ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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後悔 Part4

俺は屋上のフェンスに寄りかかりながら、雲一つない青空を見上げていた。龍木さんの言葉が耳の奥で反響している。

 

「才能が呪いだと感じるなら……それでもなお」

 

風が吹き抜け、俺の制服を翻す。思考が堂々巡りしているのが自分でもわかる。真宮寺を止められたことを喜ぶべきなのか。それとも友を追い詰めた罪悪感に苛まれるべきなのか。

 

その時だった。

 

「なんだ、こんなところにいたのか」

 

振り返ると、最原が肩で息をしていた。

 

その後ろには赤松が大きく手を振り、夢野がゆったりと歩いてきて、茶柱は夢野をサポートするようにそばにいた。

 

「探したぞ。教室にも寮にもいなくてさ」

 

「授業はサボらない主義じゃなかったの?」

 

赤松が冗談めかして笑う。

 

「今は休憩かな」

 

俺はそっけなく答え、再びフェンス越しの景色に目を戻した。

 

「相変わらず素直じゃないね」

 

最原が俺の隣に並び立つ。

 

「何かあったのか? それとも……真宮寺くんのこと?」

 

心臓が小さく跳ねた。やはり見抜かれている。

 

「別に。ちょっと考え事をしてただけだ」

 

「嘘つきじゃのぅ」

 

夢野が小さな声で言いながら、俺の斜め後ろに立った。

 

「悩んでいるのだろう?」

 

「なんでわかるんだよ」

 

「お主の顔に書いてあるのだ」

 

夢野は珍しく微笑んでみせた。

 

「ウチも同じことを思ったことがあるのだ。魔法の杖も使い方次第で凶器になるってね」

 

「私の場合は武術ですけど」

 

茶柱が自信満々に言ってから、「男死は徹底的にやるつもりですけど」と付け加えた。

 

赤松が腕組みをして俺に向き直る。

 

「真宮寺くんの件だけど……誰もキミを責めたりしないからな」

 

「わかってる。けど……」

 

「けど?」

 

「もしもあの時俺が違ったやり方を選んでいれば……真宮寺もあんな形で終わらずに済んだかもしれない」

 

言葉尻が震えた。自分が怖くなった。

 

すると最原が静かに言った。

 

「キミは優しすぎるんだよ。全てを自分のせいにする必要はない」

 

「でも――」

 

「でも、じゃない」

 

赤松が一歩前に出て俺の肩を強く掴んだ。

 

「万津君がいなければもっと悲惨な結末を迎えていた。それは事実だよ」

 

「だけど……」

 

「万津は善行を積んだのだ」

 

夢野の落ち着いた声に思わず顔を上げた。

 

「ただし、善行というのは往々にして後味が悪いものなのだ。他人の悪意を引き受けなければならないのだから」

 

「それでも……」

 

「よくやったのじゃ。少なくとも……ウチにとっては英雄なのだ」

 

英雄なんて言葉、似合わない。俺はただの平凡な学生でしかないのに。

 

「万津さん」

 

茶柱が俺の顔を覗き込んだ。

 

「真宮寺先輩のこと、ずっと気にかけてたろ? 毎日のように授業ノート届けてあげてたし」

 

「それは……当たり前だろ」

 

「そういう当たり前ができること自体が偉いんだよ」

 

最原が補足するように言う。

 

「キミがいなかったら真宮寺くんは孤立したままだった。今回の一件も含めて、キミはきちんと接点を持とうとしていた。それだけで十分だ」

 

「十分じゃ……」

 

「十分なんだってば!」

 

赤松が半ば強引に遮った。

 

「もし今回のことがキミの負担になってるなら……私たちも一緒に背負うから!」

 

彼女の言葉に続けて夢野がうなずき、茶柱も力強く両手を挙げた。

 

「背負うって……」

 

「そうだよ。友達を支えるくらい当然のことだろ?」

 

最原の柔らかい笑顔が眩しい。

 

「みんな……」

 

視界が潤んできた。泣き顔なんて見せたくなくて、俺は空を見上げた。

 

雲一つない青空。昨日と変わらないのに今日は少しだけ広く感じる。

 

「ありがとな」

 

小さな声だったけど、ちゃんと届いたみたいだ。

 

「それじゃ!明日からまた通常運転だぞ!」

 

赤松が元気よく背中を叩いてきた。

 

「そうだな……やってみるよ」

 

俺は深呼吸をして前を向いた。

 

真宮寺のことは忘れられないし、才能に対する不安もまだある。

 

少なくとも、俺は、彼らを助けられて、良かった気がする。

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