ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「悪いな、龍木。いきなりこんなことを頼んでしまって」
伊達が机に肘をつきながら低い声で言うと、龍木は穏やかな笑みを浮かべて答える。
「いえ、伊達さんのお願いであれば喜んで」
それに僕も彼のことは気になっていたので。
ここはアビス本部の事務室。窓から差し込む午後の光が埃を舞わせて見える中、二人の捜査官が向かい合っていた。テーブルの上には山積みの資料。すべて真宮寺事件関連だ。
「で、龍木。あの少年――万津のことだが」
「はい。彼は確かに才能に恥じぬ働きをしました。しかし……」
「まぁ、まだ高校一年生だからな、未熟な部分も多いのも当然だ。ナイトメア化した同級生を自らの手で逮捕するという経験は普通なら一生ない」
伊達が葉巻を取り出すが龍木が静かに制止する。禁煙エリアだから。
「申し訳ありません。ここでは……」
「わかっている」
伊達は肩をすくめると資料を一枚手に取った。そこには終天教団のマークと思われるシンボルが写されていた。
「伊達さん」
龍木が液晶タブレットを操作すると、画面に映像が表示された。そこには――まんじのバイクの走行シーンが映っている。
「こいつは……」
「分析班によると、彼女のハンドリング技術は非常に洗練されています」
龍木の指がタッチパネル上を滑り、映像がスローモーションになった。
「特に危機回避時の操作」
画面に映るまんじのバイクが急ブレーキで鋭くターンし、ビルの壁を擦りながら回避運動を見せた。まるで翼が生えた猛禽類のような動き。
「この動き、どこかで見た覚えがありませんか?」
「なるほど。これは……」
伊達が目を細める。
「過去のデータと照合した結果」
龍木がカチリと音を立ててキーを押し込むと、新たなウィンドウが開いた。
「大和田紋土――その人物の操縦記録と極めて高い一致率を示しています」
画面には金髪の大柄な青年のプロフィールが映し出される。
「大和田……かつての暴走族総長にして天才的な運転技術を持つ男」
「すでに死んでいるはずの人物ですね」
龍木は淡々と告げる。伊達の眉がぴくりと動いた。
「それが気になる」
「ええ」
龍木は端末を閉じる。
「犬神軋の会話に関しても同じです」
「・・・それはつまりは、超高校級の才能を奴らも持っているという訳か。これは確かに厄介だが」
『それを含めて、一つの結論に辿り着いた』
すると、伊達の左目からアイボゥが現れ、そのまま立つ。
「結論?」
『あぁ、終天教団。彼らは実は現実には存在しないのではないか』
「・・・はぁ?」