ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
全身を駆け巡る熱量が、臨界点を超えようとしていた。
現実世界から雪崩れ込んできた仲間たちの想い。希望の赤、守護の蒼、武力の黄、言霊の水、調停の紫、そして科学の白。それら全てが、俺の胸元のドライバーに集約されていく。
「うおおおおッ!!」
俺は叫んだ。身体が焼き切れそうだ。だが、痛みじゃない。生きている実感だ。繋がっているという証だ。
ドライバーが悲鳴を上げている。いや、産声を上げているのだ。
ゼッツエクスドリームドライバーの装甲が、七色の光に飲み込まれ、形を変えていく。より鋭角に、より神々しく。金と銀の装飾が渦を巻き、全ての力を束ねるための器として再構築されていく。
これは、テコが設計した最強の形。エージェンドリーム。
手の中で、光が凝固する。
集まった仲間たちの想いが一つのカプセムへと練り上げられていく。透明な器の中で七色の粒子が激しく螺旋を描き、やがて一つの輝きへと融け合った。
エージェントカプセム。
「みんな…!」
俺は、震える手でそのカプセムを握りしめた。
温かい。これほど温かい武器があっただろうか。
俺は、生まれ変わったドライバー――ゼッツエージェンドリームドライバーの中央スロットへ、カプセムを叩き込んだ。
『エージェンドライズ!』
世界が震えるような重厚な音声が響く。それは単なる電子音じゃない。俺たちの声そのものだった。
俺はドライバー右側のレバーを握り、一気に押し込む。
『メツァメロ……! メツァメロ! メツァメロ!! メツァメロ!!!』
待機音が高らかに謳い上げる。これまでのどの変身よりも激しく、力強い。現実と夢、全ての境界を越えるための序曲だ。
カプセム正面のダイヤルを掴む。全ての想いを、この手で回す。
「変身ッ!!」
ダイヤルを縦方向へ、一気に回転させた。
『アブソリュート! オールライズ! ライダー! ゼーッツ! エージェンドリーム!!』
七色の光が爆ぜた。
物理法則すら無視した光の奔流が、俺の全身を包み込む。
白い結晶の粒子が渦を巻き、その中を金と銀のラインが疾走する。仲間たちの象徴が次々と装甲へと刻まれていく。
右肩にはまんじの蝶。左肩には丑寅の拳。背中にはテコの科学翼。胸部には黒四館の言霊と犬神の調停の紋章が交差し、そして中央には苗木の希望が虹色に輝く。
視界が白から金へ、そして深い蒼へと染まる。
身体が恐ろしく軽い。それでいて、星をも砕けそうな質量を感じる。
光が晴れた時、そこには一人の戦士が立っていた。
白銀の素体に、黄金の装甲。全身を走る七色のエネルギーラインが、龍の鱗のように脈打っている。
胸部のエージェンドリームドライバーは宇宙の縮図のように輝き、背中には希望を象徴する虹色の翼が展開していた。
仮面ライダーゼッツエージェンドリーム。
「これが……俺の、俺たちの姿だ」
俺は手を握る。そこには、ブレイカムゼッツァーが進化した大剣が握られていた。刀身には七色のエネルギーが流れ、触れるもの全てを断ち切る鋭さを放っている。
夢現が、一歩後ずさった。
「そんな……綻びが、修復されている? いえ、上書きされているというのですか!?」
彼女の動揺を感じ取れる。彼女の「白昼夢」は、他者の夢を無効化する理屈だ。だが今の俺には、夢なんてない。
ここにあるのは、現実だ。
皆と紡いだ、揺るぎない現実だ。
「時雨」
俺は剣を構え、彼女を真っ直ぐに見据える。
「お前の言う現実は、一人で閉じこもるためのものだ。だが俺たちの現実は、皆で切り開くものだ。その違いを、その身で知れ!」