ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
崩れ落ちた街並みのような風景が、どこまでも広がっていた。
空は灰色に裂け、遠くでは建物の残骸がゆっくりと浮かび上がり、また重力を失ったように崩れ落ちていく。
地面はひび割れ、瓦礫の間から黒い霧が滲み出し、まるで世界そのものが腐食しているかのようだった。
最原はその光景を見渡しながら、ゆっくりと口を開いた。
「ここは本当に万津の夢の世界なのか」
その声は静かだったが、周囲の異様な静寂の中でははっきりと響いた。
赤松も周囲を見回しながら言う。
「何もかもが破壊されているようだけど、一体」
建物の骨組みはねじ曲がり、校舎だったはずの構造物が途中で折れ曲がりながら空へ突き刺さっている。
まるで巨大な力によって現実そのものが握り潰されたような景色だった。
その時、背後から静かな声が響く。
「これは万津様の中にあるナイトメアの力で起きた事です」
全員が一斉に振り向く。
そこには一人の少女が立っていた。
黒いドレスのような装いをまとい、静かに微笑んでいる。
伊達が鋭く睨む。
「お前はっ終天教団のっ」
少女は軽く首を傾げながら優雅に礼をする。
「ふふっ、初めまして、黒四館 仄です。どうかよろしく」
百田が前へ踏み出す。
「へっ、よろしくと言われても、答えるつもりはない!俺達は万津を助けにここまで来たんだ」
その言葉を聞いた黒四館は、ほんの少しだけ楽しそうに笑った。
「・・・助けにですか。可笑しな事を。ここにある力が目覚める事は万津様自身が望んだ事なのに」
赤松が思わず声を上げる。
「それは、あなたが勝手に引き起こした事でしょう!」
黒四館は肩をすくめる。
「果たして、どうでしょう。ナイトメアとは、本人の潜在意識の悪夢によって生まれる存在。故に、これもまた万津様の物」
最原が一歩前へ出る。
「それは違うよ!」
黒四館の表情がわずかに変わる。
「なんですって?」
最原は静かに続ける。
「・・・万津君の経歴を考えれば、確かにそうかもしれない。だけど、それでも彼は誰かを助ける為に動いていた!お前がこの情況を引き起こした犯人だろ」
その言葉に対し、黒四館はため息をついた。
「・・・はぁ、全く。こういうのを相手にするのが嫌ですわ。最も、全てが破壊されるだけ」
その瞬間だった。
遠くの地面が突然大きく揺れた。
瓦礫が弾き飛ばされ、黒い霧が一斉に渦を巻く。
空間そのものが裂けるように歪み、巨大な影がゆっくりと姿を現した。
百田が叫ぶ。
「今のはっ」
赤松も目を見開く。
「あれは、もしかして、万津君のナイトメアっ」
黒四館はその巨大な影を見上げながら、静かに言った。
「カタストロフゴアナイトメア、その力はあなた達のよく知る万津様の変身するゼッツと変わりません」
黒い巨体がゆっくりと動く。
無数の悪夢が集合して形を作ったような姿で、全身から不気味な圧力が広がっていた。
最原は拳を握る。
「だとしても、負ける訳にはいかない」
巨大なナイトメアの影が、ゆっくりとこちらへ向き直った。
その瞬間、空気が重く沈み込み、まるで世界そのものが彼らを拒絶しているようだった。
それでも、五人は一歩も退かなかった。
彼らは万津を救うために、この悪夢の世界へ来たのだから。