さてはオリ主だなオメー???   作:水代

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開幕:タケシグランプリ!

 

・激闘タケシグランプリ

 

 

 発掘大会にて『かみなりのいし』を手に入れたのは大きな収穫だった。

 これでピチューが進化した時、最後まで進化させることができる。

 勿論イーブイにも使える……がそれもイーブイが望むならの話。イーブイの進化先は多岐にわたるので今焦って考える必要も無い。

 実機知識からするとタイプ被りってどうなんだろう、という考えもあるのだがこの世界割とその辺がルーズというかゲーム時代ほど相性ゲーが成立しない。

 というのも単純なところでゲームのようにレベルが同じくらい、という条件があまり成立しないから。そしてゲームのようにお互いに棒立ちで技をぶつけあうようなやり方ではないからだ。

 そういうわけで上に行くほどタイプ相性の差は有利不利の一因にはなっても絶対にはならない。

 

 明けて翌日。

 昨日は石の採掘に午後を費やした結果、足場の悪さで帰る頃にはくたくたになってしまいあまり回れなかったので朝からタケシマーケットに赴く。

 まあだいたいは日常的な品々が売られており、ゲームのようにトレーナー関連の道具が売られているということはあまり無かった。

 ただ石の街らしく時折売られている宝石系のアクセなどがあったので、買ったり買わなかったりしながら色々な店舗を冷やかしていく。

 そうして午後になるとあの目立つ城(城ではない)『タケシ城』へと向かう。

 

 ニビシティが主催するポケモンバトルの大会『タケシグランプリ』は初日から4日目まではレベルに制限などがあるアマチュア部門、5日目からは無制限のプロフェッショナル部門になるらしく、午前と午後の毎日2回開催されているらしい。

 そういうわけで意外とアップダウンの激しい街中を歩きながら城へと向かい、入口の受付で参加の申し込みをする。

 

 そうして詳しい条件などを聞いていくわけだが、大会と名はついているがどちらかというとフリーバトル形式というか入口でお城の各階にバトル用のコートが複数あるのでどこでも良いので行って相手待ちのところに参加してくれば良いらしい。

 ルールは手持ち1対1のシングルバトル。バトル後次のバトルまでに別のポケモンと入れ替えても良いそうだが、今回使えそうなのはシャンデラしかいないのでボクにはあまり関係無さそうだった。

 

 また大会といってもそう厳密なものではなく、好きな相手と戦えば良いし、1勝するごとに審判から勝利の証としてニビシティジムのジムバッジであるグレーバッジを模したバッジをもらえるので、それを複数集めて入口の景品と交換できる……みたいな形式らしい。

 また1度の勝利でもらえるバッジの数は勝ち抜き形式で連勝するほど増えるので自信があるのなら連続して戦っても可なのだとか。

 要するに弱そうな相手に目をつけてちまちま勝利を重ねても報酬はしょっぱい、ということなのだろう。

 

 誰と戦うか、どこで戦うか、どのくらい戦うかは本人次第であり、負けて嫌になったら自由に抜けても良い。

 ただ報酬自体はやはりトレーナーとしては魅力的なものが多い。

 昨日掘った『かみなりのいし』を含む各種進化の石が取り揃えられているのはさすが石の街だからか。

 あと何気に『特性カプセル』のような貴重品もある。

 

 なにより一番魅力的なのは『わざマシン』があることだろう。

 

 『うちおとす』『ころがる』『がんせきふうじ』と威力は決して高いわけではないが使い方次第では強力になる効果を秘めた技が並べられており、正直どれも欲しい。

 

 何せ『わざマシン』というのは『わざレコード』と異なり使いまわしができる。

 何度でも使えるが故に基本的にどれも『わざレコード』の最低10倍くらいの値段で取引されているのだ。

 どれもこれも低くて10万前後、高ければ100万を超えるようなものもあり簡単に手が出せるようなものではない。

 

 そういうわけでアカリと話し合って互いに夕方までと時間制限を決めて別れてフィールドへと向かう。

 別にどこでも良いのだが、連勝したほうが効率が良いのにアカリとやると一勝一敗が続いてしまうのでとにかくアカリとは別の場所なのは絶対だ。

 アカリが1階でバトルをするようなのでじゃあ2階に行こうかと思ったより広いお城の中を歩き、大きな階段を登って2階へ。

 そうして人の賑わいから行く先に検討をつけてバトルコートへと足を踏み入れると道場のようなフィールドには大きな歓声が響いていた。

 

 早速やっているようだ。とフィールドに視線を映せばそこで戦っているのはフシギバナとゲンガーのバトルだった。

 相性的には互角……いやゲンガーの有利だろうか。

 実際どっしりと体格で動きが遅いフシギバナは消えては現れるゲンガーの素早さについていけていないように見える。

 

 ―――ああ、でもこれは。

 

 だがそれを補うためにトレーナーがいる。それに気づいた時、評価は一転する。

 ゲンガーがどれだけ素早かろうが、攻撃のためには一瞬足を止めて溜める必要がある。

 逆にフシギバナはその場から動くことなくずっと溜め続けていたのだろう。

 

 ゲンガーが次に現れた時、フシギバナが大きくジャンプして―――。

 

 どん、と叩きつけた床が『じしん』のごとく大きく揺れてゲンガーが衝撃をもろに受ける。

 ゲンガーは決して耐久力のあるポケモンではない、そのため弱点となるその一撃に耐えることができずに崩れ落ちたゲンガーをトレーナーがボールに戻した。

 ゲンガーのトレーナーがフィールドから去っていくと審判が次の挑戦者を呼びかける。

 ただすでに相手トレーナーは何度も勝利しているかなりの強豪トレーナーらしく、果敢に挑んだトレーナーは回復中、残ったのは強敵相手にしり込みしてしまっているトレーナーたちらしい。

 

 そうして誰も出てこないのを確認して、フィールドへと向かう。

 

 明らかに年若いボクの存在に気づいた観客たちが騒めく。

 審判がボクに気づき、一瞬顔を顰めるとこちらにやってきて子供向けのバトルは昨日までであり、今日からはエリートトレーナーも混じるようなバトルであることを説明してくる。

 それに対して知ってること、問題無いことを簡潔に伝えれば訝し気な表情をしながらも審判が頷いて元の位置に戻る。

 

 そうして改めて相手のトレーナーと相対してみると、今年トレーナーになったボクほどではないにしろ年若いトレーナーであることが分かる。

 ゲームでもエリートトレーナーと言われるNPCはだいたい20代前後のイメージだったが目の前にいるのはまさにそういうトレーナーだった。

 そうして審判の開始の合図と共に互いにボールを投げる。

 

 相手が使ってきたのは先ほどまでのフシギバナではなく同じ御三家の一匹カメックスだった。

 

 こちらが出したのは当然ながらシャンデラ。

 相性の有利不利で語るならばこちらが不利だろうか。

 

 初手はいきなりの『ハイドロポンプ』。

 こちらは『かえんほうしゃ』。

 

 互いの最高火力を叩き合う。

 技の威力やタイプ的にはこちらが不利。

 だが純粋な種族値ならばシャンデラが圧倒的に高い。

 ならばあとの優劣は互いのレベルだが……。

 

 カメックスのランチャーから撃ちだされる水流は、けれどシャンデラの炎に押し戻され蒸気爆発を起こす。

 一瞬カメックスの姿が蒸気に隠される。

 

 ―――レベルはこっちが上、かな。

 

 打ち勝った、ということはそういうことだろう。

 推定だがあのカメックスのレベルが50前後。

 普通に考えれば十分高いが、アカリのピカチュウと毎日のように戦い続けてきたシャンデラのほうが同格と戦い続けてきた分レベルが勝っていたらしい。

 

 即座に次の手を考えながらシャンデラに指示を出し、その姿が『ちいさくなる』。

 直後に蒸気がかき消され、カメックスが出の早い『みずのはどう』でこちらを狙って来るが、小さくなってしまったシャンデラの姿が見えないことに一瞬動揺し狙いがブレる。

 その間にさらに『ちいさくなる』を積んで、最早視界の中になんとか捉える程度までサイズが縮んでしまったシャンデラに相手のトレーナーが舌打ちしてもう一度『みずのはどう』を放つが当然当たるはずも無い。

 反撃とこちらが連続して放つ『シャドーボール』が次々とカメックスにヒットしてその威力にカメックスがたたらを踏む。

 

 不味いと思ったトレーナーが『まもる』ように指示を出すと同時にこちらも『のろい』を指示する。

 相手のトレーナーの表情が強張るがすでにカメックスはトレーナーの指示に従って透明なバリアを展開しているが、『のろい』は相手の状態変化を無視して直接作用する技だ。当然そんなバリアで防げるはずが無く、カメックスに『のろい』のダメージが降りかかり、苦痛に表情を歪める。

 

 このまま逃げ回っていても勝てるが、こんな観衆の中でそれをやるのはさすがにどうかと思い、シャンデラにトドメの『シャドーボール』を指示する。

 

 放たれた黒色の球体がカメックスを弾き飛ばすと、カメックスが目を回して『ひんし』になる。

 自分の敗北に相手のトレーナーが驚いた表情をする、がすぐに自分のポケモンをボールに戻し悔しそうにしながら去っていく。

 代わりにやってきたのはどうやら先ほどのトレーナーに負けていた別のトレーナーらしく、回復が終わったのでまた戻って来たらしい。

 

 そうしてその相手が出してきたのはガルーラ。

 

 真っ向勝負での撃ち合いとなったが、先ほどと異なり主力技である『かえんほうしゃ』という暴力が常に選択肢にある以上負けるはずも無い。

 なにより相手のガルーラのタイプ一致技である『ノーマル』タイプは、『ゴースト』タイプのシャンデラに効果が無い……まあ特性『きもったま』なら当たる可能性もあるのでそこは考慮する必要はあるかもしれないが。

 

 実機なら当然のように覚えているだろう『じしん』や『いわなだれ』だが現実においてそれらの『わざレコード』はとんでもない値段のする高級品だ、そんじょそこらのトレーナーが持っているようなものでは無い。

 唯一レベルアップで覚える『ふいうち』や『かみくだく』の存在が常にちらつく以上危険性はあったが、正面から突っ込む必要のある『かみくだく』は『かえんほうしゃ』の威力の前に迂闊に突っ込ませることはできないだろうし、『ふいうち』は逆に狙いを透かした『ちいさくなる』で回避を積み上げれば良い。そんなわけでガルーラも無傷で突破する。

 

 そうして次々とやってくる挑戦者を相手に3戦、4戦と戦い勝利を積み上げていく。

 とはいえ他のトレーナーたちとは異なり回復が追いついていないシャンデラは少しずつダメージが積み重なっていき、7戦目までは粘ったがそこで力尽きた。

 

 時間を見れば小一時間ほど。まだまだ余裕があったので『げんきのかけら』と『きずぐすり』でシャンデラを回復してもう1時間ほどバトルをする。

 連勝でそれなりの数稼げたのでバッジの数的にはわざマシン1個分くらいにはなっただろうか?

 アカリも多分同じか或いはそれ以上に稼いでいるだろうから2人合わせればわざマシン全て交換することも可能かもしれない。

 

 ―――そろそろ本気でやろうかな。

 

 ボク自身のトレーナーとしての技量を磨くためにシャンデラの特性を縛って戦っていたが、本来のシャンデラの戦い方は特性をフル活用したものだ。

 相手の行動を強制的に停止させる強力な特性でさらにバトルを積み重ねる。

 相手のレベルは40以上が大半。たまに最初のトレーナーのように50を超えるポケモンを繰るトレーナーもいる。

 ただもうこの程度のレベルだとシャンデラの経験値にはならないようで3時間近くバトルを重ね続けてもレベルの1つも上がった感覚は無い。

 

 実戦経験を養う意味では十分実のあるバトルではあったが、目に見えるような強さを得られることも無いままにわざマシン2つ分くらいにはバッジを稼いだところで観客の側に回る。

 やってきたのは一階のバトルコートだ。いくつか回っているとアカリがバトルしているのが見えたのでそちらへ向かう。

 

 ボールからイーブイを出しておいでと言えば笑顔で飛びついて来るくらいには懐いてくれている。

 そんなイーブイを抱っこしたままアカリがバトルするコートへ視線を向けると戦っている相手はサイドンだった。

 相性的には最悪というか、かなり不利なはずだがアカリとピカチュウはタイプ相性の不利なんてものともせず、『アイアンテール』で硬質化した尾でサイドンの頭をバッティングセンターのバッターなのかと思うほどに一方的にバッコバコと殴りつけている。

 『いわ』タイプを持つサイドンにとって『はがね』タイプのそれは弱点属性だが、ピカチュウというポケモンの火力の低さとサイドンというポケモンの防御力の高さで本来それほどダメージにはならない……だがそれは同じくらいのレベルだったらの話。

 恐らくあのサイドンがレベル45前後くらい。対してアカリのピカチュウは70を超える。当然ながらその一撃一撃は相手トレーナーの想定を遥かに超える威力でサイドンの頭を揺らす。

 

 ポケモンとて生物である以上、頭をぶん殴られて平然とはできない。

 

 いくら頑丈なサイドンとて一瞬怯んで僅かに隙ができる。

 そしてピカチュウの素早さはその僅かな隙で次の攻撃を繰りだせる。

 そのせいでほとんどハメ技のようにピカチュウは連続して『アイアンテール』でサイドンを殴っている。

 

 頑丈なサイドンとてそう何度も何度も攻撃を食らえばいい加減耐えきれなくなるのも道理であり、崩れ落ちたサイドンを相手のトレーナーが大慌てでボールに戻す。

 

 ピカチュウというマスコット枠に近い印象のポケモンがサイドンのような大型のポケモンを一方的になぎ倒す光景に観客が盛り上がる。

 なおアカリのピカチュウが『くさむすび』を使えて、しかも体重の重いサイドンにはとんでもなく効果抜群であり、それを使えば一発で倒せただろことはまた別の話。

 今は腕の中のイーブイにそんなバトルを見せる。

 『おくびょう』なところもあるイーブイだが本質的にポケモンというのは野生の有無に関わらず強くなりたがる性質のようなものがある。

 故に同じ旅をする仲間であるアカリやピカチュウの活躍に発奮してくれないか、そんな期待もあったのだが。

 

 ―――うーん、ダメかあ。

 

 やはり傷つけるという行為に抵抗があるのか。

 はたまた傷つけられるという行為を恐怖しているのか。

 

 とにかく分かったのはイーブイが怖そうな表情でバトルを見ていたということ。

 

 ―――儘ならないものだなあ。

 

 嘆息しながら腕の中のイーブイの頭をそっと撫でた。

 

 

 

 

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