ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
モニターの紫の波形が落ち着いたところで、日菜は画面をもう一度切り替えた。
会議室の中央に並べられたモジュラーは三つのラインを静かに灯している。
青は伊達、緑はゴン太、紫は赤松。
残る色は一つだけだった。
赤。
フィジカム。
肉体能力を極限まで引き上げる系統。
突破、加速、衝突。
戦線を押し開くための力。
伊達が腕を組みながらモニターを見上げる。
「それで日菜。ここまでは俺達の関係者がいるけど、最期のフィジカムに関しては誰かいるのか」
日菜はモニターを操作しながら、軽く肩をすくめる。
「モチの論ッス! 実は、これに関しては初めから該当者は見つかりやすかったので」
入間が椅子を回しながら口を挟む。
「まぁフィジカムは身体能力だから、こういうのはスポーツに関係する人の可能性はあるね。例えば、茶柱さんとかもそうだね」
最原が画面を見つめる。
「それで、一体誰が?」
日菜がキーを押す。
候補者データが画面中央に表示される。
赤い波形が一気に跳ね上がる。
適合率。
安定値。
身体出力。
全ての数値が基準を大きく超えていた。
そして、名前が表示される。
百田解斗
最原が思わず声を上げる。
「えっ、百田君が!?」
伊達が画面を覗き込む。
「確か、超高校級の宇宙飛行士だったよな。本当なのか?」
日菜が頷く。
「実際に適合したのが、ウィングでしたが」
モニターにカプセム情報が表示される。
ウィング
赤いラインがゆっくりと輝く。
最原が小さく呟く。
「ウィング……確か万津君が使っていたカプセムの一つだよね」
日菜が頷く。
「ええ。フィジカム系統の中でも、飛行能力を持つカプセム」
伊達が腕を組んだまま少し笑う。
「……翼、つまりは空を飛んでいる訳か」
少し間を置く。
「それを聞くとどこか納得するな」
宇宙飛行士。
空を越える者。
その言葉と翼の能力は、妙に自然に重なっていた。
入間が机を指で叩く。
「まぁ、突破力って意味でも合ってるわね。
あいつ、壁とか考えず突っ込むタイプだし」
最原も苦笑する。
「確かに……」
日菜が最後の確認データを表示する。
赤い波形が安定する。
適合率は高い。
暴走反応もない。
「ならば、異論はないッスか?」
会議室に静かな空気が流れる。
伊達がゆっくり頷いた。
「あぁ」
短く息を吐く。
「これでようやく揃った訳だな」
青。
緑。
紫。
そして赤。
テクノロム ― 伊達
エスプリム ― ゴン太
パラダイム ― 赤松
フィジカム ― 百田
四つのモジュラーが、静かに光を放つ。
万津の悪夢へ向かうための、最後の戦力が揃った。