ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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罪夜 Part3

街が、唸り声を上げた。

 

 俺が一歩踏み出した瞬間、足元の舗道が波打つ。レンガが浮き、歪み、まるで生き物みたいに蠢いた。空気が重くなる。重力そのものが、こちらを押し返してくる。

 

「……邪魔、するな」

 

 視線の先。

 瓦礫と影の向こうに、星君の姿が見える。

 動かない。逃げない。拒絶するように、ただそこに“留まっている”。

 

 ――近づく。

 

 その意思だけを強く握り締めた瞬間、身体の奥が熱を持った。

 

 フィジカムインパクト。

 衝撃の夢を司る、この力は小細工を許さない。

 速さも、技巧も、逃げもいらない。

 正面から、殴り伏せる。

 

「来い……!」

 

 俺が構えた瞬間、街が答えた。

 レンガの壁が崩れ、黒い塊が押し出される。

 球体、杭、拳。形を持たない“罪”が、殴るための形を取って襲いかかってくる。

 

 最初の一撃が来る前に、俺は踏み込んだ。

 

 拳を振るう。

 装甲越しに伝わる衝撃が、腕の骨まで震わせる。

 

 ――ドンッ!!

 

 空気が爆ぜた。

 拳が黒い塊にめり込み、衝撃波が周囲のレンガを吹き飛ばす。

 街灯が揺れ、影が千切れ、路地の奥まで衝撃が走った。

 

「……っ、効く」

 

 フィジカムインパクトは、嘘をつかない。

 敵が“概念”だろうと、“街”だろうと関係ない。

 殴れるなら、壊せる。

 

 だが、街も黙っていなかった。

 

 足元が跳ね上がり、俺の身体を打ち上げる。

 壁から突き出したレンガの拳が、腹部装甲を叩いた。

 

「ぐっ……!」

 

 衝撃が、内臓に響く。

 それでも、俺は空中で体勢を立て直し、地面に叩きつけられる前に着地した。

 

 次の瞬間、四方八方から“攻撃”が来る。

 黒い拳、瓦礫の槍、影の塊。

 逃げ場はない。

 

「上等だ……!」

 

 俺は真正面から迎え撃った。

 

 右拳。

 左拳。

 肩。

 肘。

 

 衝突のたびに、爆音が鳴る。

 殴るたびに、街が歪む。

 

 フィジカムインパクトは、夢の力だ。

 “衝撃”を信じる心が、そのまま力になる。

 

「邪魔するなら……全部、殴り倒す!」

 

 瓦礫の拳を掴み、引き寄せ、そのまま頭突きを叩き込む。

 衝撃波が炸裂し、周囲の建物がまとめて崩れ落ちた。

 

 だが、崩れた先から、また街が再構築される。

 罪は、簡単には壊れない。

 

「……星君は、ここだろ」

 

 俺は前を見る。

 衝撃の中、星君の姿は、まだそこにある。

 

 近づこうとすると、街が必死に距離を引き延ばす。

 一歩進めば、十歩分の瓦礫が生まれる。

 

「……どこまで、拒むんだ」

 

 答えの代わりに、最大の攻撃が来た。

 

 路地全体が、拳の形に変わる。

 街そのものが、巨大な腕となって振り下ろされる。

 

 避けない。

 

 俺は腰を落とし、全身の力を拳に込めた。

 

 拳を突き上げる。

 

 ――――ドォンッ!!!!!!

 

 衝撃が、世界を割った。

 

 拳と拳がぶつかり、衝撃波が放射状に広がる。

 空が揺れ、地面が沈み、街が悲鳴を上げる。

 

 巨大な腕が砕け散り、瓦礫が雨のように降り注いだ。

 

 膝が震える。

 腕が痺れる。

 それでも、止まらない。

 

 俺は瓦礫の中を突っ切り、前に進む。

 

「……星君!」

 

 距離が、確実に縮まっている。

 街はまだ攻撃を続けてくるが、その勢いは鈍っていた。

 

 フィジカムインパクトは、正面突破の力だ。

 罪を抱えた街だろうと、殴り続ければ、道は開く。

 

「放っておけ、なんて……」

 

 息を吐き、拳を握り締める。

 

「そんなの、出来るわけないだろ」

 

 俺は、再び踏み出した。

 衝撃を纏いながら、星君の闇へと、真正面から突き進む。

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