ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「・・・それは本当か?」
俺の問いにまんじはニヤリと嗤う。
「お前さん自身で確かめてみな」
そう言うとバイクのライトが薄暗い雪原の一点を照らし出した。
「これは・・・ッ!!」
無数の人影が地面に貼り付いていた。
全て女性。全て裸身。全て違う殺され方をしている。
ある者は首を百八十度捻じ曲げられ、
ある者は舌を引き抜かれ喉に杭を刺され、
ある者は全身の皮膚を剥がされ樹皮を移植されていた。
「これが真宮寺是清が選んだ『合格者』だ」
まんじが吐き捨てるように言う。
「全部コイツの姉の友人に相応しいと判断された女どもさ」
俺は膝から崩れ落ちそうになるのを必死で耐える。胃袋がひっくり返りそうだった。
「お前の友達はな、この女たちを『祝福』だと宣いながらバラバラにして殺したんだ」
「嘘だ・・・そんなの嘘だ!!」
頭では否定したいのに、心が追いつけない。
俺の脳裏に過るのは、教室で民俗学の話に熱中していた真宮寺の横顔。あれが全て作り物だったなんて。
「・・・お前らに騙されるわけにはいかないッ!」
「ククッ。いくら叫ぼうが現実は変わらねぇよ」
まんじはバイクから降り、俺の肩をポンと叩く。
「俺ら終天教団に言わせりゃ、こういう奴こそ人間の縮図だ。他人を裁き悦に浸るキチガイ。それがお前のダチさ」
雪がサラサラと睫毛に降り注ぐ。
俺は唇を噛み締めた。血の味が滲む。
「俺は……俺は友達を見捨てない!」
まんじは愉快そうに顎を擦った。
「ほう?犯罪者を庇うのか」
「確かに真宮寺君が人殺しをしていたなら……許せないことだと思う」
俺は震える拳を握りしめながら言葉を選ぶ。
まんじは嘲るように鼻を鳴らした。その仕草一つ取っても教師のように尊大だ。
「ククッ……ならどうする?そいつを殴り倒して警察に突き出すか?それともズラッと並んだ死体みたいに蹴り飛ばすか?」
「俺は……」
一歩前へ踏み出した瞬間、雪がシャリと砕ける。まんじの嘲笑が降り注ぐ。
「まさかまだ"友達だから許す"とか寝惚けたこと言わないよなァ?」
「……わからない」
素直に答えるしかない。頭の中は渦巻く疑念と怒りで真っ二つだ。
「わかるわけないだろ!そもそもアイツが本当に犯人なのかもまだ証拠がない!」
「ククッ……じゃあ訊くが。あの雪原に転がってる女どもはなんだ?真宮寺是清の誕生日プレゼントか?」
「違う!!」
思わず声が大きくなる。まんじはバイクのタンクに肘をついて余裕綽々に笑う。
「だけど……仮に真宮寺君が人を殺したとしても……だからって見捨てたりしない」
「ククッ……」
まんじは額に指をあてて大袈裟に驚く。
「もしかして更生でも期待してんの?あの異常者を?冗談キツいなァ」
「違う。罪を償わせるためだ。法廷か……あるいは……」
「あるいは?」
「俺が止める」
それと共に、俺はゆっくりと構える。
「・・・なるほど、教祖が気に入る理由は分かった。だけど、止まる気はないけどなぁ!」