ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「まずはあのクソ学者の心の扉に行けば突破口が見つかるかもしれねェ。そこで情報を搾り取るのが賢いやり方だろう?」
その言葉に俺は頷こうとした――その瞬間だった。
ゴッ!
鈍い衝撃音が背後から響く。
バイクの振動が激しくなり、タイヤが雪を抉る音が不規則になる。
「……クッ!」
まんじの舌打ちが聞こえた。ハンドル操作に全神経を注いでいるのが分かる。ミラー越しに背後を確認するまでもない。
ナイトメアが追撃を開始していた。
あの巨人が跳躍し、空中で両腕を広げて雪原を削りながら滑走してくる。その度に地面から呪詛が噴き出し、バイクの周囲を取り囲もうとする。
「まんじさん! 運転に集中してくれ!」
俺は叫んだ。肩越しに後方を睨みながら。
「お前がそいつを引き付けて時間を稼げ!」
「分かってる!」
まんじは毒づきながらも速度を上げる。スピードメーターが一気に跳ね上がる。しかしナイトメアは呪力で雪を沼のように変化させ、バイクの軌道を狭めてくる。
時間が無い。ならば――。
俺はブレイカムゼッツァーを素早く動かし、銃モードへと切り替えた。
武器が軋む音が低く響く。刀身が短くなり、銃身が伸びる。内部機構が組み変わり、発射口に光の粒子が凝縮される。
「俺が牽制する!」
まんじは短く舌打ちをしたが反論はしなかった。彼女もそれが最善だと分かっているのだ。
「ケッ! しゃーねぇなァ! 援護任せたぜ!」
「了解!」
俺は膝立ちになり、背後へ銃口を向ける。ナイトメアとの距離は約二十メートル。狙いやすい獲物ではないが……。
ブレイカムゼッツァーのトリガーを引く。
ギュオンッ!
独特の発砲音。銃口から放出されたのは弾丸ではなく、青白い光球だった。それは空中で分裂し、放射状に拡散する。
ナイトメアは慌てて両腕を盾のように構えたが――。
光球は霧のように広がり、奴の動きを封じ込める。呪詛の波動が弱まり、瘴気が濁流のように逆流する。
「効いてる!」
俺は続けて第二弾を放つ。今度は連続射撃だ。バイクの振動に合わせて狙いがブレるが、命中精度を上げるために照準補正機能を最大限に活用する。
「ハハッ! いいぞ万津ィ! そのまま押し込めェ!」
まんじが吠える。その声に押されるように、俺は更に銃口を下げる。ナイトメアの脚部に向けて照射する。
光が雪原を灼き、焦げ跡を残す。ナイトメアが悲鳴のような咆哮を上げた。効果がある――だが決定打にはならない。
「長くは持たないぞ……!」
俺は奥歯を噛み締める。弾切れまでの時間は有限だ。撃ち続けることで多少の足止めにはなっているが、根本的な解決には至らない。
「分かってる! このまま真宮寺の心へ突入するしかねぇ!」
まんじはアクセルを全開にした。バイクの排気音が雷鳴のように轟く。前輪が軋みを上げながら雪煙を巻き上げる。
「もうすぐだ! 心の門が見えてくるはずだ……!」
まんじの言葉を信じるしかない。俺はブレイカムゼッツァーの銃身を下ろし、両手でしっかりとバイクのボディーを掴み直す。
背後ではナイトメアが粘つく咆哮を上げている。近づいている。奴が本気になれば、このバイクごと呑み込まれるだろう。
「絶対に……突破する……!」
俺は固く誓う。どんな真実があろうとも、友達を見捨てるつもりはない。
真宮寺を助ける――その意志だけが今、俺を動かしている。
やがて、見えたのは、心の扉。
それを見た瞬間、俺はその場から跳びだし、そのまま地面を叩く。
そう、そのまま巨大な土の壁を造り出す。
「さて、この間に心の扉を確認する」
そう、俺達は心の扉の鍵穴を見つめる。