仮面ライダーレジェンド VS ツーカイザー 作:キャメル16世
これまでの、「仮面ライダーレジェンド VS ツーカイザー」は……
皆様、バトラーです。
仮面ライダーダークレジェンドの襲来により、仮面ライダーレジェンドとツーカイザーは危機に陥ります。
「こうなれば、実力行使だ…!」
「カッタナー!覚悟は良いか!?」
「もちろんだぜアニキ!」
仮面ライダーの力を使い対抗するレジェンド。
しかし、相手もまたダークライダーに変身し、更なる力でレジェンドを圧倒していきました。
「レジェンドの力……そうか…奴は他のライダーに変身出来る力を手に入れてしまったのか…!」
「殺れ!我々の力を思い知らせてやるのだ!」
倒れるレジェンド。しかし彼のピンチに駆け寄ったのは、まだ諦める事を知らないツーカイザーでした。
「俺は諦めねぇ…!世界を取り戻し、妹を取り戻すその時までなぁ!」
ですが、我々は衝撃の事実を知る事となります。
これまで倒すべき相手であった筈の仮面ライダーダークレジェンド。
その正体こそ、彼が探し求めていた自身の妹。
フリント・ゴールドツイカーだったのです──
仮面ライダーレジェンド
VS
ツーカイザー
ep.5「ヴィーナス!兄妹の絆!」
「……」
「……フリ…ント…?」
「フハハハハ!驚いたかァ!?貴様の妹は既に私の手の内にあるのだ!貴様らがいくら抵抗しようと、私の策略に勝る事などないッ!」
「……て、てめぇ…!だったら!力ずくで取り返して──」
「おぉっと!安易に変身解除させない方がいいぞぉ?」
ゾックスは再びギアダリンガーにギアを装填しようとした。しかし、クダチは煽るようにそんなゾックスに向けて手を立てる。
「このドライバーはとても強力でねぇ…耐性の持たない人間が使用すれば、身体に大きな負担がかかる。倒されれば全身の細胞が破壊され…やがて死に至る」
「…………そ…そんな……」
クダチから告げられる残酷な事実。
その言葉を聞き、ゾックスは膝から崩れ落ちた。
「フッフフ…これでツーカイザーの戦う気力は失われた……勝負ありましたねぇ、仮面ライダーレジェンド」
「……クッ」
勝利の余韻に浸りながら、クダチはカグヤ様に顔を覗かせる。
不気味なその笑みに、思わずカグヤ様の表情は強ばる。
「……さぁ、フリント君。これ以上彼らを生かしてあげるのも可哀想だ……ゆっくりといたぶりながら、殺してあげなさい…!」
「……」
フリントはクダチの言葉に対し応えはしないものの、黒いレジェンドライバーを構えた。
『 DARK LEGENDRIVER 』
漆黒の帯がフリントの腰に巻き付き、フリントはそのまま黒いカードを取り出した。
そのカードを手のひらでひっくり返すと、鈍色に包まれたダークレジェンドが姿を現した。
『 CHEMY RIDE… 』
カードをダークレジェンドライバーに装填し、フリントは投げキッスをするような動作をする。
「……変身…」
フリントはそう言うと、ダークレジェンドライバーを90度回転させ、漆黒の扉を解放した。
『 DARK LE・LE・LE・LEGEND!』
フリントの身体は変化し、漆黒の姿にエメラルドグリーンの瞳が邪悪に光る。
「……クッ…こうなれば…!」
カグヤ様は病む負えず、レジェンドカメンライザーを取り出し、重たい身体を起こして銃口をダークレジェンドへと向けた。しかし、そんな時だった。
「……や…やめろォ!」
「クッ…!貴様!何をする!?」
「フリントは…!俺の妹だぞォ!!」
パニックにより混乱しているのか、ゾックスはカグヤ様の腕を掴み、必死に抵抗していた。
「クッ…このままでは二人ともやられてしまうぞ!?」
「黙れぇぇ!!」
もはやカグヤ様の言葉など届いていない。
そうこうしている間に、ダークレジェンドは二人に一歩づつ近付いている。
「…っ…まずい!」
「…っ!カグヤ様!ここは一旦引きましょう!」
「バトラー…!」
いてもたってもいられなくなった私は、レジェンドライドマグナムの威嚇射撃で相手を眩ませ、我々3人は逃げ出す事に成功した。
「……逃げたか…まぁいい」
「……」
「…奴はまたいずれ現れる。その時を、ゆっくりと待とうではないか……ハハハ!ハッハッハッハッ!」
「……」
屋敷に帰って来た我ら。
戦いの傷を癒す為、カグヤ様は宝石風呂に浸かっているご様子だった。
ゾックスはフリントの件で立ち直ることが出来ないのか、暗い客間で座り込んでいるようだった。
「……湯加減は如何ですか?カグヤ様」
「……」
豪華な宝石風呂に浸かっているカグヤ様。しかし、そこからはゴージャスさを一切感じる事が出来ない。
私の質問に答えることも無く、カグヤ様はただただ、暗い部屋で宝石風呂に浸かっていた。
「……バトラー」
「…はい」
少ししてから、カグヤ様が切り出した。
「…どうしてお前は、そこまで慕ってくれるのだ?」
「……え?」
「…戦いに敗れ、ゴージャスでなくなったこのカグヤ様に…どうしてそこまで遣える事が出来る?」
「……」
これはきっと、カグヤ様の心の悩みそのものであろう。
確かにダークレジェンドの力は絶対的なものだった。到底我らに太刀打ち出来るものではないと断言出来る。
しかし、彼の問いに対する答えなど、既に決まっている。
「……愚問ですね。カグヤ様」
「……」
「…それは…カグヤ様が、カグヤ様であるからです」
「……そういう事を聞いた訳では──」
「随分と、前の話になります…」
「……っ」
私は彼の言葉を断ち切り、おそらく初めてであろう自分語りを始めた。
「……私の故郷がハンドレッドの襲撃に遭った際の事です。私の故郷は炎に焼かれ、血でまみれ、人々の悲鳴が飛び交う状態でした」
「……」
「…全てを失った私は、自ら命を絶とうとも考えました。ですが少しの希望を信じ、私は何とか生きながらえました……しかし──」
「……ハァ…ハァ…!」
「居たぞ!一人残らず殺せ!」
迫り来るカッシーンは、私を見逃さなかった。
まるで忌み嫌われる害虫のように、執拗に私を仕留めようとしていた。
「…ハァ…ハァ……アッ!」
一瞬の油断が命取りとなり、私は地に伏してしまい奴らに追いつかれてしまった。
「……あ…あぁぁ…!」
「人間よ。死して我々ハンドレッドの礎となれ!」
「ああぁぁぁ!!」
絶望した私には、死を受け入れるしか道は無かった。
しかし、そんな時でした。
「ぐわぁっ!」
「……っ?」
「……大丈夫か?」
「……あ、貴方は…!?」
黄金に輝く一筋の輝きが、私を救ってくれたのです。
絶望の世界でも希望を忘れず、決して輝きを絶やさせない。そんな貴方の心に惹かれ、私は貴方の執事になる事を心に決めたのです。
「…これは、恩返しなどではありません。私が貴方のそばに居たいと思った故。貴方が常に世界を輝かしい光で包められるように支えたいと思った故。私が貴方に遣える理由は、それだけです」
「……バトラー…」
「……カグヤ様は、私にとっての光です。そして、世界にとっての光です。貴方の輝きが世界を変える。私はその瞬間を、そばで見届けていたいのです」
「……」
カグヤ様は私の言葉を静かに聞いてくれた。
こんなに自分勝手な執事で、大変申し訳ございません。ですが、この私のわがままが、貴方の何かのきっかけになる事を願って……
「……どうやら、俺は勘違いをしていたようだ」
「……」
「…何も恐れる必要は無かった。お前のおかげで、目が覚めた。ありがとう」
「……いいえ、全てカグヤ様の力ですよ」
「……ふっ…バトラー、先程の答えだが…」
「……」
「いい湯加……いや、ゴージャスな湯加減だ!」
「……はいっ」
カグヤ様はゴージャスさを取り戻し、宝石風呂から上がった。
向かった先は客間。
そこでは今も尚俯いているゾックスの姿があった。そばではリッキーとカッタナーがゾックスに声を掛けている。しかし、彼はそんな声にも答えない。
「おい貴様、そんなところで何をやっている」
「……」
そんな事もお構い無しに、カグヤ様はゾックスに声をかける。
「こうしてる間にも、ハンドレッドは勢力を拡大し我々の世界を襲っている」
「……うるせぇ…俺の知った事じゃねぇ」
ゾックスはようやく言葉を返した。しかし、そこには活力を感じない。先程までの勢いが嘘のようだ。
「…貴様はこんなところで縮こまっている程、ちっぽけな人間だったのか?」
「…っ…お前に何が解る!?」
カグヤ様の言葉がゾックスの逆鱗に触れる。
激昂したゾックスは、カグヤ様の胸ぐらを掴み物凄い形相でカグヤ様を睨み付けていた。
「家族を失うかもしれないっていう恐怖が!?苦しみが!?お前に解んのか!?」
「……ああ、解らないな」
「…っ…!」
カグヤ様の淡々とした話し方と、小馬鹿にしたような目。ゾックスはその目に対して更に力む。
しかし、その目には理由があった。
「俺には、家族が居ない」
「……っっ!」
カグヤ様の言葉に、ゾックスは目を見開く。
同時にゾックスの力んだ手も徐々に解けていく。
「…幼き頃、ハンドレッドが世界を襲撃した時…父も母も、兄も妹も、そして祖父も…全て失った」
「……」
「絶望した。全てを投げ捨てたくなった。だがそんな時…一筋の光が、俺を照らした」
「……カグヤ様…」
カグヤ様は自身の過去を語った。
仮面ライダーに救われ、仮面ライダーを志し、仮面ライダーに愛されるべき存在となった、その起源を。
「その時、心に誓った。俺は俺の輝きを信じ、この世界を変える。その為に俺は、仮面ライダーになったんだ」
「……」
「……ゴージャスに生きる事こそが、カグヤ様の戦いだ。だからこんなところでは挫けない」
カグヤ様は一瞬我に返ったような表情を取り、ゾックスの目をまっすぐと見た。
「……貴様はどうだ?何の為に戦う力を得た?」
「……」
「…貴様の戦う理由はなんだ?生きる理由はなんだ?」
「……俺は…」
「…そんな事も分からないような奴に、このカグヤ様の隣に立つ資格は無い。宝石風呂にでも浸かって、少しでもゴージャスを磨いたらどうだ?」
「……」
ゾックスを見限ったカグヤ様は、彼と背中合わせになる位置に立った。互いの顔は見えずとも、どんな思いなのかはわかる。
「我々は、これよりハンドレッドを迎え撃つ。貴様の妹がどうなるか知った事では無いが、必ず奴を倒す。ゴージャスにな…!」
「……なんなんだよ…ゴージャスって…」
ゾックスはようやく口を開いた。
だが、嘆くようにそうカグヤ様に問う。
「……知らないのか。ゴージャスとは──」
「…っ!」
振り返ったカグヤ様のその答えに、ゾックスは反応する。
それをわかった上で、カグヤ様は再び彼に背を向けた。
「…行くぞ、バトラー」
「はい、カグヤ様」
「…あっ…待ってくれ…!」
「オレ達も行く!」
屋敷を後にしようとするカグヤ様に、リッキーとカッタナーが付いてくる。
「……」
残されたゾックスは、暗い部屋の中で独り、カグヤ様の言葉を反芻させていた。
To be continued...
Next...
「貴様らに見せてやろう!ゴージャスでマーベラスなカグヤ様の真の力を…」
「貴様の戯言にも飽きた!」
「これで遂に私の宿願が叶う!」
「だからこそ人間は、旅をする……」
「カグヤ様は…もう独りでは無い」
ep.6「リベンジャーズ!反撃のレジェンド!」