ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
再びソムニウム世界に侵入する事に成功した。
周囲の光景は、以前の赤松のさんのトラウマで形成された建造物とは違い、赤松が過ごしてきたピアノに関する建物が多数あった。
俺は一番目に留まる建物へと入る。
そこにはステージがあり、ピアノが設置されていた。
それと同時だ。俺に話しかける人がいた。
「万津くん」
それは最原だった。
最原もまた、向こうの世界でこちらの様子を見ていた。
「本当に良いんだな、ここから先、お前にとって」
「万津君、それでも僕も戦いたい。それに君は僕を頼ってくれたよね?それと同じように僕も頼りたいんだ」
「・・・ありがとう」
俺達は笑い合う。
そして俺は気づいた。
「これが一つ目のメンタルロックか」
一つ目のメンタルロックは優勝できなかったショックだった。
「やはりそう簡単にはいかないか」
一つ目のメンタルロックを突破する為の試練はとてもシンプルな内容だった。
最原は俺に向かって微笑む。
「これは案外簡単かもね」
彼の口調は冷静そのものだったが、目には決意の光が宿っていた。俺も静かに頷く。
目の前の巨大な壁に刻まれた文字列に視線を移す。そこには赤松楓が初めて全国大会で敗北した日のプログラム表が血のように滲んでいた。
「最原」
俺が呼びかけると同時に彼は眼鏡を直す。
「わかった。情報を整理しよう」
最原がペンを走らせる。
* 日時:20XX年8月17日
* 地点:東京国際フォーラム
* 曲目:リスト幻想曲
* 結果:準優勝
「赤松さんはこの大会で初めて優勝を逃したんだよね?」
俺の確認に最原が首肯する。
「確証はないが彼女のSNS投稿が途絶えた時期と一致する」
ふと俺は違和感を覚えた。プログラム表の端に小さな染みがある。最原がすぐさま気づいた。
「万津君! これは……」
拡大するとそれは携帯番号の走り書きだった。090-XXXX-XXXX。
「何故こんなものが」
最原が呟く。
「誰の連絡先?」
「判別できない。だが重要な手がかりだ」
我々はプログラム表を剥がし取った。すると背後の空間が歪み新たな扉が現れる。
「第一関門突破……かな?」
「そう思いたいところだけど」
最原が扉の先を覗き込んで呻いた。扉の向こうは一面の闇だった。だがその中に無数の目玉が浮遊している。
「これはまた厄介な仕掛けだね」
俺は拳を握りしめた。
「行くしかない」
扉を潜るとそこは薄暗いホールだった。数百人の観客席が全て埋まっているが全員無表情だ。前方の舞台上にはグランドピアノだけが鎮座している。
「ここは……」
俺が言葉を切ると最原が答えた。
「第二のメンタルロック『周囲の失望』の空間だろう」
「じゃあ赤松さんはここで」
「観客の期待に応えられず崩れ落ちたんだ」
舞台上に薄い残像が浮かんだ。十代半ばの少女が必死に鍵盤を叩いている。だが聴衆は徐々に無関心になり最後には全員が携帯を弄りだす。
「ひどいな」
思わず俺は呟いた。
「これが彼女の原罪か」
最原がつぶやく。
「待てよ。あの観客の中に妙な動きをしている人がいる」
最前列の左端。一人だけ拍手をしている女性がいる。
その女性の姿は。
「赤松さんにそっくり?」