死神inハイスクールD×D   作:バキュラø

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前回の続きです。どうぞ


ゼノヴィアと一護②

 そこには先日の一件の時の黒い着物姿とは、まるでかけ離れたカジュアルな出で立ちで佇む一護の姿があった。

「全く。何でこう処刑とかされそうになるやつらは、すぐに諦めちまうんだよ‼」

 一護はそう叫び、ゼノヴィアに視線を向ける。

 

『何だ貴様は‼』

 

『神聖な儀式を邪魔しおって。天罰が下るぞ。』

 

『これは掟なのだ。神の不在を知るものは一部の者に留めねばならんのだ。部外者は去れ‼』

 異端審問会の男たちは突然の乱入者に驚きつつも罵声を浴びせかける。

 

 

「掟だからって、簡単に命を奪っていいとでも思っているのかよ。」

 

 一護はどこか、ルキアを助けに尸魂界(ソウルソサエティ)に乗り込んだ時のことを思い出していた。

 だが、あの時とは確実に違っていることを強く感じさせられていた。処断を下す者たちが例外なく愉悦に浸っていることである。

 尸魂界の時は少なくとも処断までは粛々と、かつ事務的に行われていた。何せ、無抵抗にした同胞に処断を下すのだ。面白いことがあるはずがない。

 一護は、彼らの狂気を感じさせられていた。

 

 

『そうだ。我らは神の意志を代行するものなのだ。その行いを邪魔する者も、断罪の対象じゃ。』

 目に明らかな殺意を浮かべ、ゼノヴィアに向けていた刃を一護に向ける。

 

「クソッ…話にならねぇ。俺は、掟だからってありもしないようなことで処断するなんてことは絶対に認めねー。ゼノヴィアは、連れて行かせてもらうぜ。」

 そう言い切り、一護の足元が明滅したかと思うと一護の姿が掻き消え、刃を向けるものを全員一撃で打倒し、ゼノヴィアの前に現れたのだった。

 ゼノヴィアは、それを呆然と見送ることしかできなかった。

 

「まだ、追手が来るかもしれねー。とにかくここを抜け出すぞ。」

 その突然の言葉と行動にゼノヴィアは唖然としてしまい、言葉に従って動くことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このあたりの路地裏まで逃げてくりゃ、とりあえずは大丈夫だろ。」

 

「…どうして。」

 

「ん?」

 

「どうして、私なんかを助けたんだ‼‼お前からしたらあの日あの戦場にいただけの間柄だろう。なぜ、そんな相手を危険を顧みず助けようと出来る?」

 私の中には、さっきまでの諦観とは一転して激情が荒れ狂っていた。なぜ、そんな行動が自然とできる。私なんか、助ける価値もない人間なのに。

 

「なぜってそりゃ、俺はたくさんの人を守るって決めてるからな。守らなきゃいけない人がいるなら、俺は助けに行くぜ。まあ、こんなことになるなんて知らなかったなら、助けにもこれなかっただろうがな。」

 

「…なら。」

 なら、どうして彼は断罪の場のことを知ることが出来たのだろうか。

 

 

 

 

「アーシアっていったかな。頼まれたんだよ。お前を助けて欲しいって。」

 

「ッ‼」

 

「『教会の信徒である彼女が、神の不在なんてことをを知れば私のように追放どころじゃないかもしれません。私たちは事情があって助けに行くことが出来ません。一護さん、どうか力を貸してくださいませんか。』ってな。まあそういうわけだ。」

 

 そうか、彼女が。

 私は彼女につらい言葉しかかけていないのに。恨まれても私は仕方なかったというのに。

 こんなにも暖かいものがこみ上げてくるものなのだな。人に想ってもらえるというのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが。

 

 

「せっかく、助けてくれたのにすまないが、アーシアには、お礼だけを伝えてはくれまいか。」

 

「ハァ?」

 

「『神が死んでいた。』それなら、もう私には生きる理由なんてないんだ。」

 

「おい。」

 彼の表情が、言葉が、次第に怒りを宿すが私は話すことを止められない。

 

「それに、私は許されない過ちを犯している。」

 決して、自分から望んではいなかった。でも異教徒を断罪したんだ。この手で。その事実は変わらない。この血に濡れた手も。だから、助けてもらっても一緒にはいられない。

 

「今更、明るい場所で生きていくのは……ッ‼‼」

 出来ないんだ。そう、言おうとした。言うことが出来なかった。

 いきなり、顔を平手で打たれたからだ。私は目を瞠る。

 

 私の顔を真正面から見つめながら彼は話し出した。

 

「ふざけてんじゃねーよ‼神が死んでた?それが起きたのはずっと前だろ。その間、お前に何か不都合でもあったか。ねーだろうが。そんなことで死のうとなんか…すんなよ。」

 

「…でも。」

 

「…俺は死神だ。死神ってのは、いわゆるこの世とあの世の魂の均衡を司るバランサーの役目を負っている。だから死んだ人間の魂、霊ってのが見えるし、話せたりもする。」

 

「ッ‼」

 

「そんな中には、事故に逢っちまったガキとかだっている。もっと生きてたかったって泣いてた奴もいた。」

 

「…」

 

「おまえが、どんなことをしてきて、どんな負い目があるかは、俺は知らない。話してくれるなら聞くが、話したくなきゃ別にいい。無理に知ろうとは思わねーからよ。」

 

「でもよ、それで死のうなんて思わないでくれ。生きてくれよ。お前のことを心配して、想ってくれる奴がいるんだから。」

 

「…ぁ。」

 私は生きていてもいいのか。こんな私が一緒にいても。

 

 そう思ったら涙が止まらなかった。一護の胸に縋り付いて泣き、嗚咽を漏らした。私はしばらく、そうしていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくれてありがとうございました。急ぎ目だったのでどこかミスってるかもしれません。
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