ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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死者 Part7

「ふふっ」

 

夢現が、静かに笑った。

彼女は確かに見ていたはずだ。ソムニウムの裂け目から漏れ出す、あの虹色の閃光を。NAIXの軍勢が一掃され、苗木学園長が希望の光で戦場を制したことを。

だが、彼女は気にも留めていないようだった。

 

「現実での小競り合いなど、どうでもいいことです」

 

時雨の声が、白い空間に冷たく響く。その表情には焦りも動揺もない。あるのは底なしの虚無だけだ。

 

「重要なのは綻び。この夢の世界でこそ、解脱への道は開かれる。あちらでの勝敗など、シミュレーションの誤差に過ぎません」

 

彼女は刀を構え直す。

俺に向き直るその瞳には、俺という個人が映っていない。ただ「初期化すべきデータ」を見ているだけだ。

 

「さあ、終わりにしましょう。あなた方の夢も、ここで強制終了です」

 

夢現が踏み込もうとした、その時だ。

 

世界が、揺れた。

物理的な振動じゃない。もっと根本的な、概念が震えるような感覚。

 

「な…なんだ…?」

 

俺は胸元のゼッツエクスドリームドライバーを見下ろす。

ドライバーが、激しく発光していた。さっきまでの結晶粒子の明滅とは違う。もっと温かく、力強い、七色の輝き。

 

視界が開ける。

ソムニウムの壁が透け、現実世界の光景が鮮明に浮かび上がってきた。

 

「苗木学園長…?」

 

彼は屋上で、胸元のホープカプセムを両手で握りしめていた。虹色の装甲が、祈るように輝いている。

 

「万津くん! 俺たちの想いを、受け取れぇぇッ!!」

 

その叫びと共に、彼のカプセムから一条の光が放たれた。希望の光だ。

 

それだけじゃない。

まんじがブレイクコードダウンカプセムを掲げる。守護の赤い光。

テコが自身のカプセムを叩く。科学の青白い光。

丑寅が拳に握ったカプセムを天へ突き上げる。武力の黄土色の光。

黒四館がデバイスに仕込んだカプセムに囁きかける。言霊の水色の光。

犬神が優雅にカプセムを振る。調停の紫色の光。

 

さらに、大和田、大神、桑田。幻影となった彼らからも、かつての生徒たちからも、色とりどりの光が立ち昇る。

 

「これは…」

俺は目を見開く。

 

無数の光が、次元の壁を越えて、このソムニウム世界へと雪崩れ込んでくる。一つ一つが仲間たちの想いそのものだ。

守りたいという願い。真実を暴きたいという意志。平和を取り戻したいという祈り。

 

それらが全て、俺の元へと収束していく。

 

「うおおおおおッ!!」

 

全身に熱い奔流が駆け巡る。

ゼッツエクスドリームの装甲が悲鳴を上げるほどのエネルギー。いや、これはエネルギーなんて生温い言葉じゃ足りない。

これは、魂だ。

 

現実に生きる者たち全員の魂が、俺という器を通じて繋がろうとしている。

 

「馬鹿な…!」

夢現が初めて狼狽した声を上げる。

「現実からの干渉!? 私の白昼夢の中に、外部からのデータが流入しているというのですか!?」

 

「そうだよ、時雨!」

俺は叫ぶ。

「これが俺たちの現実だ! お前が否定しようが無効化しようが、俺たちの絆まで消せるもんなら消してみろ!!」

 

胸元のドライバーが、限界を超えた出力を示して轟音を上げる。

未完成だった最強の姿がゆっくりと起動する。

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