ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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想う Part5

変身を終えた俺は、ゆっくりと歩き出した。

 

一歩ずつ。急がない。急ぐ必要がない。

 

屋上の縁へ立ち、眼下に広がる紫の空と歪んだ街を見下ろす。暴走した人々の意識がリンクし、一つの巨大な塊となって現実を侵食している。あの下で何百、何千人もの魂が絡み合い、それぞれの夢も痛みも希望も溶け合って、もう誰が誰だか分からなくなっている。

 

それを、一つずつ解きほぐす。

 

俺の足元から虹色の光が波紋のように広がる。カプセムに込められた人々の想いが、俺の歩みに応じて街全体へ共鳴し始めた。

 

「一人一人の夢を、取り戻す」

 

俺は呟き、膝を深く曲げた。

 

全身のエネルギーラインが一斉に発光する。虹色の光が脚部へ集中し、圧縮され、限界を超えて叩き込まれる。足元のコンクリートが放射状にひび割れ、衝撃波が周囲の空気を白く染めた。

 

跳んだ。

 

ドンッ!!

 

屋上を蹴った瞬間、音が遅れて届くほどの加速。重力を置き去りにした俺の身体は、夜空を切り裂いて真上へと舞い上がる。紫の空が迫り、歪んだ月が視界の端を掠める。

 

頂点。

 

俺は空中で身体をひねった。胸元のドライバーへ手を伸ばす。スイッチを押す。

 

一回。

 

二回。

 

三回。

 

四回。

 

『インパクト!』

 

ドライバーが轟く。カプセムが激しく明滅し、白い光が全身を包み込む。

 

回す。

 

親指でカプセムを回転させた瞬間、世界が白く染まった。

 

『オーバーグレートバニッシュ!』

 

俺の身体が光の軌跡となった。

 

超高速で空を駆ける。一度だけじゃない。二度、三度、何度も軌道を変えながら街の上空を縫うように飛び回る。その軌跡が光の帯となり、暴走した意識の塊を切り分けていく。

 

そして最後の一回。

 

俺は自らを青い白い閃光へと変えた。

 

全身のエネルギーを右足へ集束させる。虹色の光が青白い輝きへと凝縮され、龍の形を成して右脚へ巻きつく。人々の想いが、仲間の意志が、ミコトルとヒメルの最期が、全てこの一撃に宿る。

 

「これが…俺たちの夢だァァッ!!」

 

渾身の飛び蹴り。

 

閃光が街の中央へ突き刺さる。

 

ドォォォォン!!

 

衝撃波が同心円状に広がり、紫の空を割って白い光が街全体を飲み込んでいく。暴走した人々の意識の塊が、光の波に触れた瞬間、バラバラに解け始めた。

 

『ゼ! ゼ! ゼ! ゼ! ゼッツ!』

 

ドライバーの勝利の咆哮が響き渡る。

 

その声に呼応するように空中に文字が浮かび上がった。

 

7。

 

7。

 

7。

 

三つの数字が空中で回転し、光を放つ。幸運の数字。希望の数字。

 

そして次の瞬間、7が反転し、変化する。

 

Z。

 

Z。

 

Z。

 

777がZZZへと重なり合い、一つの輝きとなる。ゼッツの文字が街の上空に刻まれた瞬間、一体化していた意識の塊が弾け飛んだ。

 

一人一人の意識が、元の場所へ戻っていく。

 

絡み合っていた糸が解け、溶け合っていた夢が分離し、人々は再び「自分」を取り戻していく。紫の空がひび割れ、その向こうから本来の夜の色が覗き始める。

 

俺は着地した。

 

膝をつき、荒い息を吐く。身体中の力を使い果たした感覚がある。だが、確かに感じる。この世界の空気が、変わったことを。

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