ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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衝撃 PART4

 錆びた鉄の匂いが、肺の奥まで染み込んでくる。

 

 ロードファイブが一歩踏み出すたび、地面が“壊れる”音を立てた。ただ崩れるんじゃない。砕けて、歪んで、二度と元に戻らない形に変質する。中核層そのものが、悲鳴を上げながら削られていく。

 

「……っ!」

 

 ショベルアームが振り下ろされる。

 

 反射的にブレイカムゼッツァーで受けた瞬間、衝撃が腕を突き抜けた。装甲越しでも分かる。これは“斬撃”じゃない。“破壊”そのものだ。

 

 刃が触れた部分から、ゼッツァーの表面が黒ずみ、軋む。使えなくなる一歩手前。あの時のジャンクナイトメアとは、比べものにならない出力。

 

「……くそ……!」

 

 跳び退いた先で、足元が崩れた。キャタピラ装甲が削った地面は、もう“踏める場所”じゃない。着地と同時に、装甲の一部が悲鳴を上げる。

 

『……万津君! 装甲損傷率、上昇! このままだと――』

 

 日菜の声が、途中で途切れた。

 

 背中に、鈍い衝撃。

 

 クレーンのワイヤーが掠っただけなのに、背部装甲が裂け、熱が走る。痛みが遅れて押し寄せ、息が詰まった。

 

 傷が、増えている。

 

 今までは耐えていたはずの衝撃が、確実に、身体を削っている。フィジカムインパクトの“強さ”が、純粋な破壊に追いつかない。

 

「……まだ……!」

 

 前に出る。出なきゃ、終わる。

 

 でも、ロードファイブは焦らない。几帳面に、正確に、俺の逃げ道を潰す。ショベル、キャタピラ、クレーン。建機の残骸が、鎧として、武器として、完璧に噛み合っている。

 

「……無駄だ」

 

 低い声。

 

「壊れるまで……続けるだけだ」

 

 次の一撃。

 

 振り下ろされたショベルアームを、今度は受けきれなかった。刃が弾かれ、衝撃が胸部装甲に直撃する。

 

 ――視界が白く弾けた。

 

 吹き飛ばされ、転がり、背中から地面に叩きつけられる。呼吸が、うまくできない。装甲の内側で、身体が悲鳴を上げているのが分かる。

 

 立ち上がろうとして、膝が笑った。

 

 限界だ。

 

 ロードファイブが、ゆっくりと近づいてくる。キャタピラが地面を削り、無数のジャンクの欠片が宙に舞う。

 

「……終わりだ」

 

 その言葉と同時に、無数の鉄の破片が俺に向かって放たれた。

 

 避けられない。

 

 防げない。

 

 ――ここまでか。

 

 そう思った、その瞬間。

 

 闇が、割り込んだ。

 

 影。

 

 鋭く伸びた影が、俺の正面を横切ったかと思うと、迫っていたジャンクの欠片が、一斉に叩き砕かれた。破壊の粒子が、空中で霧散する。

 

「……なっ……?」

 

 ロードファイブが、初めて動きを止めた。

 

 俺の視界の先、崩れた地面の縁に、もう一つのライダーが立っている。

 

 黒と青の装甲。

 身体の周囲に、静かに揺れる影。

 そして、手に握られた――ブレイカムゼッツァー。

 

「……遅くなって、ごめん」

 

 聞き慣れた声。

 でも、今までとは違う、覚悟の重さを帯びた声。

 

「ここからは――僕も一緒に戦うよ」

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