ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
瓦礫とデータ粒子が静かに落ち着き、世界の“壊れる音”が一瞬だけ遠のいた。
ロードファイブは数歩先で止まり、赤い左肩の装甲をわずかに傾けて、こちらを観察している。――待っている。次の工程に進む前の、無駄のない間。
おそらくは、今後の事を考えれば、実現するかどうかも怪しいゼッツとノクスによる共闘。
それは奴にとっても未知であり、下手な攻撃を行えば危険だと分かっているのだろう。
その隙に、俺は肩で息をしながら、最原の方を見た。
「……最原。お前、またノクスに変身したのか。無茶してないか」
ノクスの装甲は無傷に見える。でも、分かる。あいつの背中から滲む緊張は、俺が何度も見てきた“限界の一歩手前”のそれだ。
「大丈夫、とは言えないけど」
最原は、影を足元に静かに広げたまま、視線を外さずに答えた。
あくまでも、これは夢の中の為に見た目だけでは判断は出来ない
けれど、ノクスドライバーによる負荷があまりにも高すぎる。
「でも、友達を助けるなら……これくらいは、やる」
短い言葉。けれど、軽くはない。
胸の奥で、何かが静かに締まる。
「……精神、削られるぞ。ノクスは特に」
「分かってる」
最原は、ほんの一瞬だけこちらを見た。複眼の奥に、揺るぎのない決意がある。
「それでも、見捨てるよりはいい。君が前で耐えてくれたから、僕はここに立てた」
俺は苦笑した。
「……相変わらず、真面目だな」
「君に言われたくないよ」
その一言で、空気が少しだけ和らぐ。
背中越しに、同じ場所を守る感覚。何度も死線を越えて、ようやく掴んだ距離感。
俺はブレイカムゼッツァーを握り直した。装甲の内側が熱い。痛みはある。けれど、もう一歩、踏み出せる。
「……最原、一緒に戦ってくれるか?」
俺の言葉に対して、最原は頷きながらも、その手にあるブレイカムゼッツァーを一緒に構えながら、眼前にいるロードファイブに眼を向ける。
最原は影を収束させ、刃の形に整える。
「僕が影で“動きを縫う”。破壊の一撃は、君が受け止める必要はない」
「了解。俺は、衝撃で道を作る」
互いに短く頷く。言葉はそれだけで十分だ。
ロードファイブが、ゆっくりと構え直した。
ジャンクの装甲が軋み、空間に鉄の匂いが満ちる。
「……結論は出たか」
低い声。処理開始の合図。
俺は一歩前へ。
最原は半歩後ろ、影を広げる。
――守るものは同じ。
――立つ場所も、同じ。
「行くぞ」
「うん。終わらせよう」
二人が同時に、構えた。
次の瞬間、世界が再び、軋み始めた。