ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「万津君!」
最原の声が雷鳴のようにソムニウム世界を切り裂いた。現実世界にいる彼が夢の核に向かって放つ言葉。
「最原君……」
震える声で呼ぶと、赤松の偽りの冷笑が歪んだ。
「……何を知った気になってる?」
私はベルトの警告音をかき消すように立ち上がった。指輪の水晶が虹色に煌めく。
「彼の言葉を聞け」
ソムニウム世界が割れ、現実の音声が流れ込んだ。
『確かに才能はある。けど』
最原の声が響く。
『僕は君の音色に救われたんだよ』
一瞬の沈黙。冷酷な赤松の仮面がひび割れる。
『人の眼が見れなかったな僕に、“そんなの個性だよ”と言ってくれた。才能だけで測れない価値があるって気づかせてくれた』
彼女の指先が震えた。
「……忘れてた」
赤松の声が漏れる。偽装の人格が剥がれ落ちていく。
「私、ピアノが大好きで始めたのに」
メンタルロックが千切れる音がした。空間に七色の裂け目ができる。
「赤松さん!」
それと共に、夢の世界にいる赤松さんと現実世界の最原が視線を合わせる。
『姉としての重荷も妹への罪悪感も全部抱えていい。君は君自身だから』
最原が叫ぶ。
「さあ、一緒に戦おう」
『万津君も信じてくれてる』
赤松の瞳から大粒の涙が零れた。
「こんな私でも……」
「許されるって」
希望の光が満ちる刹那。
『ガアアアッ!!!』
破壊音と共にナイトメアが現れた。漆黒の楽譜で編まれた怪物が赤松を飲み込もうとする。
けれど。
「悪夢はここまでだ」
赤松さんが、悪夢から目覚めようとしている。
そんな彼女を再び悪夢へと誘おうとするナイトメアが迫っていた。
だからこそ、俺は。
「貴様っ!」
ナイトメアの前に、俺は立ちはだかる。夢の中でも感じるこの威圧感。奴の纏う禍々しい音波が空間を歪ませている。最原の勇気ある一言で光を取り戻しかけた赤松さんを、二度と悪夢に引き摺り込む訳にはいかない。
「万津くん!危ないよ!」
赤松さんの悲鳴が聞こえる。
「大丈夫だ!ここは俺に任せろ!」
そう叫びながら、俺は右手をゼッツドライバーに添えた。金属の冷たさが指先に伝わる。ベルトの起動音が響く。
「悪夢なんてこの世から無くなればいい。だから――お前を倒す……!」
それが、宣言となる。
『インパクト!メツァメロ! メツァメロ!』
「I'm on it……変身!!」『グッドモーニング! ライダー!ゼ・ゼ・ゼッツ!インパクト!』
眩い閃光と共に、俺の全身が金色の装甲に包まれる。フルフェイスヘルメット越しに見える景色が鮮明になる。ナイトメアの醜悪な顔がすぐそこまで迫っていた。
「さあ!お前の悪夢も終わりだ!」