ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
万津が横たわる医療ベッドの周囲には、淡い光を放つ計器が静かに並んでいた。
モニターには一定のリズムで脈を刻む波形が映し出されているが、その奥に潜む異常なデータを知っている者たちにとって、それは決して安心できるものではなかった。
赤松がベッドのそばへ近づき、そっと万津の顔を覗き込む。
普段はどこか真っ直ぐな意志を感じさせるその表情が、今は歪むように苦しげに揺れていた。
「万津……」
小さく名前を呼ぶ。
「寝ているけど、苦しそう。本当にこんな情況に」
百田も腕を組みながらベッドを見下ろす。
普段の豪快な表情は影を潜め、真剣な眼差しで万津の顔を見つめていた。
最原が静かに説明する。
「本当にこれまでの事を考えれば、万津自身の夢の中に入るからな」
その言葉に応えるように、日菜がモニターの画面を指差す。
表示されている深層ログは、これまでのソムニウムとは比較にならないほど激しく揺れていた。
「皆さん、分かっていると思いますが、ここから先の万津君のソムニウム世界はこれまでが可愛く見える程のレベルです」
伊達が小さく息を吐く。
「・・・そんなの、万津の顔を見れば分かる」
その言葉は重く、そして静かだった。
赤松がもう一度名前を呼ぶ。
「万津君」
万津は何も答えない。
ただ、わずかに眉が動くだけだった。
「・・・」
沈黙が落ちる。
その空気を破るように、百田が前へ出た。
「さぁ、ここでクヨクヨしても、万津を苦しむだけだ。だったら、助けに行こうぜ」
赤松が顔を上げる。
「そうだね、私達が悪夢で苦しんだ時に助けてくれたのは彼だからね」
ゴン太も大きく頷いた。
「ゴン太も、友達の為に助けに行かないと」
日菜がテーブルの上に並べられた四つのカプセムを指差す。
『ウィング』『アイボゥ』『バリア』『サウンド』
それぞれのカプセムが、微かな光を放っている。
百田がブレイカム・モジュラーを手に取る。
「これを、ここに装填するんだよな」
日菜が頷く。
「そうッス、皆さん、お願いしますッス!」
四人が同時に装置を構える。
カプセムをスロットへ差し込み、武装モードを展開する。
百田はブレードモードへ。
伊達はガンモードへ。
ゴン太はアックスモードへ。
赤松はサイズモードへ。
カチン、と重い機械音が響いた。
四人が同時に叫ぶ。
「「「「変身」」」」
瞬間。
装置が強く発光する。
百田の背後で赤い風が渦を巻く。
空気が爆ぜるように流れ、翼の形をしたエネルギーが背中に広がった。
『グッドモーニングライダー!フィジカム』
赤い装甲が身体を包み込み、背中には巨大なウイングユニットが展開される。
風を纏う装甲が百田の身体を覆い、全身が軽くなるような感覚が広がった。
同時に、伊達のモジュラーが蒼く輝く。
『グッドモーニングライダー!テクノロム!』
青い光が粒子のように舞い、装甲が次々と形成されていく。
右目にはバイザーが現れ、背後には小型の演算ドローンが展開された。
アイボゥの声が頭の奥で静かに響く。
「リンク完了」
ゴン太の周囲では、緑の光が柔らかく広がる。
『グッドモーニングライダー!エスプリム!』
巨大なアックスユニットが形成され、肩と腕に重厚な装甲が装着される。
その光は荒々しいものではなく、守るための盾のような優しさを帯びていた。
最後に、赤松の装置が紫の光を放つ。
『グッドモーニングライダー!パラダイム!』
音波のリングが広がり、細身の装甲が彼女の身体を包み込む。
肩のスピーカーアーマーが震え、空間に微かな振動が走った。
四人のライダーが並ぶ。
百田が腕を動かしながら言う。
「おぉ、なんというかこれがライダーか」
最原が小さく笑う。
「・・・行こう、皆」
ノクスドライバーを構える。
「変身」
黒い影が足元から広がり、装甲が形成される。
『ライダー!ノクス!ノクス!ノクス!シャドウ!』
影が収束し、仮面ライダーノクスが姿を現した。
五人のライダーが、万津のベッドの前に立つ。
これから向かうのは――
万津の悪夢の中だった。