ダンガンロンパZ 希望のライダーと悪夢のビデオ   作:ボルメテウスさん

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素顔 Part2

シリコンマスクの下から現れたのは──

 

「えっ」

 

「これが、俺の素顔だ」

 

眼前で剥がされたマスクの下には、ついさっきまで伊達要だと信じ込んでいた顔ではなく──鏡で毎朝見る自分自身でもなければ、もちろんテコという子供でもない。まったく見知らぬ人物の顔があった。

 

「素顔って、どういう事ですか」

 

声が震えているのが自分でもわかる。伊達さんはマスクをテーブルに置き、新しく露わになった顔で俺を見据えた。左目はしっかり機能しており、漆黒の瞳がこちらを探るように射抜く。

 

「お前の推測通りだ。サイクロプス事件から第二次サイクロプス事件までの間、俺と世島犀人の魂は入れ替わっていた。つまり……」

 

一呼吸置いて彼は続ける。

 

「この顔が伊達要の本来の顔で、ソムニウム世界でお前が見た“伊達さんそっくりな奴”こそが、世島犀人だったわけだ」

 

「じゃあ……今まで俺が見てきたのは全部……嘘の顔だったんですか? あの左目を失った伊達さんも?」

 

「半分は本当だ」

 

伊達さんは剥がしたマスクをつまみ上げた。

 

「このマスクは世島の身体に入れ替わっていた時期。元の身体に戻った際、他の奴らにも俺だと認識して貰うようにしているからな……」

 

隻眼だった目辺りに触れる指がわずかに震えた。

 

言葉が出なかった。目の前の男の告白は、まるでパラレルワールドの出来事のようで現実味がない。

 

「待ってくれ……そもそも第一サイクロプス事件ってのは……」

 

「詳しく聞きたいか? あの忌々しい悪夢の話を」

 

伊達さんの口元が歪む。冷笑というより自嘲だった。

 

「構わないけどな、時間の無駄かもしれん。でもお前が知っておくべきことだろう」

 

「お願いします」

 

無意識に祈るように手を組んでいた。

 

「第一サイクロプス事件。七年前のことだ。奴は数多くの女性を殺しており、その犯人として、俺は追っていた。けれど、その最中、奴の企みによって、俺の精神は奴の身体へと入った」

 

伊達さんは自分の胸を軽く叩いた。

 

「おそらくその時に精神が干渉されたんだ。“世島”の人格を通して見る景色は常に曇っていてな……」

 

遠くを見るような目つき。いや、本当に遠い過去を振り返っているのかもしれない。

 

「気づいたら自分が“世島犀人”になっていて、記憶の一部が欠落していた。だが完全じゃなかった。中途半端な欠損は理性を狂わせた。結果、俺は自分が“世島”ではないと自覚しながら他人として生活することを強いられ……その絶望が“ナイトメア”を呼び寄せたんだ。おそらくはな」

 

「じゃあ……あの踊り子と鋼鉄の巨漢は……」

 

「前者が俺のナイトメアだろう。お前の想像通りだ。そして後者は世島の残留思念から生まれたナイトメアだった」

 

「だったらどうして世島さんは死んだんです?」

 

「第二次サイクロプス事件」

 

答えは短かった。

 

「その時に」

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