ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
(入間美兎……確か超高校級の発明家だったか。あの傲岸不遜な態度、正直言って好かないタイプだ。……だが)
倒れた彼女は、先程までの自信満々な様子とはかけ離れている。顔色は土気色で、呼吸も荒い。まるで何か恐ろしいものを思い出したかのように、身体を強張らせている。
(……絶望ビデオ、か)
あの忌まわしい映像を見てしまった者は、悪夢に囚われる。そしてその悪夢は現実を侵食し、最悪の場合、「超高校級の絶望」を生み出す。そんな話を最原から聞いたばかりだ。
「乗り気じゃないけど」
俺は悪態をつきながらも、倒れた入間に駆け寄った。どうやら意識を失っているらしい。
それと共に苦しんでいる彼女の顔を見ると。
「放っておけるかっ!」
俺は、目の前にある状況を放っておく事が出来ない。
それと同時に、俺は霧切教頭に連絡した後。
「行くぞ……!」
そして俺はゼッツドライバーの変身機構に指を掛ける。
次の瞬間、視界が暗転し、気がつけば見慣れない光景が広がっていた。
そこはまさに「ガラクタの海」だった。
足元に転がるのは、折れたシャープペンシルの芯、使い古された五線紙の切れ端、鉛筆で描かれた設計図の一部――どれもこれも価値のないもののように見える。だが、その一つ一つに嫌な意味合いがありそうでならない。
「なんだここは……?」
周囲を見渡すと、どこまでもゴミのような物体が山積みになっている。空はどんよりとした灰色で、太陽の光すら届かない。空気は埃っぽく、そして妙な圧迫感があった。
(これが……入間美兎のトラウマの世界か?)
ガラクタはそれぞれが別の時代の遺物のようでもあり、統一感がない。それでも「誰かの使った物」「失敗作」といった共通項がある気がする。まるで成功した発明品ではなく、捨てられた試作品たちが集まっているみたいだ。
(あいつのことだ。『完璧主義』すぎて、ちょっとでも欠陥があるとすべてを否定してる……そんなところか)
「ちくしょう……こんなところに呼び出しやがって……」
足元のジャンクに混じって、誰かの学生証が落ちているのが見えた。拾い上げると、それは入間のものだった。写真の中の彼女は得意げに胸を張り、カメラに向けて親指を立てている。今の状況とはあまりにも対照的だ。
(発明家のアイデンティティが失われる恐怖……それがここに集約されているのか?)
「うぅ……ああああっ!!」
遠くから絞り出すような悲鳴が聞こえた。間違いなく入間の声だ。
「……くそったれめ!」
迷っている暇はない。俺は声のする方向へ全力で走り出した。ガラクタの山をかき分け、錆びた工具や割れたフラスコを蹴飛ばしながら進む。走っている間にも、あいつの罵詈雑言が耳の奥で反響する。
(天才?一流?そんなの俺には関係ねえ……!)
視界が開けると、中央広場のような場所があった。そこに一人の少女が倒れている。制服は乱れ、ブロンドの髪が埃まみれだ。入間美兎本人だ。
「おい……しっかりしろ!」
駆け寄ると、彼女は虚ろな目で虚空を見つめていた。その瞳には恐怖が宿っている。
「……こ、来ないで」
掠れた声で言われたが、構わず肩を支える。
「馬鹿野郎!俺が敵だと思うのか?」
「……冗談キツいぜ……」
入間は弱々しく笑った。普段の尊大さは影も形もない。
「なんでっなんでっ俺様の発明がゴミ扱いなんだよ!」