ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
窓の外に広がるのは雨。連日の降雨が俺たちの心をさらに重くしているようだ。
あの日──ボムナイトメアを倒してからちょうど一ヶ月。
その間にも、数多くのナイトメアと遭遇し続けてきた。
ある時は巨大な蜘蛛型のナイトメア、ある時は数百羽の鳥型ナイトメアの大群。さらには透明人間タイプの厄介な敵とも対峙した。
「……結構な数、倒したよな」
独り言が出てしまうくらいには疲弊している。ゼッツの力は確かだが、その消耗も激しい。連戦に次ぐ連戦で体は悲鳴を上げていた。
しかし肝心の手掛かりは何一つつかめていない。終天教団──彼らの目的も所在も依然として不明のままだ。
「やっぱり……アイツらは常に二歩先を行ってるってことか」
拳を握りしめる。悔しさが滲み出る。
雨音がベンチの屋根を叩きつける音だけが響く公園で、俺は濡れた袖を拭っていた。戦闘後の疲労で指先が痺れている。
「……すぴー……」
隣から微かに聞こえる寝息。夢野秘密子だ。
雨上がりのベンチで肩を寄せ合い座っていたら、いつの間にか彼女が眠り込んでいた。雨雲の合間から漏れる陽光が、三角帽子の赤いリボンを透かす。その無防備な寝顔はマジシャンというより幼い少女のようで――。
(まさか本当に寝ちゃうとは……)
彼女の細い指先が、膝上の帽子のふちをぎゅっと握っている。無意識の仕草に胸が締め付けられる。
「ん……っ」
夢野が小さく身じろぎする。瞼がゆっくりと開いていく。宝石のような碧眼が覗く。
「そなたは何者なんじゃ?」
突然質問されて戸惑う一方で冷静さを取り戻す。
「僕の名前は万津莫。君と同じ希望ヶ峰学園77期生の1人です」
自己紹介すると彼女は「ふむ」と考え込む素振りを見せた後こう言った。
「・・・そうじゃったか?」
「おっ覚えていないのか」
それは、それで少しショックだ。
「・・・なんじゃか、最近では眠れなくてのぅ」
「眠れないって?」
俺は、思わず質問する。
「ふむ、少し前に変な映像を見てから悪夢を見るようになって、困ってのぅ。しかも、変な金髪の男も見るようになってのぅ」
「っ」
その話を聞いて、俺は眼を見開く。
それが意味するのは、手掛かり。
「夢野さんっ」
「うわぁ、なんじゃ?」
俺の声に驚いた声を出す夢野さん。
「少し付き合って欲しい場所があるんだ」
「ふにゃぁ、付き合って欲しいだと!?」
その言葉に対して夢野は驚きを隠せない表情をしていた。
けれど、その頬はなぜか赤くなっているが、今はそれよりも夢野さんの悪夢をなんとかしなければ。