ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
終天教団への疑問に思っていると、ソムニウム世界に変化。万津の前にナイトメアが現れる。今回、現れるナイトメアは道着とボクシンググローブ、剣道の面をつけた姿。百田はナイトメアに驚きを隠せない様子を見せながら、万津は構える。
その言葉が終わるか否かの瞬間だった。
ソムニウム世界の風景が歪む。道場の木床が波打つように歪み始め、竹刀袋が宙に浮いた。茶柱の世界が不安定になっている。
「来るぞ!」
俺が叫んだ刹那、闇の中から影が蠢いた。
眼前に現れたのは異形の武術家だった。
道着に袴姿。腰には鞘に収めた刀が揺れている。だが左腕だけが異様だった――漆黒のボクシンググローブを嵌めているのだ。しかも右側には剣道の面を被っており、表情は窺えない。
「こいつは……」
「ナイトメアだ!」
百田が驚愕の声を上げる。その顔は青ざめていた。
「嘘だろ……人の悪夢がこんな化け物になっちまうのかよ?」
「だからこそ止めなくちゃいけないんだ!」
俺はゼッツドライバーに触れる。
「こっちは任せてくれ!変身!」
赤と黒の装甲が身体を覆う。筋繊維を模した紋様が腕から腹部へと流れるように光る。
『グッドモーニング!ライダー!ゼ・ゼ・ゼ・ゼッツ!フィジカム!』
最後に両脚が脈動するように膨張し、鋼鉄の筋肉質なフォルムに変わる。
百田が息を飲む音が聞こえた。
「マジかよ……あの姿って……」
最原が淡々と補足する。
「あれが、万津の」
百田の問いに答えず、俺は跳躍した。着地と同時に道場の床が砕ける。
「まずは話を聞く必要がある!」
ナイトメアは沈黙したままだったが、左腕のグローブがわずかに動いた。
万津がナイトメアへと向かっていく。
「行くぞ!」
ゼッツフィジカムの筋肉が唸りを上げる。一歩踏み出すごとに床がへこむほどの脚力で跳びかかった。標的はナイトメアの胸部――剣道の面をつけた右側。
「チェストォォオオッ!」
渾身の正拳突き。超高校級の格闘家の称号は伊達じゃない。普通の相手ならこれだけで吹き飛ぶ威力だ。
だが――
スルリ
まるで水面に石を投げたように拳が滑る。ナイトメアは微動だにしていなかった。
「なっ!?」
次の瞬間、視界がぐるりと回る。背筋に衝撃。
「ぐあっ!」
投げられた。道場の隅に竹刀袋がまとめて積まれた場所に叩きつけられる。
「万津!」
百田の声が響く。現実世界のモニター越しにも状況は見えているらしい。
「くっそ……」
立ち上がろうとした瞬間、視界の端で何かが動いた。
ナイトメアの仮面の隙間を見ると、百田達は驚きを隠せなかった。
「おい、あのナイトメアの仮面を見ろ!」
「えっ!」
その一言に、俺達は見つめる。
そこに。
「ちゃっ茶柱さん!?」
今回の救助対象である茶柱が苦しそうにしているのが、見えた。