ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
モニターに表示されていた四つの波形がゆっくりと安定した瞬間、会議室の空気がほんのわずかに変化した。
赤、青、緑、紫。
それぞれのラインが静かな光を帯びながら、まるで呼吸するように揺れている。
机の中央に置かれている四つのブレイカム・モジュラーも、それに呼応するかのように淡く発光していた。
その光はまだ弱く、これから使われることを待つ機械のようにも見えるし、これから始まる戦いを静かに告げているようにも見えた。
日菜はモニターの数値を一つ一つ確認しながら、静かに口を開く。
「これで四属性、全部揃ったッス」
その言葉は短かったが、部屋の中にいる全員の耳にははっきりと届いた。
伊達が腕を組んだまま画面を見つめ、ゆっくりと息を吐く。
最原も視線をモジュラーの並ぶ机へ向け、静かに状況を整理していた。
その一方で、机の前に立っている三人はまだ少し戸惑った表情を浮かべている。
赤松、百田、そしてゴン太だった。
赤松はモジュラーを見つめながら、少し迷うような声で言った。
「えっと……つまり、私たちがそのライダーになるってこと?」
日菜は椅子に腰掛けたまま振り返り、落ち着いた様子で頷いた。
「そういうことッス。
万津君の意識の中に入るためには、この四つの力が必要なんで」
その説明を聞いた百田が、腕を組んだまま豪快に笑う。
「ははっ、なるほどな。
つまり俺たちが突撃隊ってわけか」
伊達が百田の言葉を受けて、少しだけ真面目な声で言う。
「無理にとは言わない。
これはかなり危険な作戦だ」
その言葉は決して大きな声ではなかったが、場の空気を一瞬だけ引き締めた。
軽い冗談のような雰囲気が消え、現実の重みがゆっくりと広がっていく。
ゴン太が少し不安そうな顔で周囲を見回した。
「ゴン太……そんな大事なこと出来るかな」
大きな体とは裏腹に、その声には迷いが含まれていた。
最原が優しく答える。
「ゴン太君だからお願いしたいんだ。
エスプリムは精神を守る力だから」
ゴン太はその言葉を聞き、少しの間だけ真剣な表情で考え込む。
視線は机の上に置かれているモジュラーへ向けられていた。
そして、ゆっくりと胸を張る。
「万津君は、ゴン太を助けてくれた」
一度言葉を切る。
「だから今度はゴン太が助ける番です!」
その声は大きく、そして迷いが消えていた。
百田がその様子を見て、豪快に笑いながら肩を叩く。
「ははっ! いいじゃねーか!」
拳を握りながら続ける。
「宇宙飛行士ってのはな、危険だからって止まるような仕事じゃねーんだよ」
少しだけ顔を上げる。
「ロケットだって爆発するかもしれねーのに空へ飛ぶんだからな」
最原が苦笑しながら言う。
「例えが少し極端だけど……」
百田は気にせず続ける。
「それに、あいつは仲間だろ?」
短く言葉を置く。
「なら助けに行くに決まってんだろ」
その言葉は飾り気のないものだったが、妙に説得力があった。
赤松がその言葉を聞き、少しだけ目を細める。
視線はモジュラーから離れない。
「うん……そうだよね」
静かに息を吸う。
「万津君は、私の音楽を信じてくれた」
少しだけ声が強くなる。
「だったら、今度は私が応える番だよ」
赤松はモジュラーへ手を伸ばしながら言う。
「やろう。
万津君を助けに行こう」
その言葉が落ちた瞬間、会議室の空気がほんの少しだけ明るくなったように感じられた。
日菜がモニターに視線を戻し、最終確認を行う。
「全員の了承を確認。
これで作戦は実行可能ッス」
伊達が腕を組み直す。
「ようやく準備が整ったな」
最原も静かに頷く。
机の上に並ぶ四つのモジュラーが、淡い光を放ち続けていた。
フィジカム。
テクノロム。
エスプリム。
パラダイム。
万津の悪夢へ向かうための、四人のライダーが揃った。