ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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再生 Part3

崩れた都市の残骸が広がる万津のソムニウム世界の中心で、巨大な影がゆっくりと身じろぎした。

黒い霧が集まり、骨のように歪んだ装甲が形を作り、背中からは崩れかけた翼のようなものが広がっている。

それは人の形をしているのに、明らかに人ではない。

悪夢そのものが凝縮されたような圧力が、周囲の空間を押し潰していた。

 

カタストロフゴアナイトメアが、ゆっくりと頭を持ち上げる。

その複眼が淡く緑に光った瞬間、地面が割れ、周囲の瓦礫が宙へと浮かび上がった。

 

百田が歯を食いしばる。

 

「……とんでもねぇ威圧感じゃねぇか」

 

最原はノクスの装甲の奥で息を整えながら、その巨大な敵を見上げた。

これまで戦ってきたナイトメアとは明らかに格が違う。

存在しているだけで、世界の空気が重くなるようだった。

 

その時、カタストロフゴアナイトメアの腕がゆっくりと動いた。

ただそれだけの動作だったのに、空間が裂けるような衝撃が走る。

 

「来るぞ!」

 

伊達が叫ぶ。

 

次の瞬間、巨大な腕が振り下ろされた。

衝撃波が地面を抉り、瓦礫が爆発するように吹き飛ぶ。

 

百田がすぐに飛び上がった。

背中のウイングユニットが風を切り裂き、赤い残光を引く。

 

「フィジカムの機動力、舐めんな!」

 

百田は高速で接近し、そのままブレードを振り下ろす。

風を纏った一撃が、ナイトメアの肩へ叩き込まれた。

 

だが。

 

鈍い音が響くだけだった。

 

装甲はほとんど揺らがない。

むしろ黒い霧が刃を飲み込むように蠢いた。

 

「チッ……!」

 

次の瞬間、ナイトメアの腕が横薙ぎに振るわれる。

百田は空中で急旋回して回避するが、衝撃波だけで体が大きく弾き飛ばされた。

 

地面へ激突する直前、ゴン太が前へ出る。

 

「エスプリム!」

 

緑のバリアが展開される。

衝撃を受け止め、百田の体を守る。

 

それでも地面が大きく割れた。

 

「うおお……!」

 

百田が体を起こす。

 

「マジかよ、あの一撃……」

 

伊達のバイザーにデータが流れる。

 

「出力が異常だ。

ゼッツの戦闘データと同等……いや、それ以上か」

 

最原がナイトメアを見上げる。

 

カタストロフゴアナイトメアは、ゆっくりと彼らを見下ろしていた。

まるで虫でも観察するかのように。

 

その瞬間、地面から無数の黒い腕が伸びる。

影のようなナイトメアが次々と形成されていく。

 

赤松がサイズを構える。

 

「空間が歪んでる……!」

 

肩のスピーカーアーマーが振動する。

音波が広がり、ナイトメアの動きがわずかに鈍る。

 

「今!」

 

百田が再び飛び上がる。

伊達はガンモードを構え、弱点解析を続ける。

 

だが。

 

巨大なナイトメアが足を踏み出しただけで、地面が崩れた。

 

圧倒的な質量。

 

圧倒的な力。

 

百田の攻撃は弾かれ、ゴン太のバリアは揺れ、赤松の音波さえ押し潰されていく。

 

「くそ……!」

 

百田が拳を握る。

 

「こんなのどうやって倒すんだよ!」

 

カタストロフゴアナイトメアが腕を上げる。

その掌に黒いエネルギーが集まり、空間が歪み始める。

 

巨大な破壊の塊が、ゆっくりと形成されていく。

 

最原が叫ぶ。

 

「全員散開!」

 

次の瞬間、爆発が起きた。

 

黒い衝撃波が世界を飲み込み、建物の残骸が一斉に吹き飛ぶ。

 

瓦礫の雨の中で、五人はそれぞれ体勢を立て直していた。

 

百田が息を荒くする。

 

「……とんでもねぇな」

 

赤松も苦しそうに立ち上がる。

 

「でも……」

 

最原が前へ出る。

 

黒い装甲の奥で、視線をまっすぐ敵へ向けた。

 

「ここで諦める訳にはいかない」

 

その言葉は静かだった。

 

だが、確かな決意があった。

 

「万津君は、僕たちを助けてくれた」

 

ノクスの影が足元で揺れる。

 

「だから今度は、僕たちが助ける番だ」

 

百田が笑う。

 

「そういうことだな」

 

ゴン太も頷く。

 

「友達は、助けないと」

 

赤松がサイズを握り直す。

 

「まだ終わってない」

 

五人は再び構える。

 

目の前には、崩壊の悪夢。

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