ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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共闘 Part7

バイクの咆哮が雪原を切り裂く。

 

俺はバイクの上で無理やり立ち上がった。

 

「なにしてんだてめぇ! 揺れるってば!」

 

まんじが振り向きざまに唾を飛ばす。彼女の額には血が滲んでいた。

 

「このまま突っ込むしかないだろ」

 

前方で雪煙が爆発する。ナイトメアの本体──あの肉塊が痙攣しながら近づいてくる。触手が鞭のようにうねり、雪を穿つ。

 

だが、それに対して、俺はそのままブレイカムゼッツァーにコミックカプセムを装填する。

 

そう、その手にあるブレイカムゼッツァーの銃口を真っ直ぐと向ける。

 

「狙いは外さない、一発で決める」

 

俺はブレイカムゼッツァーの引き金に指を掛けた。

 

指が汗で滑りかけるが構わない。

 

銃口には微かに青い粒子が集積している。

 

コミックカプセムの起動によるものだろう。

 

「お前に――」

 

声に出すつもりはなかった。なのに自然と言葉が零れる。

 

「希望の上塗り」

 

トリガーを絞る感触は思いのほか軽かった。

 

銃口から放たれたのは光弾ではない。

 

それはまるで原稿用紙を圧縮したかのような――無数のコマが束になって飛翔するような光景だ。

 

バシュウウウウン!

 

「……!!」

 

ナイトメアが喉を絞められたような悲鳴を漏らした。

 

触手がビクリと硬直し、全身を震わせる。

 

銃弾は奴の中央――肉塊の核心に着弾した。

 

そして、炸裂する。

 

ドォオオ……ッ!

 

一瞬だけ世界が色彩を喪失した。

 

雪も森も空も灰色に染まり、次の瞬間、極彩色の漫画コマが四散する。

 

四方八方へ拡散する各ページは、まるで現実そのものを改竄するように渦巻いた。

 

黒く爛れた皮膚が紙のようにペリペリと剥がれ落ちる。

 

内部から滲むのはどす黒い血液ではなく――インクの雫。

 

「わ……たし……は……?」

 

掠れた声で呻くナイトメア。

 

その輪郭がどんどん曖昧になり、輪郭線がブレはじめる。

 

触手の一本一本がインク瓶のように砕け散り、周囲を濃厚な藍色で満たした。

 

「私の……絶望は…………?」

 

瞳のような器官が上下に振れる。

 

「消えてゆく……?」

 

そして――弾ける。

 

爆発ではない。崩壊だ。

 

細胞ひとつひとつの結合が緩み、空気に解けてゆく。

 

音もなく溶けた肉体は墨溜まりとなり、地面に浸透して消失した。

 

風が凪ぎ、静寂が訪れる。

 

あとに残ったのは薄汚れた雪面と――

 

ぽつんと佇む真宮寺是清だった。

 

彼の額には汗の粒が光っている。

 

焦点が合っていない瞳が虚空を見つめている。

 

やがてふぅっと息を吐き出した。

 

「……僕は……いま……」

 

真宮寺の指が自分の胸元を押さえる。

 

そこにはかつての狂気の源泉であるはずの痣はない。

 

「姉さんのために……あんなことを……」

 

瞳に浮かぶのは疑問符ではなく――自責の涙だ。

 

「間違えたのですね」

 

涙腺が決壊したかのように水滴が頬を伝った。

 

そして、そのまま、消えていくのを見届ける。

 

「・・・協力はここまでだ」

 

それと共にまんじは、そのまま去ろうとする。

 

「・・・お前達は、結局、何をしたいんだ」

 

そう、問いかける。

 

だが、まんじは。

 

「私はただ、教祖の為にやる為だ。まぁもしもお前がこっち側に来たかったらんなら、歓迎するぜ」

 

「行くかよ」

 

「へっ、そうかよ」

 

そう、まんじもまた、その姿を消えていく。

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