ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
少し前の事件を解決した後。
俺は、少しだけ元気になった。
真宮寺の事が頭に過ぎらない事はないけれど、俺には出来る事がある。
だからこそ。
俺は、これ以上、絶望のビデオの被害者を増やす訳にはいかない。
その為には。
俺は、一人で廊下を歩いて行く。
しばらく進んでいるうちに。
廊下の窓から見える景色は暗くなりつつあり夕暮れ時だと気づく。紅い光が建物の陰を伸ばしていく。ここは都内のアビス本部。地下3階。俺たちの担当区域。
「確かこの辺り……」
ポケットから伊達が指定した座標が書かれた紙切れを取り出した。「この近くで異常値が出た。お前にも来てもらいたい」
簡潔なメッセージの通り、周囲は不気味な程静かだった。壁一面に設置されたモニタには"ERROR"の文字が点滅している。非常灯だけが薄暗く廊下を照らしている。
「万津君!」
「龍木さん?」
角を曲がったところで龍木さんと鉢合わせになった。彼の顔色が明らかに悪い。
「すまない万津君……大変なことになった」
「まさか……」
最悪の想像が頭をよぎる。龍木は悔しそうに唇を噛んだ。
「伊達さんが……絶望ビデオを見てしまった」
背筋が凍った。その時だった。
ドゴォォン!!
遠くから何かが爆発する音。続いて警報音。廊下の蛍光灯が不規則に明滅し始める。
「急げ!」
龍木さんに促されるまま走り出す。廊下の角を曲がると目の前に信じられない光景が広がっていた。
「あれは……」
「伊達さんが絶望ビデオを見た理由? 那は、単純に……」
「エロDVDの中に紛れていたらしい」
「………………………………」
思わず目が点になる。
伊達さんらしい理由と言えば、理由だけど。
「どういうことですか?」
「僕も詳しくは分からないが」
龍木さんが苦虫を噛み潰したような顔で説明を続ける。
「伊達さんのデスクにある封筒に入っていたエロDVDを再生したら……予期せぬ映像が流れたとのことだ」
「なんちゅう因果関係だよ!」
「これも、終天教団の仕業なのか」
「・・・それはそれで、どうだろうか」
思わずツッコミを入れてしまう。だが今はそれどころじゃない。
「とにかく伊達さんを助けないと!」
「あぁ……」
龍木さんと並走しながら俺は心を決めた。例えどんな理由であれ絶望ビデオに感染した者はソムニウム世界でナイトメアに襲われる。それを止められるのはゼッツとなった俺だけだ。
(待ってろ伊達さん……絶対助けに行くから)
それと共に、俺はすぐにゼッツドライバーをそのまま装着し、ゆっくりとボタンを押す。
俺は、そのまま伊達さんのソムニウム世界へと入っていく。