ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「正しいから、納得できない……か」
龍木は目を伏せたまま呟いた。
「難しい問題だね。僕らは法治国家の公務員だから、法に従って動く義務がある。でも」
そこで一度言葉を切り、ふと困ったような笑みを浮かべる。
「僕個人としては……真宮寺くんの痛みがわかるんだ」
「なぜわかるんですか?」
「僕も家族を事故で亡くしたからね」
そうして、龍木さんは悲しそうにしていた。
「家族を」
「龍木は、事故で両親と弟を亡くしたんだ。だから、家族を亡くした彼の気持ちも分かると思うの」
「・・・そうですが」
すると、龍木は苦笑いをする。
「うん、もしも僕にも彼のような才能があったら、同じような行動を行ったかもしれない」そう言った台詞に嘘はなかった。
けれど、俺はどう答えたら良いのか。
「才能があったら、それだけに眼を向けてしまう。もしかしたら、才能は一つの呪いかもしれない」
「呪いですか」
それに対して、俺は何も答えられなかった。
この一ヶ月、数多くのナイトメアと戦ってきたい。
彼らが誕生した理由の多くは、ナイトメアを生み出した宿主である超高校級の才能デアル彼らの悩みと繋がっている。
それを考えれば、彼らが絶望する理由は、超高校級の才能故かもしれない。
「だからこそ、その才能を祝いか呪いに変える事が出来るのは、やっぱりこの希望ヶ峰学園かもしれない」
「この学園が」
龍木さんの言葉に対して、俺は首を傾げる。
「あぁ、彼が犯罪に走った才能の使い方をしてしまったのは、姉と自分という2人だけの完結してしまった世界が原因だ。もしも、誰かとの関わりがあったら変わっていたかもしれない」
そうしながら、龍木さんは苦笑いをしながら言う。
「僕達がやるのは、それを強制的に行ってしまう事かもしれない。けれどね君のおかげで彼は確かに変われたと思うんだ」
「俺のおかげで?」
「あぁ、彼はずっと1人だけで抱え込んでいた闇を、強制的にとはいえ吐き出す事が出来た。本当だったら感じていた罪悪感も、この戦いで知る事が出来た」
それと共に、俺が思い出したのは、戦いが終わった後の彼の顔。
そこにはどこかすっきりとしていた表情である事は今でも覚えている。
「これからの戦いで、彼のように自分の罪を告白し、こうした結果が待ち受けているかもしれない」
その一言に対して、確かな現実を感じた。
けれど。
「だからこそ、そんな時は仲間達にも頼って欲しい。まぁ、僕も一応は先輩だからね」
「龍木は、こう見えて、初めての後輩で嬉しがっているのよ」
「ちょっ、タマ!?」
そう、2人の会話を聞きながら、俺はどこか安堵する。