ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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繋がり Part5

モニターの光が静かに揺れる会議室の中で、日菜はスキャン装置のログを確認しながら次の属性の検索を開始した。

エスプリムの適合者がゴン太で確定したことで空気はわずかに軽くなっていたが、残る二属性の中でも最も難しいとされているのがパラダイムであり、誰もが無意識に表情を引き締めていた。

 

「次はパラダイム」

 

短い声。

 

だが、それだけで場の温度が一段下がる。

 

伊達が椅子の背に体を預ける。

 

「一番条件が厳しいやつだな」

 

最原も頷く。

 

「空間干渉や認識操作……でしたよね」

 

日菜はモニターに複数の解析図を映し出す。

紫色の波形と、空間構造の立体モデル。

通常の戦闘能力とは明らかに違うデータが並ぶ。

 

「パラダイムは身体能力ではない。

精神安定とも違う」

 

静かな説明。

 

「世界の“認識構造”を読み取り、干渉する力」

 

入間が腕を組む。

 

「つまり戦闘力じゃなくて、空間のルールを理解するタイプの才能ってこと」

 

伊達が肩をすくめる。

 

「そんな奴、そうそういないだろ」

 

最原が苦笑する。

 

「普通の人には扱えない力ですね」

 

日菜は淡く頷く。

 

「だから適合条件が最も厳しい」

 

画面の候補者データが高速で流れる。

だが紫の波形は、どれも微弱なままだった。

 

沈黙。

 

入間が小さく息を吐く。

 

「ほらね。

やっぱり簡単には出ないじゃない」

 

その時。

 

紫のラインがわずかに動いた。

 

最原が気付く。

 

「……あれ?」

 

日菜の指が止まる。

 

「反応」

 

短い声。

 

モニター中央の波形がゆっくりと上昇していく。

紫のグラフが安定した形を作り始める。

 

入間が目を見開く。

 

「ちょっと待って、今の……!」

 

伊達が画面を覗き込む。

 

「本当に出たのか」

 

最原も息を呑む。

 

候補者データが展開される。

 

表示された名前。

 

赤松楓

 

一瞬、誰も言葉を出さなかった。

 

入間が驚いた声を上げる。

 

「えっ、赤松!?」

 

伊達が眉を上げる。

 

「ピアニストの?」

 

最原が静かに頷く。

 

「……確かに、音楽家なら空間の響きを読む能力はある」

 

日菜がデータを拡大する。

 

「適合率……九十四パーセント」

 

紫の波形が安定する。

 

入間が画面を見ながら言う。

 

「でも、なんでサウンドカプセムと一致してるの?」

 

日菜が説明を続ける。

 

「サウンドカプセムは通常生成ではない」

 

短い間。

 

「赤松楓のナイトメアと、彼女の超高校級の才能が融合して生まれたカプセム」

 

伊達が腕を組む。

 

「本人の力が結晶化したってことか」

 

最原が小さく呟く。

 

「……赤松さんは以前、万津に助けられている」

 

その言葉で空気が少し変わる。

 

日菜が頷く。

 

「ナイトメア事件の被害者の一人」

 

モニターの紫の波形がさらに安定する。

 

「音を操る能力と、空間干渉能力が一致」

 

入間が呟く。

 

「なるほどね……」

 

伊達が小さく笑う。

 

「これならパラダイムでもおかしくない」

 

最原が静かに言う。

 

「赤松さんなら、きっと引き受けてくれる」

 

日菜が最終確認を行う。

 

モニターに文字が浮かぶ。

 

パラダイム適合者:赤松楓

 

会議室に静かな空気が流れる。

 

エスプリム――ゴン太。

テクノロム――伊達。

 

そして。

 

パラダイム――赤松楓。

 

残る属性は、あと一つだった。

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