ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
テコがモニターの向こうで、小さく笑った。
「ようやく本題だね」
彼の細い指がキーボードを叩くと、俺の目の前に新しいウィンドウが開く。そこには、見たこともない設計図が広がっていた。
中央に描かれているのは、ゼッツのシルエットだ。でも、今までのどの形態とも違う。装甲のラインはより鋭く、全身に無数のエネルギーラインが走っている。胸部にはエクスドリームのドライバーを思わせる機構が組み込まれ、背中には――何だ、あれは。翼か?
「これは、エクスドリームをベースにした新しい形態の設計図だよ」
テコが説明を始める。声には、珍しく熱がこもっていた。
「君が使ってきたフィジカム、テクノロム、エスプリム、パラダイム。四系統すべての能力を完全統合し、さらに、僕達が開発した疑似ライダーのデータも反映させてある」
「疑似ライダーって…」
俺は眉をひそめる。
「あんた達も、変身できるようになったのか」
「正確には、変身できるスーツを開発したんだよ。僕がテクノロム系、犬神がエスプリム系、丑寅がフィジカム系、黒四館がパラダイム系。それぞれの系統に特化した疑似ライダーだ」
テコが端末を操作すると、四体のライダーのシルエットが表示された。
科学者のような装甲をまとったライダー。優雅な曲線を持つ法務官のようなライダー。筋骨隆々の武人のようなライダー。そして、言霊を思わせる文字が装甲に浮かぶライダー。
「僕達は、それぞれが自分の得意分野で戦えるように設計した。でも、それはあくまで疑似に過ぎない。本物のゼッツには及ばないんだ」
「それで、この新しい形態か」
「そうだ」
テコがうなずく。
「この形態は、僕達四人の疑似ライダーの能力も含めて、すべての力を統合する。君が今まで戦ってきた仲間達の力、君が受け止めてきた敵達の想い、そのすべてを一つの形にする」
彼が最後のキーを押した。
設計図が拡大され、全体像が浮かび上がる。
それは、神々しいとすら言える姿だった。
そして、その装甲のあちこちに、見覚えのある意匠があった。
それだけじゃない。教団の幹部達、才囚学園の仲間達、俺が出会ってきたすべての人間の、何かが刻み込まれている。
「これが…」
俺は言葉を失った。
「仮面ライダーゼッツ エージェンドリーム」
テコが、静かに名を告げる。
「すべての夢を継ぐ者。すべての罪を背負い、すべての想いを受け止め、それでも前に進むための形態だ」
「まだ、設計段階なのか」
「そうだ。完成にはもう少し時間がかかる。でも、必ず間に合わせる」
テコの声には、絶対の自信があった。
「NAIXとの戦いで、君はこの力が必要になる。いや、君だけじゃない。僕達全員が、自分の役割を果たすために、この力が必要になるんだ」
俺は、設計図を見つめながら拳を握る。
エージェンドリーム。
すべてを背負うための、最後の力。
「テコさん」
「なんだい」
「これ、いつ完成する」
「焦るなよ。今はまだ、設計図を見せただけだ」
彼は眼鏡を押し上げ、口元をわずかに歪めた。
「でも、約束しよう。君が戦う時には、必ず間に合わせる」