ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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再生 Part5

崩壊したソムニウム世界の中心で、黒い悪夢の巨体がゆっくりと蠢いていた。

カタストロフゴアナイトメアは、無数の影と霧が集まって形作られた存在であり、その胸部には歪んだ核のような塊が脈打っている。

まるで世界の心臓がそこに埋め込まれているかのようだった。

 

最原たちはその巨大な悪夢の前に立っている。

周囲では黒いナイトメアの群れがまだ蠢き続けていたが、さきほどの共鳴以降、空気の流れが明らかに変わっていた。

 

百田が背中のウイングを大きく広げる。

風が巻き起こり、瓦礫が弾かれて空中へ散っていく。

 

「くそっ……まだ終わってねぇぞ!」

 

その声と同時に、四つのカプセムが再び強く光った。

 

赤。

青。

緑。

紫。

 

それぞれの光が互いに呼び合うように揺れ、カタストロフゴアナイトメアの胸元へ吸い込まれていく。

すると黒い装甲の奥で、何かが反応するように光り始めた。

 

赤松が息を呑む。

 

「……見て!」

 

彼女の肩のスピーカーアーマーが震え、空間の音がわずかに変わる。

それは戦場の雑音とは違う、もっと深い場所から響く鼓動のようだった。

 

ゴン太も目を見開く。

 

「ナイトメアの胸が……光ってる」

 

伊達がバイザー越しに解析を続ける。

 

「反応源は中心部だ。

カプセムの共鳴と一致している」

 

最原はその光を見つめていた。

巨大な悪夢の中心で、確かに何かが脈打っている。

 

それは破壊の力ではない。

 

もっと別のものだった。

 

最原はゆっくりと歩き出す。

 

「……やっぱりだ」

 

声は静かだったが、迷いはなかった。

 

「そこにいるんだね」

 

ナイトメアの胸部に向かって、最原は手を伸ばす。

 

黒い霧が渦を巻き、周囲の空気が急激に重くなる。

カタストロフゴアナイトメアの巨体がわずかに動き、まるで侵入者を拒むように腕を持ち上げた。

 

百田が叫ぶ。

 

「最原!」

 

赤松も声を上げる。

 

「最原君!」

 

ゴン太が一歩踏み出す。

 

「最原さん!」

 

伊達の低い声が響く。

 

「終一!」

 

四人の声が重なる。

 

その瞬間だった。

 

ナイトメアの胸部から、黒い腕が勢いよく飛び出した。

 

影で出来た腕が最原の手首を掴む。

 

強烈な力で引き込まれる。

 

百田が飛び出す。

 

「くそっ!」

 

しかし次の瞬間、黒い霧が爆発するように広がった。

 

空間が震える。

 

カタストロフゴアナイトメアの胸部が大きく裂けた。

 

その裂け目から、何かが飛び出してくる。

 

影ではない。

 

悪夢でもない。

 

一人の少年だった。

 

黒い霧を振り払うように、身体が宙へ飛び出す。

 

最原が思わず叫ぶ。

 

「……万津!」

 

飛び出した人物が地面に着地する。

 

その姿を見た瞬間、四人は息を呑んだ。

 

万津莫。

 

彼は確かにそこにいた。

 

しかしその目はまだ閉じられており、体からは黒い霧が細く立ち上っている。

まるで悪夢そのものを背負ったまま現れたようだった。

 

百田が拳を握る。

 

「やっと……見つけたぜ」

 

赤松も静かに言う。

 

「万津君」

 

ゴン太が胸を張る。

 

「友達、助ける」

 

伊達は状況を見極めながら呟く。

 

「……まだ終わっていない」

 

背後で、カタストロフゴアナイトメアの巨体がゆっくりと動き出した。

 

胸部を破られたにも関わらず、その悪夢はまだ消えていない。

 

むしろ。

 

怒りを宿したように、黒い霧が激しく膨れ上がっていく。

 

最原は万津の前に立つ。

 

「今度こそ」

 

拳を握る。

 

「君を連れて帰る」

 

崩壊の悪夢が再び動き出す。

 

だが今度は、

その中心に万津がいる。

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