ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

5 / 250
始まり part4

「ゼッツだと、何を馬鹿なことを!」

 

ナイトメアは哄笑しながら左腕を構える。砲塔内部で弾丸が高速回転する音。

 

「銃火器の優位性を知らないのか」

 

炸裂音と共に火線が走る。通常なら避ける暇もない凶弾の雨。しかし今の俺にとっては――

 

「遅すぎる」

 

まるでスローモーションだ。空間認識能力が数百倍に跳ね上がったかの如く、弾道が視認できる。しかも体内を流れるエネルギーが尋常ではない。変身前とは別次元の膂力が漲っている。

 

「なにィッ!?」

 

ナイトメアが瞠目する。当然だ。俺は前方から飛来する二十発以上の銃弾を"両手で掴んで"いた。

 

「物理法則が……貴様、何者だァ!?」

 

「さっき言ったろ?」

 

手のひらの弾丸を握り潰しながら前に踏み出す。砕けた金属片がキラキラと散る。

 

「ゼッツ……仮面ライダーゼッツさ」

 

右足を深く踏み込み、腰を捻る。腰溜めからのストレートパンチがナイトメアの胴体を撃ち抜いた。

 

「ぐぉっ……!?」

 

装甲を貫いた感触はない。だが確実に内臓へダメージを与えた。ナイトメアが数メートル吹き飛び、瓦礫の山に突っ込む。

 

「ちいっ……!」

 

反撃に出ようと両肘から小型機関銃が出現。三百六十度全方位掃射だ。コンクリートが削られ塵芥が舞う。

 

しかしその時――

 

俺は空中高く舞っていた。

 

「なっ――!?」

 

ビル三階相当の高さから見下ろす校庭。足裏を起点に青白い加速粒子が放射状に散る。ゼッツの推進能力だ。

 

「フッ!」

 

滞空時間のまま右脚を引き絞る。上空からの蹴りを正面から叩き込む。衝撃で地面が陥没し粉塵が天井を突く。

 

「がはっ……くそぉおお!!」

 

ナイトメアは砕けた装甲から黒い蒸気を噴出しながらも立ち上がる。理性を失ったように銃火器を乱射する。

 

俺は砕けた瓦礫を蹴り上げる。無数のコンクリ塊が弾丸となってナイトメアへ殺到する。

 

「小賢しい……ッ!」

 

左腕の砲塔が旋回。迎撃弾幕で迎え撃つが――

 

「隙ありだぜ!」

 

爆煙に紛れて距離を詰めた俺は、ナイトメアを蹴り飛ばす。

 

そして

 

「決めさせてもらうぜ!」

 

ゼッツドライバーのトリガーを指で素早く3回押し込む。カチン!カチン!カチン!

 

《インパクト!》

 

装甲内部から機械音声が反響する。右手でインパクトカプセムを鷲掴みにし、勢いよく回転させた。

 

《バニッシュ!》

 

緑色の燐光が全身を駆け巡る。視界が鮮明に切り替わった。黒い光球の軌道が線状に見えている。

 

「こいつで……決める!」

 

俺は右足を踏み込むと同時に左足で跳躍。空中で回転しながらナイトメア目掛けて飛翔した。

 

《ゼ! ゼ! ゼッツ!》

 

右足の回し蹴りがナイトメアの胸板を薙ぐ。

 

「ぐっ!」

 

金剛石の欠片が散るように砕けた装甲の上に――赤いの『7』が刻印された。

 

左膝蹴りが腹部に直撃。

 

「がっはぁ!」

 

もうひとつの『7』が逆向きに輝く。二つの数字が対称的に浮かび上がる。

 

そして決定打の瞬間。

 

《インパクト・フィニッシュ!》

 

全身全霊を込めた蹴りがナイトメアの額に炸裂。同時に最後の『7』が垂直に刻まれた。

 

「これで終わりだァァッ!」

 

三つ揃った『7』の下に赤いラインが走る。まるで電光掲示板のランプが点灯するように――『zzz』の文字が完成した。

 

「眠れ……永遠に」

 

蹴りの衝撃と共にナイトメアの巨体が崩れ落ちる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。