ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ 作:ボルメテウスさん
激しい剣戟の応酬が続く。ブレイカムゼッツァーソードの青緑の輝きとナイトメアたちの得物──鋼鉄の巨漢が振るう鈍器のような棍棒、踊り子の繊細な刀──が衝突する度に火花が散る。甲高い金属音が鼓膜を劈く。
「ぐっ……!」
踊り子の刀がブレイカムゼッツァーの刀身に食い込み、一瞬の膠着。その隙に巨漢の棍棒が風を切って迫る。咄嗟に蹴りで弾くがバランスが崩れた。追撃の刀が胸装甲を掠め火花を散らす。ダメージは累積している。このままでは消耗戦で敗北は必至だ。
(今のゼッツじゃ……この2体同時相手はキツすぎる)
歯噛みする俺。巨漢のナイトメアが咆哮と共に突進してくる。間合いを詰める間に踊り子が側面から旋回して挟撃を仕掛けてくる。完全に連携されていないとはいえ個々の攻撃精度は厄介だ。
(どちらかを確実に封じないと……!)
ふと脳裏に浮かんだのはパラダイムワンダーカプセム。
リスクはあるが現状打破にはこれしかない。
「やってやるしかねぇか!」
俺は躊躇いなくインパクトカプセムを排出。掌に収まるカプセム──ワンダーカプセムを強く握り込む。
ゼッツドライバーの装填口へ突き立て音声認識が働く。
『ワンダー』
カプセムを回転させるとともに変身シークエンスが開始。
『グッドモーニング・ライダー!ゼ・ゼ・ゼッツ!ワンダー!』
ドライバーの合成音声と共に、全身を覆っていた赤の発光し始めた。まるで内側から新しい光が噴き出すように。最初に胸部は深い紫色に変色する。
それに呼応するように、四肢のエメラルドグリーンラインがゆっくりと浸食されるように紫へと塗り替えられていく。
シュゥゥ……!
蒸気が霧のように噴出し、装甲の隙間から漏れ出す粒子が紫色の燐光となって舞い散る。ゼッツゲイムラインが不気味な脈動を見せ、その輝線自体が紫から濃紺へとグラデーションを描きながら流動する。
一瞬の浮遊感――
ブレイカムゼッツァーは変形していないが、その黒いボディに紫のラインが新たに走り、全体的な印象がより非実在的なものへと変貌した。
「これが……パラダイムか」
口を開くと声がわずかに変わっていた。インパクトの熱血的な響きではなく、どこか深層から湧き上がるような低く落ち着いた声。感覚が拡張されている。周囲の空間の歪みやナイトメアの存在密度が以前より鮮明に感じ取れる。
「なにが」
そうして、俺はブレイカムゼッツァーの変形を行う。
先程のソードモードからサイズモードへ。
まるで死神を思わせる形へと変形させながらも。
「さて、不思議なゼッツを見せようか」