ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「まぁ座りなよ。寒いのにずっと立ってちゃ風邪ひくぞ」
龍木先輩はベンチの隣を軽く叩いた。俺は缶コーヒーを一口飲んでから座る。
「で?真宮寺のことか」
「うん……」
言葉に詰まる。
「俺さ……彼が捕まるのを、止められなかった」
龍木先輩は天を仰いだ。右目の義眼が青く光る。
「そうか。でもな万津くん」
突然俺の肩をポンと叩いてきた。力加減が絶妙すぎて気持ち悪い。
「人は選択肢を選ぶ生き物だ。君も真宮寺くんも、それぞれの判断で動いただけだ」
「でも結果として……」
「待て待て!」
今度は俺の口を塞ぐジェスチャー。
「過去は変えられない。問題はこれからどうするかだ」
彼は立ち上がって両手を広げた。芝居がかった仕草に少し笑いそうになる。
「例えば……おっと」
ズボンの裾がベンチに引っかかり前のめりに倒れる寸前で踏みとどまる。
「大丈夫ですか?」
「ハハッ……最近色々とね」
「まぁそんな感じでね」
龍木先輩が話し始めたときだ。
「まったくあなたは」
突如として鋭い声が響いた。
「え?」
声の主を探す間もなく、目の前で異常事態が発生した。
ズボッ!
鈍い破裂音と共に何かが飛び出してきたのだ。龍木先輩の左目から──
「うわっ!?」
反射的に俺は顔を背ける。
「AI-Ball……アイボゥさん?」
そこに現れた彼女の姿は、俺が知っているアイボゥさんとはどこか違う。
よく見れば、赤い瞳であり、俺は疑問に首を傾げる。
「アイボゥじゃないわね、私はタマよ、アイボゥと同じだけどね」
「あははぁ、まぁタマは僕の相棒って所かな」
「なるほど」
「あのねぇ龍木。またあなたは勝手に人の名前を」
「あぁぁ~ごめんごめん~」
「まったくもう、しっかりなさい」
「いてて……」
そうした一連の流れを見つめながら俺は気づく。これは新種のホログラムではなく物体として実在するらしいということを……つまり俺の目の前には今三人の人物がいるということになる。
「すごいですね……」
思わず感嘆の声を漏らすとタマがこちらへ振り向き微笑みかけてくる。
「あなたが万津くんね。噂には聞いてるわよ」
「どうも初めましてです」
軽く会釈するとタマは嬉しそうに目を細めてくれた。
「・・・まぁ、龍木も言っていたけど、あなたが気にする必要はないっと言っても、あなた自身は納得しないわよね」
「まぁ」
今回の出来事がもしも明らかにならなかったら、被害者が増える可能性は十分あった。
そして、これ以上罪を重ねる前に止める事が出来た。
それを含めたら、確かに良かったと言える。
けれど。
「正しいから、納得出来ない所もありますからね」