ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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先輩 Part1

入間さんから紹介された道具を持って、ABISの本部へと向かった。

 

「あっ、来てくれたっすね!万津君」

 

「月夜野さんに、あれ?」

 

すると、彼女の隣にいるのは、黒髪をオールバックにし、冷たい眼光を放つ男。

 

歳は三十代半ばだろうか。スーツの上からでも鍛えられた肉体が見て取れる。

 

「よう」

 

低い声で挨拶する。その横には見慣れぬ物体――球体の白い球体が浮かんでいた。

 

「紹介するっす。こちら、伊達 鍵。ABIS捜査班所属の刑事っす」

 

「伊達……さん」

 

「まぁ、こうやって2人と正面で会ったのは、初めてだったっすからね。ちょっと緊張しているかもしれないっすけど」

 

彼は眉ひとつ動かさずうなずく。その目は鋭く研がれた刀のようだった。

 

「はじめましてだな。俺は伊達 鍵だ」

 

落ち着いた声。だが底に鋼のような硬さがある。

 

「あっ、あの、万津です。その……よろしくお願いします」

 

「ああ」

 

伊達は小さくうなずいた。

 

「そんなに固くなることはない。俺はただの道具使いだ」

 

「道具使い?」

 

聞き返すと、彼の左目の義眼が淡く光る。

 

「そうだ。俺の左目には最新AIが埋め込まれている。情報収集から分析までこいつが行う」

 

「アイボゥって呼んであげてほしいっすよ!可愛い名前じゃないっすか!」

 

月夜野が嬉しそうに補足する。

 

すると、伊達さんの左目から現れたのは、小柄な何か。

 

単眼のハムスターのような姿をしている。

 

「可愛い……」

 

俺は思わず呟いた。

 

「ふむ、そう言われると照れるな」

 

「お前の事は聞いているよ。まさか、あのドライバーに本当に適合している奴がいるなんてな」

 

「その、伊達さんも?」

 

「まぁな、一応はやったが、ゼッツドライバー事態は本当に何かしらの相性があるからな」

 

そう呟いた伊達さんは、そのままこちらを見つめる。

 

「ああ。無論、経験不足は否めない。だが才能はある。それを見込んで任務につくことになった」

 

言葉は厳しくも優しかった。冷静な中にも確かな期待を感じる。

 

「だがまずは基本訓練が必要だ。今から施設を案内しよう」

 

彼は踵を返し歩き出した。その後ろをアイボゥが静かについていく。

 

「おい!」

 

呼び止めようとするが、彼は振り向きもせず言った。

 

「さっさとしろ。時間を浪費するな」

 

冷たい態度だが拒絶ではない。むしろプロフェッショナルゆえの厳格さだと思った。

 

(頼もしい先輩だが……少し怖いかもな)

 

俺は内心で苦笑しながら追いかけた。

 

「・・まぁ、これから大変だと思うっすけど」

 

そう呟いた月夜野さんの言葉の意味を、まだ俺は知らない。

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