ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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破壊 Part4

 灰色の腕が、さらに強く締め付けた。

 

 胸が押し潰される。呼吸が浅い。雷光が細く散り、プラズマイナズマの速度さえ鈍っていくのが分かった。

 

「……まだ、動ける……離せ……!」

 

 力を込めても、腕はほどけない。

 その時だった。

 

「万津様、もう――抵抗は十分です」

 

 耳元で囁く声。

 視線を動かすと、黒四館がすぐそばに立っていた。灰色の群れの中なのに、触れられていないみたいに静かに笑っている。

 

「……何する気だよ」

 

「決まっています。あなたを“先”へ進めるんです」

 

 彼女の指が、ドライバーの前で止まる。

 同時に、俺が装填されているカプセムを取り外した。

 これによって、俺の変身が解除される。

 そのはずだった。

 

 「あなたに相応しいのは、このカプセムですから」

 「何をっ」

 

 その次の瞬間、彼女がスーツケースから取り出したのは、見た事のないカプセム。

 

 「なんだっそれはっ」

 

 触れていないのに、装置が低く唸り始めた。

 

 「ぐっ」

 

『メツァメロ… メツァメロ…』

 

 空間が歪む。

 黒い煙が、足元から湧き上がった。

 

「……やめろ、勝手に――」

 

 言い終える前に、黒四館が一歩踏み込んだ。

 笑みのまま、俺のすぐ目の前へ。

 

「万津様は優しすぎる。だから、私が背中を押してあげます」

 

 その瞬間、彼女の身体が煙に溶けた。

 

 黒いモヤが腕の隙間を縫うように広がり、俺の周囲を包む。赤、青、緑、紫――四色の光が風車のように回り始めた。

 

「……おい、待て……!」

 

 右手が勝手に動く。

 左下から右上へ、空気を引き裂くように振り上げる。

 

「変身……!」

 

 声が、自分のものじゃないみたいに響いた。

 

 握った拳で、メアトリガムを叩き込む。

 

『パルバライズ! ライダー!』

 

 衝撃が身体を貫いた。

 黒い煙の中で、黒四館の声が重なる。

 

「大丈夫。壊れませんよ、あなたは」

 

 強化被膜が膨れ上がり、装甲が軋む。

 腕が、肩が、胸が、別の形へ盛り上がっていく。

 

『ゼッツ・ゼッツ・ゼッツ!』

 

 雷じゃない。

 重たい圧力が、内側から押し出してくる。

 

 煙が竜巻のように巻き上がり、俺と黒四館を一つに包んだ。

 巨大ナイトメアの腕が押し寄せるが、渦に触れた瞬間、弾かれる。

 

 息が詰まる。視界が暗い。

 でも――胸の奥で何かが目を覚ました。

 

 竜巻が、急に収束する。

 

 すべての光が、身体へ吸い込まれた。

 

 複眼に、緑の光が満ちる。

 

『カタストロム!』

 

 灰色の拘束が、音もなく砕けた。

 

 地面に降り立った瞬間、重力が変わったみたいに世界が静まる。

 拳を握る。装甲がきしむ。視界の端で、黒四館の声だけが残った。

 

「――ようこそ、万津様。本当の舞台へ」

 

 巨大な影を見上げる。

 さっきまで感じていた焦りが、妙に遠い。

 

 群れの奥で、ナイトメアの腕がゆっくりと持ち上がった。

 

「破壊する」

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