ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「ふぅん。今度は音波爆弾と来たか」
僕は冷笑を浮かべながら左手で額を拭った。汗すら出ていない。余裕の証拠だ。それでもナイトメアの顔面がにやりと歪むのを見逃さなかった。
「貴様ニ勝算ハナイゾ小僧……」
「おいおい。勝負ってのは常に予想外でこそ面白いんじゃないか」
ゼッツドライバーの銀色が不気味な照明に鈍く光る。
ナイトメアが床に触れた刹那――地面が轟音を上げて裂ける! 砕けたコンクリート片がミサイルのように跳ね上がってくる。
「遅いね」
僕はひらりと横跳び。瓦礫が背後で炸裂する。だが――。
「そう来ると思ったよ」
前回の戦いでこいつの癖は把握済みさ。着地点を狙った罠に気付かないほど愚かではない。
「お前みたいな単純バカは決まって同じ手を使う」
変身カプセルを指の間でくるりと回転させる。次なる一手を打つ準備は整っている。
「次はどう出る? まさか同じパターンで通じると思っていないよな?」
ナイトメアが牙を剥く。耳障りな金切り声と共に衝撃波が放射状に広がった。空気が振動し鼓膜を直接揺らす感覚。だがそれこそが致命的なんだぜ。
「甘いって言ったろ?」
僕はゼッツドライバーのスロットに赤いカプセルを押し込む――!
《ブレード! メツァメロ! メツァメロ!》
俺は、そのままカプセムを回転する。
《グッドモーニング! ライダー! ゼ・ゼ・ゼッツ! ブレードォ!》
青白いプラズマが駆け抜け瞬く間に両腕が重厚な鎧で覆われる。同時に両足も具足が展開し戦闘体制に入る。
それに合わせるように、俺の手には、新たな武器が現れる。
『ブレイカムゼッツァー!』
ブレイカムゼッツァーを手に、紅蓮に輝く刀身が音を立てて鞘から滑り出た。ナイトメアが瞠目する隙に僕は地を蹴る。風圧でマスクの内側が歪むほどの加速感。
「遅いね」
紅蓮の刀身が空気を焼く。ナイトメアの顔面が驚愕に歪むのがマスク越しに伝わる。
「なっ……音速以上の動きだと!?」
「音なんて光の百分の一以下さ」
俺は嘲笑いながら刀を逆手に持ち替える。ブレードモードの真骨頂は共振周波数操作能力だ。刃の振動数をナイトメアの発生させる超音波と同じにすれば……。
「波と波をぶつけて相殺すればいい」
同時に両腕の籠手が展開し内部から複雑な歯車が露出する。
「くらえ『虚無斬り』!」
縦一閃。刀が通過した空間に光の筋が残る。
「バカナ……我が波動が消滅シタ……!?」
「正確には分散させただけだよ」
「そんな事!」
「出来るさ、なんだって、ここは」
そうして、俺は構える。
「夢の中だから」
ナイトメアの体が裂ける!
「グギャァァ!」
「さて次は……」
今度は水平に薙ぐ。刀身の温度が急速上昇し蒼炎を帯びる。
「高温蒸発型の『熱断刃』!」
赤外線域で音速を超える衝撃波がナイトメアの胴体を両断する。
「グォォッ……コンナ馬鹿ナ!」
奴の体から無数の楽譜片が羽根のように舞い上がる。それすらも刃で叩き潰す。
「終わらせる」
俺は、ブレイカムゼッツァーにカプセムを装填。
そのままゆっくりと回転させる。
刀身は巨大になった。
「なにィィ!」
『ブレイカムスラッシュ』
音すら置き去りにする真空刃がナイトメアの胸部を貫通した。
爆発と共に灰燼と帰す巨体。紅蓮の炎が消えゆく中、俺は深呼吸した。
「……終わったな」
俺は刀を納刀しながら天を仰ぐ。