ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
「そして」
アイボゥがさらに核心に迫る。
「彼らが人類を滅ぼす合理的理由も理解できました」
「なんだって?」
伊達が机に身を乗り出す。
「人類が滅亡すれば」
アイボゥの声が重く響く。
「サイバー空間において彼らは自由に活動できるのです」
「まるで水中から陸へ脱出した古代魚のように――」
龍木が比喩を加える。
「肉体の枷を解き放たれた存在にとって」
タマが空中を漂いながら補足する。
「今の世界は牢獄も同然なんです」
沈黙が事務室内を支配する。埃っぽい空気が異様に濃く感じられた。
「確かに、その理屈だったら、あいつらが人類を滅亡させる理由は分かる。むしろ、自分達を含めた自殺を考えるイカレ野郎よりはマシだ。けれど、問題はそんな奴らを作りだしたのは誰かだけど」
伊達の問いかけにタマが静かに応じる。
「可能性として最も有力なのは『超高校級のプログラマー』不二咲千尋が関わっていることでしょう」
タマのホログラム像がデータベース検索を行い、古い希望ヶ峰学園の卒業アルバムから不二咲の写真を抽出する。
「彼がそれを考えた可能性は低いでしょう。生前に作ったプログラムが、放置されて暴走した可能性はあるが」
「いや」
伊達が遮る。
「もっと恐ろしい可能性がある」
「江ノ島盾子ですね」
龍木が断言する。
「『超高校級の絶望』だった彼女ならやりかねない。不二咲の創ったアルターエゴ技術を悪用し、己の意志をサイバー空間に定着させることができる」
「つまり……」
アイボゥが付け加える。
「江ノ島は単なる過去の怪物ではなかった。死の間際に自身の意識をデジタルに転送し――」
「今もなお社会を蝕み続けている……ということか」
全員の間に沈黙が落ちる。
「つまり奴らは生まれたその瞬間から超高校級の絶望になっていたという事か」
「生きて居てても、死んでいても、奴の悪意は健在という訳か」
伊達が苦々しく吐き捨てる。
「だが、どちらにしても、これで多くの謎は解けた。本来ならば介入する事が出来ないはずが、アルターエゴであれば、入る事は可能だ」
「そして、あの時もまんじの様子から考えれば、おそらくはソムニウム世界の中で殺した場合、そのまま消滅する可能性はある」
「仮にアルターエゴだとしても」
タマが警告する。
「彼女らは単なるデジタルコードではない。感情を持ち、計画を立案し、外部へ干渉する手段を持っている。まるで意志を持った自然災害だ」
「・・・説得は不可能なのかな?」
「難しいだろうね、どちらにしても、それを強いるのは万津君にはあまりにも負担が大きすぎるわ」
「あぁ、俺達は俺達で出来る事をやるしかない。後悔がないようにな」