

 

 プレイヤー名、クラッシャー。自称『ゲーム潰し』

 かつてオンラインFPSの大会にて選手のアカウントをハッキングしてその存在を知らしめた最悪の目立ちたがり屋。

 装備・スキル構成

  海神の大杖

   セットスキル アトランティック・ポイント

          →アトラスの槍

  魔法攻撃力アップ×7

 

 プレイヤー名、クライ・ハート。

 元プロゲーマー。数多のジャンルの数多の世界大会で優勝経験を持つ天下無比の強さを持つ。

 装備・スキル構成

  青薔薇の霊剣

   セットスキル 心臓荊棘

  血濡れた片手斧

   セットスキル 鬼神合掌

  流星剣戟(ステラ・ストライク)

  素早さアップ×3

  攻撃力アップ×2

 

 

 『エンド』

 これまでに幾つものチートを作り出し売りさばいてきたチート職人。その数は千を超える。

 装備・スキル構成

  国土無双のハルバード(2枠)

   セットスキル ガルグロック

          ファイアショット

  インペリアルステップ

  魔法攻撃力アップ×3

  素早さアップ×2

 

 選りすぐりのハイチーター3名はセカンドマキの指示の元、覚醒した天才たちを仕留めるために待ち構えていた。

 

 

「……ん?誰もいないな?」

 

 

 キリュウとクレナータが第三層に足を踏み入れたその時、そこには彼ら以外のプレイヤーはいなかった。ステージは正方形の箱型、壁と床は薄暗い緑のタイルが敷き詰められておりそこから四方八方に太い木の枝が生え散らかしている。

 一見目視では敵の姿は確認できないが死角は十分にあるので警戒せざるを得なかった。

 

「クレナータ、やはりここはもうユグドラシルでは尋常ではないようだ。攻略情報とかなり乖離している」

 

 通常のユグドラシルではここで第一のボスと戦闘が開始されるはずだった。

 ただしかし、そのボスはいつまでたっても現れない。警戒しながら歩き続けるしかない彼らは進行方向に違和感を見つけた。

 

「あれ……?」

 

「……む?」

 

 本来この部屋はボスを倒すと最後のボスの部屋へと繋がる扉が開く仕様となっている。だがしかし視線の先にある荘厳な扉は開かれている。

 開かれている筈のない扉が開かれている。まるで侵入者たちを誘い込んでいるように。

 

「確かに、もう普通じゃあり得ないことが起きていますもんね。でも私たちなら楽勝では?」

 

「そうかもしれない。が、注意事項を共有しておこう」

 

 今後起きる出来事を予測したキリュウはゆっくりと説明する暇がないだろうと判断していた。

 

「MPは惜しむな。惜しんで倒せる相手ではない。だがしかしHPはゼロにするな。恐らく二度とこのおかしなダンジョンには戻れないぞ」

 

「はい。それじゃあ次の手はどうします?敵、いますよね。これ」

 

「反射神経に任せろ」

 

 作戦を告げた瞬間、二人は扉に向かって走り出した。

 あまりにも軽い足取りで5秒後にはその扉に到達できそうな勢いであったが、妨害が入る。

 

 

 

「アトラスの槍」

 

 

 彼らのそれぞれの足元に水でできた槍が出現した。

 二人は突如放たれた攻撃を容易に反応し回避行動に入る。

 チーターの存在を受け入れすぐに周囲を確認。攻撃を仕掛けた存在を認知できなかったものの、ソレがどこかにいることを確信した。

 

「死角だ!」

 

「了解!」

 

 キリュウの指示のもと、彼らは散り散りとなってアトラスの槍を放った者を探し始めた。

 

 

 そしてキリュウがすぐ近くの大きな木の根を通り過ぎたその瞬間、茶髪で背と四肢の長い黒人のアバターがハルバートを振りかぶりながら現れる。

 

「ガルグロック!」

 

 

 

 

 しかし彼は動じない。そして対処もしない。その理由はさらに襲い掛かってくる存在を見つめているから。さらに────

 

 

 

「インペリアルステップ!」

 

 頼もしい味方がいる。

 クレナータの攻撃により、斧の攻撃は防がれる。

 衝撃をするりと潜り抜けて、男は更なる脅威の着地点へと走り出す。

 

「待っていたぞ!!キリュウとやら!!!」

 

 その時、天上から一人の男が降ってきていた。右手には青い薔薇のつるが巻き付いてある剣。左手には錆びて血濡れた片手斧。金色の短髪で目は赤く、白い鎧に身を包んだアバターの男が満面の笑みを浮かべながらその斧を掲げている。

 

「鬼神合掌!!!」

 

「ステラ・ストライク」

 

 そして両者は衝突する。赤いエフェクトと青いエフェクトは0.5秒だけ弾け、衝撃波が2人を引きはがす。

 

「本当に、待って、いたぞ!!!!!」

 

 衝撃波で後退した金髪の男、クライハートは号泣し鼻から汁を垂らしながら叫んでいる。

 

「俺は待っていな「俺は待っていた!!!!!」

 

 金髪の剣士はキリュウの心底興味のないことを示すあきれ顔と回答など知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。

 

「見ていたぞ、見ていたぞ今までの戦い全て!!!お前は俺が倒すべきボスそのものだ!!!何故なら────」

 

「アトラスの槍」

 

 勝手に喜んでいる男の言葉などお構いなしに新たな槍がキリュウとクレナータの足元に生えてきた。

 二度目の不意打ちであったが、特に彼らには支障がなく、それぞれが回避を成功する。だがしかし回避をするということは動きが予測されやすくなるということ。

 クレナータは黒人のアバター『エンド』から、キリュウはクライハートから攻撃を受ける。

 両者なんとか攻撃を防御するものの、吹き飛ばされてしまい背中合わせになってしまった。一見追い込まれた状況ではあるが彼らの戦意は全くもって衰えない。

 

「行くぞ。クレナータ。最後の教えだ。全てに反射しろ」

 

「キリュウさんてムリゲーなこと言いますよね。……がんばりまーす」

 

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