ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
ロードファイブが腕を振り上げた瞬間、周囲の建物は崩壊というより“使用不能化”した。壁は割れる前に色を失い、鉄骨は曲がる前に強度を奪われる。ジャンクの力が、構造という概念そのものを腐食させていく。
キャタピラ装甲が瓦礫の山に噛み込み、巨大な破片の束が掬い上げられた。次の瞬間、それらは投擲というより発射に近い勢いで解き放たれる。空気が連続して破裂し、大小の塊が弾丸の雨となって降り注いだ。
「来る!」
回避経路が塞がれる、その寸前。
黒い影が地面を滑った。
ノクス――最原が一歩踏み出す。同時に足元から広がった影が盛り上がり、槍のように何本も空へ突き上がる。
「軌道は読めてる!」
ブレイカムゼッツァーが銃撃形態へ。引き金を引くたび、圧縮光弾が直線ではなく、計算された反射角で撃ち出された。先頭の瓦礫を貫通し、後方の塊へ跳弾し、連鎖的に破砕する。
影の帯が巨大なコンクリート塊に巻き付き、締め上げ、空中で圧壊させた。砕けた破片が霧のように散る。
射撃と影の拘束が、誤差なく連動している。
「万津君! 右側、密度が薄い! そこ通れる!」
「了解!」
俺は瓦礫の隙間へ踏み込む。背後で続く爆砕音と、影が叩き割る鈍い衝撃が連続する。ノクスが開いた“生存ルート”を全力で駆け抜ける。
ロードファイブが次の投擲動作に入る。時間がない。
ゼッツドライバーにカプセムを叩き込んだ。
『グッドモーニング! イ・ナ・ズ・マ! ライダー!ゼッツ・ゼッツ・ゼッツ!プラズマ!』
雷光が落ちた。
その瞬間、身体は電撃となり走る。脚に力を込めると同時に視界が伸び、世界の距離が縮む。踏み出した一歩が直線の軌跡になり、ロードファイブの目前まで一瞬で滑り込んでいた。
空気が遅れて裂ける。
装甲の継ぎ目を雷が走り、神経と駆動が完全に同期する。
腕を上げる動作に迷いがない。
意識と出力が一直線に繋がる。
手の中に稲妻が収束し、武装へと固定された。
イナズマブラスターを手にして、弦を引く動きに合わせて、雷光の軌道が描かれる。
「撃ち抜く!」
放たれた電撃弾が、落下してくる巨大瓦礫の中心を穿った。内部に流れ込んだ電流が暴れ、亀裂が瞬時に全域へ走る。次の瞬間、塊は内側から弾け飛び、連鎖的に周囲の残骸まで粉砕した。
着地と同時に、地面が焼ける。
横で、ノクスの影刃が最後の鉄骨を断ち切った。銃撃と斬撃が交差し、残った破片を完全に消し飛ばす。
破壊の雨が止む。
崩壊の中心に、ロードファイブだけが立っている。
ジャンク装甲を軋ませながら、次の手順を測っている。
俺と最原は並び、同時に構えた。
雷と影が、同じ標的を捉える。