ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
巨大な悪夢が、ゆっくりと動き出す。
カタストロフゴアナイトメアは、崩れかけた都市の中央で再び身体を起こし、まるで俺たちを飲み込む巨大な影の山のように立ちはだかっていた。
その全身は無数のナイトメアで構成されており、角や牙のような影が何層にも重なりながら蠢いている。
胸の奥にあるコアだけが、不気味な鼓動のように光っていた。
「……来るぞ」
最原の声が静かに響く。
その瞬間、巨大な腕が振り下ろされた。
地面が崩れ、黒い衝撃が街を削り取る。
だが、その直前に巨大な翼が空を裂いた。
百田だった。
「どけぇぇぇぇッ!!」
フィジカムのウィングが風の刃を生み出し、巨大な腕の軌道を強引に逸らす。
その衝撃で建物の残骸が吹き飛び、空間そのものが震えた。
「今だよ!」
赤松の声と同時に、空間に音が満ちる。
肩のスピーカーアーマーが震え、空気の振動が巨大ナイトメアの身体を拘束した。
まるで見えない鎖が巻きつくように、巨体の動きが止まる。
「ゴン太、守る!」
その直後、緑の光が広がる。
ゴン太のバリアが展開され、降り注ぐナイトメアの影をすべて弾き返した。
黒い霧のような怪物がフィールドに触れた瞬間、弾かれるように崩れていく。
「弱点確認」
伊達さんの声が低く響く。
「胸部コア。座標固定」
その情報は、すぐに最原へ渡る。
最原の影が地面を走り、巨大ナイトメアの足元を拘束した。
影は生き物のように動き、巨体の動きを完全に固定する。
「万津君!」
最原が叫ぶ。
「今だ!」
俺は深く息を吸い込む。
胸の奥で、四つの光が脈打つ。
ウィング。
アイボゥ。
バリア。
サウンド。
仲間のカプセムの力が、俺の装甲を静かに支えている。
暴走の感覚はない。
代わりに、確かな重さがあった。
「……みんな」
拳を握る。
「力、借りるぞ」
カタストロムの装甲が強く光る。
黒いエネルギーが腕へ集中し、渦を巻きながら形を作り始めた。
空間そのものが歪むような圧力の中で、巨大な武器がゆっくりと姿を現す。
ガトリングのような砲身。
三つのカプセム装填部。
トリプルゼッツァー。
俺はその武器を両手で構える。
「装填」
インパクト。
ストリーム。
プラズマ。
三つのカプセムが回転し、銃口が凄まじい速度で回り始めた。
最原の影がさらに強く敵を拘束する。
「万津君!」
「撃て!」
俺はトリガーを引いた。
『トリプルバスター!』
砲身が轟音と共に回転する。
『ゼゼゼッツ!』
赤い衝撃エネルギーが集中する。
『ゼゼゼッツ!!』
青い暴風が光を包み込む。
『ゼゼゼェーッツ!!!』
雷光が爆発するように融合する。
三つの力が完全に一つになった瞬間、巨大な光線が発射された。
それは直線ではなかった。
竜巻のように回転しながら進み、周囲の建物を巻き込みながら巨大ナイトメアへ突き刺さる。
空間そのものが揺れた。
カタストロフゴアナイトメアの身体が、ゆっくりと崩れ始める。
角が砕け、翼が霧になり、無数のナイトメアが砂のように崩れていく。
「やった……!」
赤松の声が聞こえた。
しかしその瞬間だった。
黒い霧が空間を覆う。
崩壊しかけたナイトメアの中心に、一人の影が現れる。
黒四館だった。
「ここまでですわ」
彼女は静かに手を伸ばす。
すると、崩れていたナイトメアのコアがゆっくりと浮かび上がり、彼女の手の中へ収まった。
「これはまだ必要ですもの」
黒四館は微笑む。
「次の舞台で、またお会いしましょう」
その言葉と共に、彼女の姿は闇の霧の中へ溶けていった。
静寂が戻る。
崩壊していたソムニウム世界の空に、初めて光が差し込んだ。
俺はゆっくりと息を吐く。
そして後ろにいる仲間たちを見た。
「……終わったな」