ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
尋問室から連れ出された先は、まるでSF映画のセットだった。
無機質な白い廊下を抜けると、広大なドーム状の空間が広がっている。壁一面には無数のモニターが埋め込まれ、緑色の文字列が高速でスクロールしていた。天井からは無数のケーブルが垂れ下がり、巨大な蜘蛛の巣のようだ。
「ここが……」
「絶望に落ちる人達を救う為の設備よ」
霧切教頭が淡々と説明する。
「そして、さっきまであなたが座っていたPsync装置」
中央に鎮座するのは円形の巨大機械だった。直径10メートルはあろうかという金属製のリング。その両端にカプセル状の椅子が設置されている。周囲には操作盤や計測器が林立し、白衣の人々が忙しなくキーボードを叩いている。
「すごい……」
まるで人体を解析するMRIスキャナーと宇宙船のコクピットを融合させたような造形だ。リング内部では七色の光が脈動し、幻想的な光景を作り出していた。
「月夜野」
霧切教頭の呼びかけに応じて、奥の影から小柄な女性が現れた。
そこには。
「あれ!あの時の!」
そこには、スマホを落とした女性がいた。
「彼女は月夜野日菜、Psyncの専属オペレーターよ」
「あの時は、本当にごめんなさい!」
「いやいや」
確かにあの時に見た映像がきっかけで酷い目にあったが、目の前にいる彼女のせいではない。
「謝らないでくださいよ!何よりも先輩が酷い目に遭わずに済んだのだから」
「うっ、ありがとうねぇ、後輩君!」
そうして、嬉しそうに涙を流してくれた事もあり、俺も少し安堵する。
「・・・ついでに、彼女の年齢は29歳よ」
「えっ?!」「ちょっ!」
それと共に場の雰囲気を和らげる目的なのか、霧切教頭の言葉に俺と月夜野さんは思わず叫んでしまう。
「さて、それじゃ、そろそろ本題に入りましょうか」
そうして、何事もなかったように、先程のゼッツドライバーを取り出す。
「このゼッツドライバーは、簡単に言えば、このPsync装置を小型にし、さらには瞬時に行う事が出来る」
「Psyncを?」
「えぇ、Psync装置は元々、希望更生プログラムというシステムを改良して作られた物よ」
「希望更生システム?」
「・・・まぁ、それは今は関係ないわ。とにかく、とある事件をきっかけに判明した絶望のビデオの存在。それによって生み出される超高校級の絶望となった人々を救う為に造られた。けれど、Psync装置での救出活動も、場所の制限もあり困難となった。そこで、作られたのが、このゼッツドライバー」
そうして、再びゼッツドライバーに眼を向ける。
「ゼッツドライバーは、装着者と対象者を瞬時にPsyncする事が出来る。ゼッツドライバーの装着者は、これを使って、対象者のソムニウム世界、つまりは夢の中に入る事が出来るの」
「それは、凄い!けれど、なんで俺が?」
「超高校級の絶望のソムニウムは、見た者を絶望させる。それは、普通の人間でも、超高校級と呼ばれた人でも耐えられない可能性もあるわ。だからこそ、Psync時には、オペレーターは勿論、パートナーとなるAiが必要になるわ。あなたを助けたアイボゥもそんな1人よ」
「へぇ」
先程から、情報量が凄まじいけれど。
「だけど、ゼッツドライバーはAiによる補助がない分、絶望に染まりやすい。Aiと共に行う場合でも、ゼッツドライバーからの負荷によりAiの方が先に壊れてしまう可能性がある。よって、ゼッツドライバーは、単独で使用しなければならないの」
「だからこそ、絶望のビデオの化身であるナイトメアを相手でも戦えたあなたに、適任だと判断し、ゼッツドライバーを装着させたの。まぁ、賭けみたいな物だったけどね」
「そうだったんだ」
「だからこそ、新入生であるあなたに頼むのは申し訳ないと思う。けれど、絶望で苦しむ人々の為にも」
それと共に。
「悪夢から、人々を守って欲しい」