ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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先輩 Part6

キーボの言葉と共に、被害者のソムニウム世界へと突入する。

 

現実が溶けるように歪み、新しい風景が生まれていく。暗く湿った通路が前方に延びている。壁という壁に貼り付いた赤い数字盤が目に入る。60から始まって、59、58……一秒ごとに減っていくタイマーだ。

 

「っ……!」

 

息が止まりかける。足元を見れば、床板が剥がれ落ちそうな木製の床。その隙間からは複数の電線が伸びており、まるで生きているように蠢いている。どこかでカチッという小さな音が鳴った。

 

「万津くん!気をつけてください!」

 

キーボが警戒した声を上げる。振り向けば、我々の背後で何かが膨らんでいる。壁だったはずの表面が隆起し、その中央部から二つの大きな目玉が現れた。円柱状の胴体に腕はなく、その代わりに無数のコードが触手のように蠢いている。

 

「このナイトメアは……爆弾専門型なのか」

 

俺の推測通り、次の瞬間には頭頂部から爆弾が生えてきた。赤と黒の鉄箱に長い導火線が繋がっている。その箱には赤字で〈TIME BOMB〉と書かれていた。悪夢らしい幼稚なデザインだ。

 

「爆弾魔による犯行現場に迷い込んだ犠牲者……といったところでしょう」

 

キーボの言葉が鋭い。

 

「被害者の記憶が基になっているのか」

 

「おそらくそうでしょうね」

 

俺は歩を進める。通路は長く曲がりくねっていて逃げ場はない。左右の壁には同じ種類のタイマーが並んでいる。どれも時間が少しずつ異なる設定で動いているようだ。

 

「解体する必要はありませんよ」

 

「解体?どうして?」

 

「あれらは物理的爆弾ではありませんから。犠牲者の恐怖の具体化に過ぎません」

 

なるほど。と俺は納得した。確かに物理的に作用する爆弾ならとっくに爆発しているはずだ。だからといって放置していていいわけではない。トラウマの象徴がそこにある限り、ソムニウム世界そのものの破綻が近づく。

 

「だったら早くボムナイトメアを倒さないとな」

 

「ですが気をつけて下さい」

 

キーボが警告するように指さす方向を見ると、壁に設置された大きなデジタルディスプレイがあった。そこには〈BOOMING COUNTDOWN 0:15〉の文字。

 

「あと十五秒以内に接近しないと自爆します」

 

「厄介だな」

 

急ぐべきか否か躊躇したその時、ボムナイトメアの触手コードが一斉に伸びてきた。四方八方から網の目のように覆いかぶさってくる。

 

「くっ!」

 

ギリギリのタイミングで回避できた。コード先端の針が衣服を掠める。鋭利な痛みと共に紫の血痕が宙に舞う。俺の肉体が現実より強靱になっていることが救いだ。

 

「っ……あぶねぇ!」

 

「慎重かつ大胆に動かなければいけませんね」

 

キーボは冷静に分析しながらコード網をすり抜けていく。

 

ソムニウム世界が歪む。

 

目の前でボムナイトメアが触手コードを振りかざす。

 

赤と黒の鉄箱が転がり、導火線から火花が散っている。

 

「くそっ……!」

 

ライダーカプセムを握りしめる。

 

金属製のカプセルが手の中で震える。

 

もう時間がない。

 

このままじゃ全滅だ―――。

 

「万津くん!」

 

「一気に突破する。力を貸してくれ、キーボ!」『ライダー!』

 

俺はそのまま、ライダーカプセムをゼッツドライバーに装填する。

 

それと共に、瞬時に回すと。

 

『グッドモーニング! ライダー!ゼ・ゼ・ゼッツ!ライダー!』

 

ゼッツドライバーから音声が鳴るのと同時に、俺の周囲から火花が迸る。

 

一瞬の眩い閃光。

 

変化していく。

 

ゼッツドライバーに固定されたライダーカプセムを中心に体が生成されていく。

 

「ライダーカプセムをドライバーに装填する事で現れる装甲。通常のゼッツよりも、防御能力及び攻撃能力が高い」

 

変化した体を見ていると。

 

アイボゥが俺に向けて解説をしてきた。

 

「フィジカムライダー。身体強化及び近接戦闘を強化させる為に作られたフォーム。それ故に移動スピードや跳躍力が大幅ダウンする分、攻撃力を伸ばす為に使う戦闘形態だ」

 

アイボゥの言う通り、今の俺の姿は完全に力任せの暴走族みたいな外見をしている。炎のような模様が刻まれた銀の装甲。そして最大の特徴は、特攻服のようなジャケットが装備されている。

 

キーボの身体が唸りを上げる。

 

ロボットの関節が音を立てて分解され、再構成されていく。

 

「ちょっ……嘘だろ?」

 

思わず俺は目を見開いた。

 

目の前でキーボが変わっていく。

 

腕がフレームに吸収され、脚部が車輪に変化する。

 

装甲が剥がれ落ちたようなパーツがボディとなり、ホワイトのバイクへと姿を変えた。

 

「まさか……変形機能まであったなんて」

 

伊達さんの声が遠くで聞こえる。

 

「・・・これが入間さんの言っていた改造か。けれど」

 

俺はそのままキーボに乗る。

 

「どっどうするつもりですか!」

 

「ナイトメアに突っ込む!」

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