ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
白い作業室に、緊張が沈殿していた。
机の中央に置かれたのは、ブレイカム・モジュラー。
白銀の筐体に、蒼いラインが静かに走っている。
伊達がそれを手に取った。
「……こいつに、アイボゥを入れるんだな」
入間が腕を組む。
「言っとくけど、成功率は未知数よ。
カプセム用スロットにAI人格をぶち込むんだからね」
「上等だ」
伊達は淡々と答える。
日菜がモニターを睨む。
「アイボゥの演算出力を圧縮変換。エネルギー化じゃない。情報を疑似出力に変換する」
青い光が、スロット内部に灯る。
小型のデータユニット――
アイボゥが、カプセムの代わりに装填された。
一瞬、静寂。
「……接続、開始」
ブレイカム・モジュラーの中央部が淡く光る。
伊達がグリップを握り、
ガンモードへとスライドさせた。
金属音。
『グッドモーニングライダー!テクノロム』
蒼い光が噴き上がる。
だがそれは、ゼッツの変身のような爆発的なエネルギーではない。
静かで、精密な光だ。
伊達がダミーコアに触れる。
「変身」
次の瞬間、視界が変わった。
世界に線が走る。
空間の奥行きが数値化される。
温度、心拍、電磁波、微細な振動――
あらゆる情報が視界に重なった。
蒼い装甲が、伊達の身体を覆う。
白銀を基調に、
胸部と肩部に青いライン。
右目には薄いバイザー。
その内部に、情報が流れ続けている。
背部から、小型のドローンユニットが展開。
アイボゥの声が、頭の奥に響いた。
『リンク完了。演算補助開始。伊達、右斜め後方三十度に異常反応』
伊達が視線を向ける。
壁の裏に隠されていた微弱な干渉装置が、可視化されている。
「……見えるな」
入間が目を見開く。
「マジで起動したの?」
日菜の指が高速でキーボードを叩く。
「神経負荷は上昇中。ただし安定圏内」
伊達はガンモードを構える。
蒼い光が銃身に集まる。
だがこれは単なるエネルギー弾ではない。
アイボゥが補助する。
『軌道補正完了。命中確率99.7%』
トリガーを引く。
青い閃光が放たれ、
隠された装置の核心だけを正確に撃ち抜いた。
破壊は最小限。
だが、狙いは完璧。
「……派手さはないが、悪くない」
伊達が静かに言う。
その瞬間、脳裏にノイズが走る。
視界の情報量が急増する。
アイボゥの声が僅かに重なる。
『演算負荷増大。人格レイヤー干渉注意』
頭の奥が焼けるように熱い。
「……長時間は無理だな」
蒼い装甲が微かに揺らぐ。
入間が叫ぶ。
「無理すんな! 出力六割って言ったでしょ!」
伊達は小さく笑う。
「分かってる。これは主役の力じゃない」
蒼い光が収束し、変身が解除された。
静寂。
日菜が数値を確認する。
「精神負荷は高い。ただし制御可能」
入間が腕を組む。
「成功ね。完璧じゃないけど、十分戦える」
伊達は装置を見つめる。
「万津の中に入るなら、
これは悪くない武器だ」
青いラインが、まだ微かに光っていた。