ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
青い空が眩しすぎる。俺は缶コーヒーのプルトップを引きながら屋上のフェンスにもたれかかった。
「おっと危ない」
危うく缶が滑り落ちそうになった。最近こういう凡ミスが多いんだよな。
「おはよう万津君」
背後から聞こえた声に振り返ると、最原がいつもの自信なさげな顔で立っていた。片手にはルーズリーフ。
「まだ事件の分析してるのか?」
「いや……今回は“解決”というべきかな」
彼が珍しく笑う。その笑顔を見て少しだけ肩の力が抜けた。
「万津君!最原君!」
明るい声が近づいてくる。赤松楓だ。太陽みたいな笑顔が眩しい。
「見て!」
彼女がスマホの画面をこちらに差し出す。映っているのはクラシック音楽配信サイトのライブ中継画面。ピアノを弾く若い女性が映っている。
「妹と話せたの! ちゃんと謝れて……」
彼女の声が震える。瞳に涙が溜まっているのが見て取れた。
「よかったな」
俺は短く答えた。本当はもっと何か言うべきなんだろうが、こういう時に気の利いた台詞なんか思いつかない。
「あんなこと言ってごめんって泣いてたらね、向こうも“私も”って……」
彼女が嗚咽を堪える。
「今までずっと怖かったの。絶望ビデオのせいだって分かってるけど……」
「でも今は違うよな?」
俺が言うと彼女は勢いよく顔を上げた。
「うん!」
その瞬間の笑顔が凄まじく美しかった。なんだか照れ臭くなって缶コーヒーを一口啜る。
「それにしても、二人はなんでここに」
最原の質問に俺は鼻を鳴らした。
「…教室で皆と一緒にいるのが、少し怖くて」
「僕も、まだちょっと馴染めなくて」
「二人共」
そう、俺達の言葉に対して、赤松さんは苦笑いをしていた。
「君がいなければ絶望ビデオに勝てなかったよ」
「いやいや」
俺は首を振った。
「あいつを倒せたのは君たち二人が諦めなかったからだろ」
その言葉に最原は目を伏せた。
「僕はただ……推理するのが好きだっただけさ」
沈黙が流れる。
「……ところでさ」
赤松が唐突に口を開いた。
「私たち、これからも仲良くしていいかな?」
あまりにも真剣な顔だったので思わず吹き出してしまった。
「当たり前だろ」
「よかったぁ」
彼女が胸を撫で下ろす仕草が可愛らしくてまた笑ってしまう。
「それにしても」
「どうかしたんだ?最原?」
「…絶望ビデオを配る超高校級の絶望は、どうやって僕達に絶望ビデオを配ったのか」
「えっ、どうして?」
「だって、こういう対策はしっかりとしているはずなのに。ここまでセキュリティを突破出来る程の人物は一体」